家事育児、どういうサポートがある?
まず、「できるだけ自分で頑張る」というママの日常を紹介します。
パパが単身赴任で、長女(2歳)と長男(11か月)をワンオペで育児しています。家事育児は朝から大忙しです。 午前7時に子どもたちの朝食。食後は子どもたちがリビングで遊んでいる間に洗濯物をたたみ、風呂掃除や床掃除などを急いでこなします。そのあとは、おむつ替えにヘアセットと休む間もありません。幼稚園に預けるまでは時間との勝負です。 最近は、同じ地域に住む祖父に、幼稚園への送りを頼れることになりました。 同居するより、実家と程よい距離感があるほうが、甘え過ぎず、感謝の気持ちを自然と伝えられるような関係性が大事だと思います。 地域の「子育てひろば」に週3回以上足を運んでいます。施設のスタッフやママ友と一緒に子どもを見守れるため、ほっとひと息つけるんです。精神的に頼れる場所です。ママ友たちと一緒に昼食を食べることも楽しみのひとつです。 「子育てひろば」から帰ってくると、長男をだっこしながら長女の靴を洗うなど、休む暇はありません。幼稚園から長女が帰宅する時間から、育児がまた一段と忙しくなります。 これが、1日のスケジュールです。 就寝までの間は、子どものお風呂や夕飯準備など、やることはたくさん。夜は、夜泣きがあれば授乳して、再び寝かしつけ。ぐっすり眠れません。 長男の一時保育を検討しましたが、自宅からの距離が遠くて断念しました。他の支援サービスも見つからず、自力で頑張るしかない状況です。 もし子どもを預けられるなら、美容院に行ったり、ひとりでゆっくりおいしいものを食べたり、衣替えや子どもが居るとできない場所の掃除などに時間を使いたいです。家事を誰かに頼めるとしたら、子どものお風呂や食事づくりです。例えば、子どもを子育てひろばで遊ばせてもらう送迎付きのサービスがあれば利用してみたいです。 (お子さん2歳・11か月のママ)
丸山桂里奈さん(MC) ママの1日のスケジュールはぎっしりでしたね。こんなに大変だと、少しでも頼れる人がいてほしいと思いました。
りんたろー。さん(MC) 頭が下がりますが、「えらい」で終わらせちゃダメですよね。手を抜けるところは、どんどん手を抜いていいと思います。
―― 日本の子育て支援のあり方について、どう感じていますか?
サービス自体は増えてきているが届いていないところも
回答:石田光規さん みなさん、いろいろと支援が足りないと感じているかもしれませんが、実はサービス自体は2010年代ごろから増えています。行政は基本的に寄り添い型、伴走型で、それぞれの人に合わせた支援をしていこうとしていますが、なかなか届いていないところがあります。
地域で頼り先になりそうな場所やサービスの情報を知っておく
回答:石田光規さん 出産前に準備している人はあまりおらず、産後に慌てて準備することが多いようです。出産前に、地域で頼り先になりそうな場所やサービスの情報をある程度整理しておくと、随分違うと思います。
りんたろー。さん(MC) 私も一時保育の情報を知って「じゃあ、面接に行こう」となったけど、面接が予約できません。事前に動き出しておかないと、いざ必要になったときに間に合わないようです。もしかすると、私が知っている情報が足りていないだけかもしれません。
―― おすすめの子育ての支援サービスはありますか?
