こだわりが強くかんしゃくが抑えられない、いい声かけは?

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2024/03/09

出典:すくすく子育て[放送日]2024/03/09[再放送]2024/03/14

息子(3歳9か月)のかんしゃくに困っています。周りの子どもだと言えば収まるようなことでもヒートアップします。ある日、お風呂の時間にゲームをしたくて大泣きしたときには、部屋を出て暗い階段の下でふてくされていることもありました。お兄ちゃん・お姉ちゃんとカルタをすると、自分の好きな札が取れないと怒り出します。そんな息子に、お兄ちゃん・お姉ちゃんはやさしく「がんばろう」と声をかけてくれます。
気持ちの切り替えが苦手で、こだわりが強く、幼稚園でもいちばんになれないとかんしゃくを起こすようです。給食のときに「眠いから寝る」と1人で寝てしまうなど、周りに合わせることがほとんどありません。先生たちはつきっきりになって、なだめてくれています。かんしゃくが抑えられないとき、何かいい声かけはありますか?
(お子さん3人のパパ・ママ)

「嫌だ」と気持ちを言えていることはすばらしい

回答:星山麻木さん

子どもが自分で「嫌だ」という気持ちを言えていることは、すばらしいことです。
また、お子さんが階段のところに行ったように、心を落ち着かせるために離れた場所へ行くことを「回避行動」といいます。自分で心を落ち着けようとして、一生懸命に頑張っていることの表れなのです。


―― ママやきょうだいの対応はどう思いますか?

子どもの気持ちを尊重して、寄り添うのはよい対応

回答:星山麻木さん

すばらしいと思います。無理に連れてきたり、叱ったりせずに、お子さんの気持ちを尊重して気持ちに寄り添い、とてもいい対応だと思います。


―― どうしてこのような行動をとってしまうのでしょうか?

切り替えが悪いように見えるのは、頑張ろうとしているから

回答:星山麻木さん

お子さんは、とても頑張り屋で、正義感が強いのだと思います。「自分はこうやりたい」と、しっかり決まっているのでしょう。でも、それができないとショックが大きいのです。大人から見ると、切り替えが悪いように見られがちですが、お子さんなりに頑張ろうとしている証拠だと思います。


―― 幼稚園で寝てしまったのにも理由があるのでしょうか?

100%の力を出して頑張るので疲れやすいのかも

回答:星山麻木さん

おそらく、頑張り過ぎるため、とても疲れやすいタイプだと思います。周りの子が70%ほどの力ですることも、100%で頑張るのでしょうね。その分疲れてしまうわけです。自分で切り替えるために布団に潜るのは、きっとお子さんなりの工夫だと思います。


―― どのように子どもと関わっていけばいいでしょうか?

「セーフ・パーソン」「セーフ・スペース」「セーフ・グッズ」が必要

回答:星山麻木さん

大切なことが3つあります。まずは「セーフ・パーソン」です。家族のように、安心できる人のことです。子どもをわかってあげる、寄り添いがとても大事です。
次に「セーフ・スペース」、ひとりになって気持ちを落ち着けられる安心できる場所です。誰も入ってこない、ちょっと狭いところを見つけてみてください。もしそのような場所がなかったら、作ったほうが安心できるでしょう。
3番目が「セーフ・グッズ」、持ったり触ったりしていると安心できる物です。これは子ども自身のお守りのようなものです。自分のお気に入りのぬいぐるみやスライムなどがあるといいですね。

子どもに必要な3つのセーフ

「セーフ・スペース」は、家の中以外にもあるといいですね。例えば、園と相談して、園の中にもちょっとした片隅にそのような場所があるといいと思います。


―― 子どもがヒートアップしているとき、本人が落ち着くまで見守っていていいのか、それとも声をかけたほうがいいでしょうか?

ヒートアップしているときは声をかけずそのまま発散させて

回答:星山麻木さん

基本的に、子どもがヒートアップしているときは、声をかけないほうがいいですね。子ども自身が発散したいので、そのままにしてあげましょう。子どもの気持ちが収まってくると、少しトーンが下がるなど、合図のようなものがあると思います。そのときに、抱きしめてあげたり、声をかけたりするといいでしょう。
娘(3歳9か月)はかんしゃくがひどく、こだわりの強さもあり、手を焼いています。かんしゃくを起こすと、私を叩いたり、蹴ったり、髪を引っ張ったりしてきます。
例えば食事、カレーや親子丼はごはんにかけられないので別皿です。触れるものにもこだわりがあります。幼稚園で、手を洗ったときに拭くのはタオルでないとだめで、ペーパータオルだと手を洗いません。鼻水を拭くのはウェットティッシュでないといけません。でも、幼稚園ではかんしゃくを起こしていないようです。
(お子さん3歳9か月のママ)

感覚の過敏性は、3~8歳ぐらいがいちばん強い

回答:星山麻木さん

皮膚にふれるところ、触覚が敏感だという話がありましたが、食べるのも同じです。例えば、のどを通るときの触感も敏感なのでしょう。これは生まれつきの「特性」です。感覚の過敏性は、3~8歳ぐらいがいちばん強く、自然に大丈夫になっていきます。どうにかしようと立ち向かったり、焦ったりしないでいいと思います。

こだわりが強いのは確かめて記憶しているから

回答:星山麻木さん

お子さんは、ひとつずつ自分で確かめて、「これなら大丈夫」と記憶しているのだと思います。食べ物も自分なりに確かめたくて、いろんな味が混ざるのが嫌なのかもしれません。


―― 園では何ごともなく、家でだけかんしゃくを起こすのはどうしてでしょうか?

園で頑張っているストレスが家で安心して爆発するのかも

回答:星山麻木さん

おそらく園では、園の先生や規則やみんなのしていることに合わせたくて、とても頑張って、ストレスをためているのかもしれません。ある意味、家では安心して爆発しているわけです。園の先生と相談して、園で頑張り過ぎていたら家ではリラックスなど、そのバランスについて考えてみましょう。

苦手なものは避けて大丈夫なもののレパートリーを増やす

回答:星山麻木さん

例えば、お子さんが嫌がるペーパータオルのように苦手なもの、感覚が敏感なところは避けたほうがいいと思います。それよりも「大丈夫なもの」のレパートリーを増やしていきましょう。


―― 叩いたり、髪を引っ張ったりするとき、どう回避すればいいでしょうか?

悔しい気持ち・残念な気持ちに共感する声かけを

回答:星山麻木さん

「悔しかったね」「できなかったね」と言ってみてください。私たち大人が、共感してくれる相手がいると気持ちが和らぐのと同じです。何回か声かけをしていると、「あぁ、わかってくれるんだ」と感じて、だんだん気持ちが収まってきます。

予想できるように先に説明しておく

回答:星山麻木さん

お子さんはとても繊細だから、自分の思っていたことと違うときにショックを受けるのだと思います。そういうときは、必ず先に予想できるようにしてあげると、少しずつ収まると思います。例えば、見通しがつくように、絵や図を見せたり説明したりしてみましょう。
とても記憶力があると思うので、心の準備に時間がかかるタイプだと思います。その分ショックも深いわけです。それが大人にはかんしゃくに見えるのでしょう。予防してあげるほうがいいですね。

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