気になる子どもの運動の現状,幼児期からの運動習慣形成プロジェクトとは?

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2024/06/29

出典:すくすく子育て[放送日]2024/06/29[再放送]2024/07/04

次の図は、スポーツ庁が小学5年生を対象に毎年実施している体力テストの結果です。

小学5年生の新体力テストの合計
出典:スポーツ庁 令和5年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」

コロナ禍の影響などで点数は低下傾向にあり、2022年に過去最低を記録しました。一方で、肥満の割合は過去最高を記録し、体力・運動能力のみならず生活への影響も心配されています。

入学前の外遊び実施状況と新体力テスト合計点(10歳)
※出典:スポーツ庁 令和元年度「体力・運動能力調査」

体力テストの結果は、幼児期と関係ないように見えますが、幼児期に運動習慣がある子どものほうが点数も高いことが調査の結果で明らかになっています。

こうした結果を受けて、スポーツ庁が取り組んでいるのが「幼児期からの運動習慣形成プロジェクト」です。
このプロジェクトは、自治体と運動知識のある大学、インストラクターなどが連携して子どもの運動習慣を整えるだけでなく、保護者や保育士など大人も一緒に運動の意識を高める取り組みです。
少しでも運動に触れることができるイベントなどを全国各地で始めています。

プロジェクトの実践例

千葉県富里市のあるこども園では、順天堂大学が富里市と連携して行っている「幼児期からの運動習慣形成プロジェクト」に、2024年の春から参加しました。子どもが興味を持つ遊びを通して、効率的・効果的に運動能力を高めるプログラムが実践されていて、保育士も一緒に取り組みます。

では、プロジェクトの様子を見てみましょう。

園児たちに渡されているのは縄跳び用のロープです。でも、縄跳びをするのではありません。

地面にロープを置いて、ロープの上を落ちないように歩いてみるのです。

ロープから落ちないように意識させることでバランス能力を養います。

ロープの形を見ると、丸だったり、S字だったりさまざまです。運動の中に子どもの自由な発想も取り入れます。

今度は、2人で2本のロープを使って、向こう側まで渡ってみます。でも、ロープが2本だと長さが足りません。足りないものがあれば、どうするかをみんなで考えてみます。

ある子どもたちは、渡り終えたロープを取って、先につなげていました。子どもが友だちと一緒に考えながら取り組むことで、社会性や問題を解決する能力、自己肯定感を育んでいきます。

「ものを操作する動き」「バランスを取る動き」「体を移動させる動き」など3つの動きに重点を置き、順天堂大学がスポーツ科学・幼児期の体づくりの特徴を踏まえて作ったプログラムです。

保育士の声

私は運動が好きなので、運動遊びを伝えてきたほうだと思いますが、このロープの使い方ははじめてでした。このような取り組みで自分の保育を変化させていけると、意識が変わったように思います。

取り組みを始めたことで、子どもたちはケンカをしても折り合いをつけられるようになったり、ケガなど運動に関する不安も少なくなったりしたそうです。子どもと大人が運動を通して変わるこの取り組みで、保護者にもよい影響があったといいます。

保護者の声

私たちもできるだけ走り回って、子どもと運動することを心がけるようになりました。子どもたちは大人と交わって遊ぶたのしさや刺激があると思います。子どもと一緒に過ごせる時間は短いと思うので、できるだけ子どもたちと同じ目線で動けていけたらと思います。

りんたろー。さん(MC)

私はサッカーの経験が人間形成に大きな影響になった思っていましたが、あくまでも中学生・高校生くらいからだと感じていました。でも、幼児期からそういうものが大切なんですね。
すくすくファミリー

親子で一緒に、ちょっとした動きでも大切にしていきたいと思いました。運動能力が高いことが全てじゃないという話を聞いて、運動へのハードルがずいぶん下がりましたね。

親の関わりで、子どもの物事に関わる姿勢が育まれる

吉田伊津美さん

親が関わることで、子どもは一緒にすることをたのしめます。忙しい中でも、子どもと向き合って関われる時間を少しでもつくってみてください。手が離せなくても「見守ってるよ」という視線を送ってうなずいてみたりしてみましょう。そうすることで、子どもが物事に関わる姿勢も育まれ、質の高い遊びに発展していくのではないかと思います。

体を動かすことは、体づくりだけでなく、心づくりにも大切

鈴木宏哉さん

遊びを通して体を動かすことは、体づくりだけではなく心づくりにも大切です。体を動かすことにまつわる教養といってもいいかもしれません。その教養を大人が高めていくことで、子どもの運動習慣も変わって、子どもの将来の幸せにもつながると思います。

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