子どもの成長に合わせていろいろな支援サービスを選択できるとよい
回答:市川香織さん 子どもの成長に合わせて、いろいろな支援サービスを選択できるといいですね。 例えば、出産直後に受けられる支援として産後ケアがあります。 産後ケアは、産後の疲労を回復するための事業です。助産院などを宿泊や日帰りで利用でき、育児の相談もできます。出産では5日~1週間ほどしか入院できませんが、その後まだ体が回復していないときには、助産院などに宿泊や日帰りでママと子どもがケアを受けられます。 子育て中、特に乳児のときはとても寝不足になりますが、「子どもを預けてまで」と考えるとハードルが上がったり、子どもが自分に懐いているのでサポートは入れられないと思ったりすることもあります。そんなときは、家事支援(6か月ごろ~)をお願いして、食事の準備、掃除、洗濯、買い物などをサポートしてもらうのもよいでしょう。 1歳ごろ、子どもが家族以外の人に慣れてきたら、子どもを預ける一時保育や、食事・ミルク、入浴、送迎などの育児支援もよいと思います。
丸山桂里奈さん(MC) 出産して数か月後ぐらいに産後ケアを利用しました。全く寝られていなかったので、寝られるだけで本当に違います。
りんたろー。さん(MC) 夫婦ふたりで頑張って、支援サービスにまで手を伸ばせていないこともあるかもしれません。利用できたら違うかもしれませんね。
丸山桂里奈さん(MC) 余裕ができて、夫婦の関係性も変わると思います。
誰かに頼れたことで救われたという経験談
双子の子ども(8歳)が11か月のときに保育園に入園して仕事復帰しました。でも、子どもがよくかぜをひいて、私にうつって熱を出すことも月に2回ほどありました。そのときに保育士の先生が「ママの具合が悪かったら、預けてもいいよ」「4時半までだけど、帰ってごはんも作れないような状況なら、6時までいてもいいよ」とやさしく言ってくれて、本当に救われました。悩みごともいろいろ聞いてくれて、保育園にはとても助けてもらいました。 (お子さん8歳双子のママ)
「もう疲れたな」「頑張れないな」と思うことが増えていたときに、お世話になっていた子ども食堂(※)のスタッフが親身になって話を聞いてくれました。「そんなに大変だったら、できることはないか」「温かいものを作って持っていくよ」と言ってくれて、本当に弱っていたので頼りました。毎週1回、3日分ぐらいのおかずやスープ、子どもが食べやすいものを、1か月間家まで届けてくれたんです。そのときは子どもがかぜで、家の中もめちゃくちゃな状態だったので、涙が出るほどうれしかったです。 (お子さん4人のママ) ※子ども食堂:子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂。民間発の取り組みで全国に広がっている
サポートを受けるまでのハードルが高い…
自治体で実施している「ファミリー・サポート」を利用しようと登録しましたが、アドバイザーを通じてサポーターとマッチングするまでに時間と労力がかかることがわかりました。
事前面談、利用時の面談、実際に預ける人との面談の他、子どもの月齢が小さいこともあり「数か月に1回、役所に更新しに来てください」と言われ、ちょっとハードルが高くて使いませんでした。
(お子さん3歳8か月・1歳3か月のママ)
運用側は問題が起きないことを優先して柔軟に対応しにくいことも
回答:石田光規さん 子育てをしている側は「柔軟に対応してもらいたい」と思いますよね。一方で、支援を運用する側は、問題が起きないことが先に来て、なかなか柔軟に対応できず、かゆいところに手が届かない形になってしまうことがあります。 最近では、自治体間での支援策のばらつきから「自治体ガチャ」という言葉が言われることもあります。
丸山桂里奈さん(MC) いろいろな条件があってサービスを受けるのが難しいと、親が頑張りすぎてしまうのではないかと心配です。
すぐに信頼できる人とつながるのは難しい。いろいろな人に会うことも大事
回答:石田光規さん 頼る場所に行ってみても、自分に合わないとあきらめてしまうことがあります。支援先に子どもを連れて行くのは大変で、それなら頼らないほうがいいと考えることもある。一方で、先ほどの保育士や子ども食堂の経験談のように、信頼できる人に出会えれば、いろいろな対応をしてくれることもあります。すぐに信頼できる人とつながるのは難しいと思いますが、いろいろな人に会ってみることも大事です。
りんたろー。さん(MC) もし自分に合わなくても、「ここは合わなかっただけ」と根気よく考えればいいのですね。
緊急時の頼り先
病児保育・病後児保育
子どもが病気の際に自宅でみることが困難な場合、病院や保育所などで一時的に預かってもらえます。
※事前登録が必要になる場合があります
ショートステイ(短期入所生活援助)
保護者の出産・育児疲れなどの理由で、家庭でみることができない場合、児童養護施設などに宿泊で子どもを預けられます。
※事前登録が必要です(原則7日以内が多い)
夜間保育・ベビーシッター
夜間保育は、保護者が仕事で帰宅が遅い場合など夜間や深夜に子どもを預けられます。
民間やNPO法人のベビーシッターには、急な依頼でも対応してくれるサービスもあります。
※事前登録が必要です
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