夫婦でしつけの方針が違うのは、どう折り合いをつける?
(お子さん3歳・2歳のママ)
育った環境が違うのでしつけが違うのも当然
回答:柴田愛子さん 夫婦それぞれ育った環境が違うので、折り合いはつきませんよね。子どもができると、その違いがよりはっきりすると思います。折り合う努力はしてもいいけど、疲れるなら「パパはこういう人」「ママはこういう人」と考えてもいいのではないでしょうか。
子どもが生きていくには母性的なものと父性的なものが必要
回答:柴田愛子さん 子どもは、全てを包み込むような母性的なものと、背中を後押しするような父性的なものの両方があって育っていくと思います。それぞれが母親と父親の役割ということではありません。 例えば、常に背中を押されていたら、つんのめってしまいます。一方で、常に囲まれていても「僕は出て行きたい」となってしまいます。両方のバランスが大事なので、夫婦が違うのはいいと思います。泣きたいときには包んでくれるほうに、勇気をもらいたいときは後押ししてくれるほうに行くと思います。
かつてはさまざまな人との関わりがあり、親だけがしつけなくてもよかった
回答:大豆生田啓友さん かつて、子どもにはもっといろいろな人との関わりがありました。親がそこまでしつけを頑張らなくてもよかった。子どもを外で遊ばせておけば、お兄ちゃん・お姉ちゃんがおんぶしてくれたり、いろいろな人たちの中で遊ばせてもらったり、近所のおじいちゃん・おばあちゃんが声をかけてくれたりしたのです。そうしたさまざまな人たちの母性的な面、父性的な面と関わりながら育っていました。 今は、それがなかなか得られにくいのですが、子育て支援のセンターなどでいろいろな人との関わりがあります。多少もめごとがあってもいいのです。スタッフやボランティアの方が声をかけてくれます。保育園を利用するのもいいと思います。そこで、いろいろな子どもたちや大人と関わることで、いろんなふうに育っていきます。これが大事なことなのです。親だけがしつけをしないといけないと考えるから苦しくなるのかもしれません。
子どもは人との関わりの中で成長する
子どもは、さまざまな人との触れ合いの中で成長していきます。
柴田愛子さんの園「りんごの木」では「子どもたちのミーティング」という試みが行われています。
日々の問題や出来事を持ち寄って、みんなで話し合うのです。
この日、その輪に入らない子がいました。先生のとなりに座りたいけど、となりは予約されていて座れませんでした。この子は園に来て半年で、環境にまだ慣れず、先生に頼っている部分がありました。
今日はこれがミーティングの話題になりました。
先生が「みんなどうしたらいいと思う?」と問いかけると、「明日にしたら?」という声がありました。でも、その子は「今日から毎日ならいい」と言います。
子どもたちからは、「あきらめてください」と言ったほうがいいという声も。先生は、「あきらめてください」と伝えます。
でも、その子は納得しません。輪から離れて部屋の隅に行ってしまいました。先生はみんなの輪に連れ戻して、話し合いに参加させます。
先生は、その子が以前も好きな席に座れなくてすねたことがあったので、今回はちがう形で終わってほしいと考えていたそうです。
すると、「他の友達のとなりにする」という意見が出てきました。
先生が「となりにきていいよ!って人?」と質問すると、次々に手があがります。
その後、その子が「〇〇くんのとなりかな」と答えると、子どもたちが椅子を準備してくれました。まわりの子が「先生と前どなりだよ!おっけー?」と聞くと、その子がうなずきます。みんなから「よかったー!」と声があがりました。
みんなに背中を押されてひとつ壁を越えたようです。子どもは周囲の人たちとの関わりの中で学んでいくのですね。
PR