どんな絵本を選んだらいい?
(お子さん2歳7か月・9か月のママ)
(お子さん11か月のママ)
―― 言葉がわからない時期に絵本を読み聞かせるのは早すぎますか?
子どもが生まれてすぐ読み聞かせをはじめてもいい
回答:代田知子さん 早すぎないですよ。子どもが生まれてすぐ読み聞かせをはじめてもいい。絵本の中には、よい言葉があって、読んであげると子どもは気持ちよさそうに聞きます。ただ、子どもの世話が大変な時期なので、余裕があるときでいいと思います。
はじめての絵本選びのポイント
はじめての絵本選びのポイントを3つ紹介します。
まず、リズミカルな「音」や心地良い「言葉」があるもの。
次に、シンプルな絵で、背景がすっきりしていて、何が描いてあるかをすぐに認識できるもの。
そして、言葉や出来事の「くりかえし」があり、次を予想してたのしめるものです。
0歳からのおすすめの絵本
『じゃあじゃあ びりびり』まついのりこ 作・絵
音がシンプルでたのしい絵本です。
「いぬ わんわんわんわん」のように言葉がリズミカルな音で、絵もシンプルです。
ページをめくると、色が変わって、「みず じゃあじゃあじゃあ」と新しい音が出てきて、音と色ががらりと変化するおもしろさがあります。
ページの見開きで完結するのもポイントです。「いぬ わんわんわんわん」「みず じゃあじゃあじゃあ」というパターンのくりかえしもいいですね。
『いない いない ばあ』松谷みよ子 文/瀬川康男 絵
昔からあり、知っている人も多い絵本だと思います。
この絵本のポイントは、「いない いない ばあ」のように、言葉の響きが優しいことです。
赤ちゃんを引きつける「顔」の絵もポイントです。赤ちゃんは顔が大好きで、目をじっと見つめ、絵本の動物も赤ちゃんをじっと見ているようですね。赤ちゃんは、アイコンタクトできるとうれしくなります。
また、くりかえしも効果的に使われています。「いない いない」で「何だろう?」と思っていると、「ばあ」で顔が出てくる。そのくりかえしで、最後まで引きつけられます。
絵本で培われる想像力もあります。頭の中で、「いないいない」の絵と、「ばあ」の絵をつなぎ合わせて、静止画を動かしているのです。
『もこ もこもこ』谷川俊太郎 作/元永定正 絵
まずは、どんな絵本か読んでみましょう。
「しーん」「もこ」「もこもこ にょき」のように、全編が短い語句のオノマトペ(擬音語・擬態語)なんです。絵はアートの世界に近い抽象画ですね。
表示のタイトルの「もこ もこもこ」も平らではなく、「も“こ”」の部分が出ています。これは作家の意図で、「も“こ”」のように読んでほしいのだと思います。
実際に赤ちゃんに読み聞かせているところを見たとき、「も“こ”」のところで反応していたんですね。代田さんの話の通り、生まれたての赤ちゃんでも絵本はいいんだと気づかされました。
丸山桂里奈さん(MC) 私は直感で本を選んでいましたが、それとは違いましたね。
代田知子さん 子どもがたのしそうにしているなら、選び方を厳密に考えなくてもいいと思いますが、ポイントがわかったほうがたのしめるかもしれません。0~1歳の時期は、絵本で親子のコミュニケーションをとることを大事にするのがいちばんですね。
1~2歳の絵本選びのポイント
続いて、少し大きくなった1~2歳に向けて絵本を選ぶポイントを紹介します。
ポイント① 身近な生活
子どもは、毎日の身近な生活を扱ったお話に興味津々です。
『いちにのさんぽ』(ひろかわさえこ 作・絵)は、「歩く」ことをテーマにした絵本です。
子どもは、「おさんぽ」をたのしむ主人公に自分を重ねます。歩けるようになってうれしくてたまらない時期の子どもにぴったりです。
ポイント② たべもの
1~2歳になると、「たべもの」に興味を持つようになります。
『やさいさん』(作:tupera tupera)には、身近な野菜に顔が描かれています。
この絵本にはめくりたくなるしかけがあり、いろんな野菜が土の中で育つことを知るきっかけにもなります。
くりかえしのおもしろさで、「今度はどんな野菜が出てくるかな」と想像するたのしさがあります。
ポイント③ わかりやすいストーリー
『ちびゴリラのちびちび』(ルース・ボーンスタイン 作/岩田みみ 訳)の主人公は、ゴリラの「ちびちび」。森にいるすべての動物たちに愛されています。
子どもは、ちびちびに自分を重ね合わせて「大好き」と言われているように感じます。喜びや驚きなど、さまざまな感情を絵本の中で体験できるのです。
物語をたのしむ入口になる絵本で、あたたかみのある絵も魅力です。
りんたろー。さん(MC) 1~2歳になると、物語に入り込むような日常の出来事などの絵本が、絵本選びのポイントになるのですね。
よい絵本とは、子どもの成長段階に応じて違う読み方ができる絵本
代田知子さん 子どもの成長段階に応じて違う読み方ができ、長いスパンでたのしめるのがよい絵本だと思います。『いちにのさんぽ』を例に見てみましょう。 1~2歳は音でたのしみます。「いちに いちに いちにのさんぽ/さんぽ ぽくぽく いいきもち」のようにリズムが気持ちいいですね。 この絵本では、散歩の途中で「ありさん ありさん こんにちは」のようにいろんな出会いがあります。2歳ぐらいになると「次は誰に会うんだろう」「あ、犬だ」のように、ストーリーを追って、次を予想してたのしめるようになります。 また、日常生活の中に絵本の世界が入り込むと、生活が豊かになります。郵便ポストに「ポストさん ポストさん こんにちは」と言って遊ぶようになるかもしれません。絵本を一緒にたのしんだ親子だからできる絵本遊びだと思います。
―― 絵本に興味を持たない子どもの場合は、どうすればいいですか?
子どもはだんだんと聞けるようになるので、気長に気楽に取り組む
回答:代田知子さん まずは、絵本がたのしいとわかることが大事です。無理に聞かせようとせず、一緒にたのしんでみてください。 まだストーリーが追えない段階でストーリーがある本を読ませようとすると、子どもがついてこれずに「うちの子は聞けない」と思うかもしれません。でも、いち場面で終わる話や、好きな場面だけをくりかえし読みたがる子もいます。最後まで集中して聞ける子どもは、まずいないと考えてください。 だんだんとストーリーが追えるようになってくると、聞けるようになります。気長に、気楽に、あきらめないことが大事かもしれませんね。
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