気になる子どもの運動の現状

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2024/06/22

出典:すくすく子育て[放送日]2024/06/22[再放送]2024/06/27

4歳~6歳ぐらいの幼児のボール投げ・遠くに跳ぶなどの運動能力は、およそ30年前の親世代と比べて「半年」ほど遅れているといいます。どういうことが原因なのでしょうか。

生活環境の変化で体を動かす経験が減少している

回答:吉田伊津美さん

生活環境の変化で、「三間(さんま)」という「時間・空間・仲間」の3つの「間」が減って、体を動かす経験が減少していることが原因だといわれています。例えば、遊ぶ場所や時間がないなどです。
時間・空間・仲間という物理的な環境の「三間」に、「手間・お茶の間」の2つを合わせたものを「五間(ごま)」といいます。大人の理解や、子どもが体を動かす環境を意図的に整えること、家庭の中で少し動けるようにするなどのアプローチが必要になるでしょう。

幼児期からフィジカルリテラシーを高めてあげることが大事

回答:鈴木宏哉さん

体を動かすことだけでなく、さまざまな経験をさせてあげることが大切です。運動といえば、スポーツや体を動かすことだけを想像してしまいがちですが、実際には体の仕組みや動かし方に関する知識、仲間と協力してフェアプレーを重んじる心なども、運動を親しむうえで大切なものです。このように、運動の持つ力を、さまざまな側面からとらえる知識や理解のことを「フィジカルリテラシー」といいます。幼少期からフィジカルリテラシーを高めていくことが、将来の健康や幸福度につながる可能性があるといわれています。

フィジカルリテラシーとは?

解説:鈴木宏哉さん

フィジカルリテラシーを、子どものドッジボール遊びを例に説明します。フィジカルリテラシーには、大きく分けると4つの側面があります。

まず「身体的要素」です。「ボールを投げる」「ボールをかわす」など、体力や運動能力に相当する部分になります。

ドッジボールをするとき、「このラインを越えたらアウト」「当たったらアウト」といったルールの知識・理解といった、「認知的要素」もあります。

投げるのが得意な子が投げ役になったり、逃げるのが得意な子がいたり、子ども同士で話し合いながら関わり合うなど、「社会的要素」もあります。

最後に、「ドッジボールは得意ではないけど、雰囲気は好き」のような「心理的要素」もあります。
運動する中で、関わり合いを通して社会性・非認知能力が育まれるのです。

フィジカルリテラシーをどう身につけさせる?

フィジカルリテラシーは、運動に興味を持ち関わることで高まっていきます。必ずしも無理に体を鍛えたり、スポーツの練習に励んだりする必要はありません。ふだんの生活の中で体を動かすことに意識を働かせたり、スポーツを見てたのしんだり、スポーツイベントに参加することなども効果的です。
小さなことでも、運動に関わるさまざまな経験を積み重ねることが、子どもたちの運動習慣につながり、生涯にわたって運動に親しむ土台となっていきます。


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