コロナ禍以降、長男(6歳)がよく「疲れた」と口にします。公園で遊んだあとや、朝起きてすぐ言うときもあります。ただ、大人が言う「疲れた」と意味が同じなのかはわかりません。
保育園からは、「体や心の面で数年前の子どもたちの姿とは少し違うと感じる。体幹が弱くまっすぐ立てる時間が短い。体を支える腕の力が弱い」と聞きました。また、「散歩に行っても『疲れた』と言う子が多い。できるだけ歩いて移動してください」とも言われています。
保育園からは、「体や心の面で数年前の子どもたちの姿とは少し違うと感じる。体幹が弱くまっすぐ立てる時間が短い。体を支える腕の力が弱い」と聞きました。また、「散歩に行っても『疲れた』と言う子が多い。できるだけ歩いて移動してください」とも言われています。
そのため、積極的に子どもを外に連れ出して体全体を使って遊ばせ、家の中でも運動できる環境にしています。
コロナ禍で、子どもたちの体力が本当に低下しているのでしょうか。体力低下が起きているのであれば、家でどのようなことをしてあげたらいいのでしょうか。
(お子さん6歳・3歳11か月・1歳5か月のママ)
松本薫さん たしかに子どもは「疲れた」と言いますよね。柔道教室でも、先生が「最近の子どもは体力がない」と言うのをよく聞きます。
「体力・運動能力調査」では、子どもの体力低下がみられる
回答:野井真吾さん 「体力・運動能力調査」という、スポーツ庁が行っている全国調査があります。みなさんも「スポーツテスト」を経験したことがあると思います。その結果によると、この2~3年は明らかに数値が低下しているので、コロナ禍の影響はあると思われます。
子どもの「疲れた」は、コロナ禍前から
回答:野井真吾さん ただ、子どもの体に関する保育現場や教育現場の先生方の実感を尋ねる調査によると、すぐ「疲れた」と言う子どもは、コロナ禍以前からみられています。例えば1995年の調査で、「すぐ『疲れた』という子どもが最近増えている」の割合は、保育所で76.6%、幼稚園で73.9%です(※)。 ※出典:野井真吾ほか 子どもの"からだのおかしさ"に関する保育・教育現場の実感 -「子どものからだの調査2010」の結果を基に-
子どもの「疲れた」は「防衛体力」の低下が原因と考えられる
回答:野井真吾さん 子どもが「疲れた」と言うのは、「体力」という言葉でイメージしやすい、運動の場面で発揮される「運動能力」や、筋力・敏しょう性・持久力などの「行動体力」ではなく、「防衛体力」と呼ばれる体力の低下が関係していると思います。 「防衛体力」は、体を守るために必要とされる体力で、細菌やウイルス、気温の変化など、外からの刺激に対して体の機能を一定に保とうとする体力です。例えば、かぜが治らない・疲れがとれないときに「体力がない、体力が落ちた」と言うことがありますが、この体力は筋力や持久力のことではありません。「防衛体力」における自律神経の不調・免疫力の低下などが原因と考えられるわけです。
―― どのようなことに気をつけたらいいでしょうか?
生活リズムを整えて「防衛体力」を保つ
回答:野井真吾さん 「防衛体力」を元気にする方法はいろいろありますが、中でも生活リズムを整えることが大事です。生活リズムを整えるためには、メラトニン(睡眠導入ホルモン)が鍵になります。 メラトニンは、眠りを誘う働きを担っているホルモンです。メラトニンを分泌させるために必要なのは、日中に「太陽の光をたくさん浴びる」「体を動かす」こと、つまり、外遊びをすることです。外遊びで分泌されるセロトニンという物質がもととなり、夜、暗闇を感じるとメラトニンが作られます。これが寝つきをよくし、早寝早起きにつながります。 生活リズムのために、よく「早寝・早起き・朝ごはん」というスローガンが使われますが、これを実現するためには「光・暗闇・外遊び」が大事になるのです。
―― 生活リズムが重要なのですね。松本さんは、生活リズムに気をつけていますか?
松本薫さん そうですね。私は朝5時に起きてランニング、夫を6時、子どもを6時半に起こしています。夜は10時に寝ています。そんな生活をほぼ毎日しています。
ルーティンは、生活リズムを整えるポイントになる
回答:野井真吾さん すぐ寝ることができるのはメラトニンがしっかり分泌されている証だと思います。また、毎日同じルーティン・決まった手順をすることは、生活リズムを整える大事なポイントになります。
PR