子どもの呼吸があぶない! どうしたらいい?

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2024/08/03

出典:すくすく子育て[放送日]2024/08/03[再放送]2024/08/08


娘が1歳半のときです。一緒にお風呂に入って、私はそばで体を洗って、娘に水遊びをさせていたら、いつのまにか仰向けで沈んで溺れていたんです。

お湯の深さは20cmほどで、娘のひざが隠れるくらいでしたが、足を滑らせて沈んでしまったようです。ばたばたしたり、声を出したりすることはなく、「静かに沈んでいくって、こういうことなんだ」と思いました。生死に関わることで、私がその場にいなかったらと思うと、今でも怖いです。
(お子さん3歳のママ)

子どもは水深2.5cmでも溺れてしまうリスクがある

回答:坂本昌彦さん

水深が2.5cm以上あると、子どもが溺れるリスクがあるといわれています。そのリスクは、20cmを超えると特に大きくなることがわかっています。

乳幼児は頭が重いので、自力で起き上がれないことがある

回答:坂本昌彦さん

子どもは体の中で頭の割合が大きいので、重心が高く、傾くと浴槽の中に落ちやすくなっています。また、自力で起き上がれないことがあります。

子どもが溺れるときは声をあげないことが多い

回答:坂本昌彦さん

子どもが溺れるときは、声をあげたりバシャバシャ動いたりせずに、すっと沈んでいくことが多いので、知っておくことが大事です。

0~2歳の水の事故は9割以上が自宅のお風呂

回答:大野美喜子さん

水の事故は海や川で起こることが多いと思われがちですが、0~2歳の子どもでは、9割以上がお風呂で溺れたという報告があります。例えば、残し湯をしていて、親が見ていないときに子どもがよちよち歩いて転落して溺れることもあるので注意が必要です。

去年の夏、当時5か月の娘を昼寝させていたときのことです。クーラーを心地よい温度に設定し、体が冷えないよう娘のおなかと足にタオルをかけていました。熟睡していたのでトイレへ行き、1分ほどで帰ってくると、娘の顔をタオルが覆っていたのです。

娘が足を上げたときにタオルが顔にかかってしまったようで本当に焦りました。寝返りもまだうてない時期なので大丈夫だと思ってしまい、一瞬の気のゆるみでした。
(お子さん1歳2か月のママ)

柔らかい物が子どもの顔にかぶさると窒息するリスクがある

回答:大野美喜子さん

1歳までの赤ちゃんによく発生している事故のひとつだと思います。まだ自分ではねのけることができないので、柔らかい物が顔にかぶさると窒息するリスクがあります。
まわりに何も置かず、スリーパーなどを着せて寝かせるのが大事です。



息子が生後8か月のころ、新緑の季節におばあちゃんにだっこされて散歩していました。息子の手にはいつの間にか葉っぱがありました。

そんなとき、突然せき込み始めて、きちんと呼吸ができなくなり、みるみるうちに顔が青白くなっていったのです。口の中に何かがあるとわかったのですが、背中をどんどん叩いても出てこず、救急車を呼びました。
病院で検査をすると、葉っぱを飲み込んでいたことがわかりました。詰まっていた物を取り出してもらうと、一気に元気になりました。
(お子さん14歳のママ)

子どもが物を口に入れるのは正常なことだが、物を詰まらせたり誤えんすることも

回答:坂本昌彦さん

子どもは好奇心が強いので、いろいろな物を口に入れて、物の匂い、味、かたさを感じて学習します。これは、子どもの発達段階として正常なことです。一方で、物を詰まらせてしまったり、誤えん(口に入れた物が食道ではなく気管に入ってしまうこと)があります。誤えんは4歳以下に多く、特に3歳以下が8割ぐらいといわれています。

子どもは大人と比べると物を詰まらせやすい

回答:坂本昌彦さん

子どもはまだ歯がしっかり生えそろっておらず、かむ力も弱いです。同じ食べ物でも、大人と比べると咀嚼(そしゃく)できず喉に詰まらせてしまうこともあります。
また、大人は気道の太さが2cmぐらいですが、子どもは1cmぐらいと非常に細く、同じ大きさの物でも子どものほうが詰まらせやすいです。


―― 詰まっているときは、どうすればいいですか? 手を子どもの口の中に入れて引っ張り出してもいいのでしょうか?

口の中に手を入れて詰まった物を出そうとすると、むしろ押し込んでしまう。冷静な対処を

回答:坂本昌彦さん

子どもの口の中に手を入れて取り出そうとしてしまいがちですが、むしろ押し込んでしまうリスクのほうが高いといわれています。冷静に以下のような対処をしてください。

1歳以上で意識がある場合の対処法

1歳以上で意識がある場合は、後ろから抱きかかえて、みぞおちの下の部分を突き上げます。
※この対処は緊急時のみ行い、絶対に子どもで練習しないでください

1歳未満で意識がある場合の対処法

①ひざの上にうつ伏せで乗せ、頭を胸よりやや低くして、もう一方の手で、頭がぐらつかないようにあごを支えます。この状態で、背中の真ん中を強くたたきます。

②続いて、仰向けにして、人さし指と中指の2本で、胸の下の部分を突き上げるように5回圧迫します。
これら①・②を交互に繰り返します。
※この対処は緊急時のみ行い、絶対に子どもで練習しないでください

意識がなくなった場合は心肺蘇生法と救急要請を

坂本昌彦さん

意識がなくなった場合には、心肺蘇生法(心臓マッサージと人工呼吸)になります。まずは救急要請をしてください。

誤飲にも注意


―― 誤飲(誤って飲み込んでしまうこと)には一年中注意が必要だと思いますが、夏が多いのでしょうか?

夏祭りなどで購入した物の誤飲に注意

回答:大野美喜子さん

夏祭りや縁日などに出かけたときに購入した物の誤飲は、夏に特徴があります。例えば、キラキラしている物、弾むゴム製のボール、磁石などの誤飲のリスクです。



ネオジム磁石は強い磁石で、複数飲んで非常に重症な事故になったという消費者庁の報告もあり、注意が必要です。

磁石の誤飲で手術になることも

回答:坂本昌彦さん

磁石は1個だけではなく複数個を飲むことが多いといわれています。複数の磁石が体の中でくっつくと、胃の粘膜や腸の粘膜を挟み込んでしまい、圧迫して穴が開いて手術が必要になる場合があります。


―― 子どもの誤飲を防ぐ対策はありますか?

誤飲のリスクがある物は子どもの手が届かない場所に

回答:大野美喜子さん

誤飲のリスクがある物は、子どもの手が届かない場所に保管することが大事です。



子どもの手の届かない場所は、物を置いた「台の高さと奥行きを足し合わせた長さ」の目安が年齢ごとにあります。例えば1歳児だと90cm、2歳児だと110cm、3歳児だと120cmです。
りんたろー。さん

場合によっては鍵をかけて保管するのも大事かもしれませんね。

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