絵本の読み聞かせ方、どうすればいい?

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2024/07/06

出典:すくすく子育て[放送日]2024/07/06[再放送]2024/07/11

絵本作家が伝えたいことは、絵や文字、レイアウトなど、絵本の中に凝縮されていると思っています。そこから子どもが想像しやいように、絵本に書いてある言葉を淡々と読んで聞かせています。大人が絵本の世界観を作ってしまわないようにしたいんです。でも、読み聞かせていると、たびたび脱線してしまいます。

例えば、絵本に出てきた象を見てゾウのフィギュアをのせたり、絵本に描いてあるものと同じ色のものを持って「同じ!」と言ったりします。脱線を受け止めて応えたほうがいいのか、読み続けるのか悩ましいです。子どもにとってよい読み聞かせ方とは、どんなものでしょうか?
(お子さん1歳11か月のママ)

絵本の作り手の思いが伝わってありがたい。気楽に読んで

回答:とよたかずひこさん

絵本の文字の書体や大きさ、行間など、絵本の世界にあうようにレイアウトしています。絵本の作り手としては、それが伝わっていてありがたいですね。日常では、そこまで気を遣って読むのも大変だと思うので、気楽に読んでください。


―― 子どものペースと、絵本の世界観を伝えること、どちらを優先したほうがいいでしょうか?

子どものペースを大事に

回答:代田知子さん

絵本を無理やり聞かせると、どうしてもつまらなくなってしまうので、子どものペースは大事にしたほうがいいと思います。ママが読んでいたのは、『どうぶつのおかあさん』(小森厚 文/薮内正幸 絵)という絵本でしたね。



この絵本は、写実的なすばらしい絵で定評があります。お子さんはこの絵本を見て、「あ!家にあるぞうと同じ」と発見して、絵本の絵と比べて、それをママに教えていました。とてもよいたのしみ方だと思います。


―― すくすくファミリーのみなさんは、どんなふうに絵本の読み聞かせをしていますか?

〇子どもが好きなところだけを読んだり、少し脱線しているかもしれませんが「ありさんいるね」と一緒に探したりしています。
〇表情や抑揚をつけて読んでいますね。自分なりの表現をしてしまっているかもしれません。
〇オリジナルのリズムとメロディーをつけて読むのが得意で、子どもに人気です。


―― 読み聞かせ方に正解はあるのですか?

読み聞かせ方に正解はない。絵本の言葉を大事に読んでほしい

回答:代田知子さん

読み聞かせ方に正解はありません。ただ、絵本作家は言葉を推敲して考え抜いています。絵本の中の言葉には、日常会話では出会えない、すてきな言葉があります。そのまま読むと味わい深かったり、子どもたちがいい言葉を自分のものにする機会にもなるので、言葉を大事に読んであげてください。言葉を足しても、大げさに読んでも、子どもたちが喜ぶならそれもいいと思います。
丸山桂里奈さん(MC)

正解はないのですね。親の個性を活かしたり、日によって読み方を変えたりもできますね。

とよたかずひこさんの読み聞かせ

とよたかずひこさんは絵本作家として活躍しているだけでなく、絵本の読み聞かせも大切にしています。どんなふうに読み聞かせをしているのか、様子を見せてもらいました。

この日は、東京都の保育園にきました。集まってくれたのは、2~3歳の子どもたち。ちゃんと聞けるかな?

絵本は、とよたさんの代表作『どんどこ ももんちゃん』です。おむつをした赤ちゃんがひたすら急いでどこかに向かっているお話です。

どんどこ どんどこ どんどこ どんどこ ももんちゃんが いそいでいます
くりかえされる、リズミカルな音とシンプルな絵。

子どもたちは引き込まれていきます。

どんどこ どんどこ どんどこ どんどこ
気持ちのいいリズムにジャンプしだす子もいました。

どんどこ どん あれっ」「ど ど ど どどどどどど…
子どもたちの反応を見ながら読み聞かせるとよたさん。
「どどどど…」とまねする子もいました。

どちっ
ももんちゃんが頭をぶつけた音「どちっ」に、笑顔になる子どもたち。

それでも ももんちゃんは いそいでいます」「どんどこ どんどこ どんどこどんどこ どんどこどんどこ どーん
みんな、とよたさんが読むお話の世界に、すっかり引き込まれているようです。

「はい、おしまいでーす」
お話が終わると、子どもたちが次々に「どちっ」と絵本に頭をぶつけにきました。友だちと一緒なら、絵本の時間がもっとたのしくなるかもしれませんね。


丸山桂里奈さん(MC)

小さい子は、絵本を読み聞かせてもどこかへ行ってしまうイメージがありましたが、とよたさんの読み聞かせを真剣に聞いていましたね。
りんたろー。さん(MC)

私だと読み聞かせのとき「座って聞いてね」と言ってしまいそうですが、立ち上がってたのしんでもいいですね。
とよたかずひこさん

立ち上がってもいいと思います。子どもは思いもよらない反応をすることがありますよね。子どもたちとコミュニケーションをしながら読み聞かせすることを心がけています。
代田知子さん

集団で聞くのがたのしいのだと思います。「どちっ」のところで、ひとりが「どちっ」て言ったら、となりの子も「どちっ」と言っていましたね。喜びを共感すると「絵本がたのしかった」という雰囲気を覚えます。絵本が苦手と思っている子が、集団で読んでもらうと好きになることは少なくないんです。ぜひ、お話し会に行ってみてください。

どんな絵本を選んだらいい?

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