皮膚のバリア機能が悪化し、免疫機能がうまく働かなくなる
回答:今井孝成さん 皮膚は「免疫臓器」でもあり、体の中に入り込もうとしている異物を常にはねのけています。湿疹があると、その免疫機能(バリア機能)がうまく働かず、皮膚から異物が入ってしまうわけです。
皮膚とアレルギーの関係
私たちの体には、細菌やウイルスなどの有害な異物が入ってきたときに「抗体」を作って体を守る仕組みがあります。
ところが、人によってはこの仕組みが食べ物や花粉など、本来は無害なものに対しても過剰に反応してしまうことがあります。これが「アレルギー」です。
実は、アレルギーの原因になりうる物質が口から入るより、皮膚からのほうが食物アレルギー発症のリスクが高いことがわかっています。
アトピー性皮膚炎や湿疹などで荒れた肌からは、アレルギーの原因となりうる食べ物が入りやすくなり、抗体が作られます。
その後、口からその食べものを食べたときに、すでに作られた抗体が働いてしまい、食物アレルギーを起こしやすくなると考えられています。
湿疹がある状態で離乳食を進めていいの?
(お子さん2歳3か月・5か月のママ)
適切な時期に離乳食を始めることが食物アレルギー予防につながる可能性がある
回答:今井孝成さん 離乳食は、湿疹や肌荒れがない状態で進めるのが理想です。皮膚に食べ物がついたとき、きれいな状態のときと、湿疹がありバリア機能が悪くなっているときでは、アレルギーのなりやすさが変わります。 一方で、適切な時期に離乳食を開始するほうが、食物アレルギーの予防につながることもわかっています。湿疹がよくなるのを待ち、離乳食を始めるのが遅くなることが、食物アレルギーの発症リスクを高めるのです。湿疹がある程度ある状況でも、適切な時期に食べ始めることが食物アレルギー予防につながる可能性があります。 以前は「アレルギーを起こしやすいものは、1歳まで食べさせないほうがいい」と言われていましたが、現在そのことは、明らかに否定されています。離乳食の指針通りに進めていくことが大事です。
<離乳食は自己判断で遅らせない>
離乳食は自己判断で遅らせず、生後5~6か月ごろ開始するのがよいといいます。
卵など食物アレルギーのリスクが高い食材は、赤ちゃんの体調がいいときに、新鮮な食材をしっかり加熱調理して、他の食材とは混ぜないようにしましょう。1日1回、小さじ1杯程度から始めて、慣らしていきます。
―― もしも、食べたときに口の周りが赤くなるなどしたら、どうしたらいいでしょうか?
口の周りが赤くなるなどしても慌てない
回答:今井孝成さん 口の周りが赤くなるなどしても慌てなくて大丈夫です。食べられるけど、触れると症状が出る人はたくさんいます。その症状が口の周りだけであれば、食べて出た症状ではなく、触れて出た症状だと考えられます。触れた皮膚の表面にだけ反応が出るのは「かぶれ」で、食べると発疹・おう吐など全身に反応が出るのが「食物アレルギー」です。触れて症状が出ただけなら、食べることはできるわけです。
血液検査の結果だけで除去を決めず、専門医と相談する
回答:今井孝成さん 口のまわりに皮膚症状が出て、病院で血液検査をして、結果が陽性だと「食物アレルギーだ」と考えて除去を開始してしまうケースがあります。もう少し冷静に捉えて、血液検査の結果だけで除去を決めず、専門医と相談しましょう。
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