子どもが成長する中で、社会との接点が増えることに不安を感じる…

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2023/10/07

出典:すくすく子育て[放送日]2023/10/07[再放送]2023/10/12

まず、発達障害があり、うつ病の経験があるママの悩みです。

私は、聴覚過敏があり、騒がしい環境が苦手です。子どもを連れて外出したいと思って、よく地域のイベントに行くのですが、私が苦手な環境の場合もあります。例えば、子どもたちが一斉に「わ~!」と大きな声を出しているとき、それが幸せな光景だとわかるのですが、聴覚過敏のためにしんどくなって、その場から離れることもあります。
ただ、ほかの人から「あれ? お母さんなのにどうして離れるの? 子どもを戻さなくていいの?」といった印象を持たれるなど、誤解が生まれやすいと感じています。子どもが成長して社会との接点が増えていくと考えると、そのことに不安を感じます。
(お子さん1歳10か月のママ)

まだ精神障害、発達障害への偏見が強い。理解が広がることが大事

蔭山正子さん

日本では、まだ精神障害、発達障害への偏見が強いので、「病気や障害があるように見えない人でも、生きづらさを抱えている」と伝えることが難しいのです。こうやって当事者の悩みを話していただけることで、理解が広がると思います。偏見なく理解があれば、配慮につながると思います。

発達障害について

解説:広瀬宏之さん(横須賀市療育相談センター/小児精神科医)

発達障害とは、脳機能の発達の偏りによる、発達のアンバランス(凸凹)と、周囲の環境が合わなくなった、ミスマッチの状態と考えられています。生きていくうえで困っている状態です。

発達障害への理解や、適切なサポートがないことで、うつ病などのメンタルヘルス不調になることもあります。また、発達の凸凹を治そう、矯正しようという行き過ぎた関わり方や指導環境によって、元々なかった症状が出ることもあります。発達障害には、このような「二次障害」があるのです。

発達障害のある人すべてが二次障害になるわけではありません。否定されたり、自尊感情を深く傷つけられたり、「こうあるべき」を強要されたり、安心感が脅かされたりすることが、二次障害につながる場合があります。

20~30年前、今の親の世代が子どものころは、発達障害はごく一部の特殊な状態だと誤解されていました。「努力が足りない」「親が悪い」と言われ、「普通の状態という型」にはめるような育て方がありました。「多様性の尊重」という言葉もなく、その時代に育った凸凹のある人は苦労したと思います。



―― 当事者として困ったときのサポートが得にくいと感じています。支援やサポートは「つらくなったら手をあげてください」と言われることがありますが、そんなときは手をあげること自体が大変です。

状態のよいときに支援につながるのが理想

回答:蔭山正子さん

メンタルヘルス不調は、波があることが特徴です。急に不調の波が来る人もいれば、おだやかにゆっくりくる人もいます。状態のよいときから支援を入れておくことが理想です。つながっていれば、悪くなったときにすぐに助けてもらいやすくなります。
できれば、妊娠したときから前倒しで相談してつながっておくといいと思います。出産後は、相談どころではなくなる場合もあります。


―― そういうサポートにつながるためには、どこに相談したらいいですか?

保健センター、子育て世代包括支援センターなど

回答:蔭山正子さん

まずは、「保健センター」や「子育て世代包括支援センター※1」など、行政の窓口で相談してみてください。担当の保健師が、その方の状況に応じてどのようなサービスがよいか考えてくれます。※2
※1 2024年度から「こども家庭センター」
※2 地域によって異なります


―― 保健師の方によって、メンタルヘルス不調に「くわしい・くわしくない」の差を感じます。

「子育て」と「メンタルヘルス」の両方がみられる専門職が増える必要がある

回答:蔭山正子さん

保健師によっては、メンタルヘルス不調を抱えながら子育てをしている方が相談しても、一般的な内容を伝えてしまう場合があります。例えば、「もっと体を動かすように。公園に遊びに行くのがいい」と言われても、体調がよくない場合は難しいわけです。子育てとメンタルヘルスの両方がみられる専門職が増える必要があると思います。現在、そういった保健師は残念ながらそれほど多くなく、私たちも努力しているところです。

困ったときの相談窓口・支援・サービス

子育て中のメンタルヘルス不調で困ったときは、「保健センター」や「子育て世代包括支援センター※1」などに相談すると、保健師が必要に応じて支援につなぐ仕組みになっています。※2
※1 2024年度から「こども家庭センター」
※2 地域によって異なります

子育て中のメンタルヘルス不調の相談先:保健センター・子育て世代包括支援センター(こども家庭センター)。保健師が必要に応じて支援につなぐ

支援・サービスとして、子どもの食事や園の送迎などの「育児支援」を含めた家事援助や、「訪問看護」を受けることもできます。

育児支援を含めた家事援助(障害者総合支援法):市区町村の障害担当窓口/精神科訪問看護:通院している精神科・心療内科など(医師の指示書が必要)

親を支えることが、子どもを支えることにもつながります。


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「あなたはひとりじゃない」つながれる場所をつくる取り組み

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