子どもは戦争について理解できるの?
―― 幼児期の子どもは戦争について理解できるのでしょうか?
「ケンカ」など、子ども同士で起こる身近な言葉で伝えると理解しやすい
回答:池田美樹さん 戦争という概念を理解するのは、とても難しいと思います。0~2歳だと、戦争を理解することより、「怖い」などの感情が先に出てきます。3歳ぐらいになると友だちと関わるようになり、自分の知っている世界での物事がわかるようになってきます。ただ、映像・物語と現実との区別がつきづらいところもあるでしょう。 例えば「ケンカ」など、子ども同士で起こる身近な言葉で、「国と国でケンカしている状態なんだよ」といった伝え方だと理解しやすいと思います。子ども同士のケンカでも、言葉で傷つけたり、相手にケガをさせてしまったり、叩かれて自分が痛みを感じたりします。そのような体験のひとつひとつを通して、どんなことで気持ちや体が傷つくのか、どれくらい調節をすればいいのかを理解していきます。
戦争について定義や答えを断言するのではなく、気持ちを考えて広げていく
渡部陽一さん 戦場カメラマンとして最前線で感じたのは、「誰も戦いを望んでいないのに常に戦争が起こっている」ことです。そこで繰り返されている感情は、「自分の家族や子どもたちを守る」という思いです。それで戦いが起こってしまう。それぞれの国には、それぞれの言い分があります。それぞれの戦争に、定義や答えを断言することはできません。少し肩の力を抜いて、「その国はどうしてこんな感じ方をしているのだろう?」「もし私の国だったら、どんな思いを感じるだろう?」「どうしてこの地域と日本は違うのだろう、一緒な部分はどこだろう?」といったことを考えたり、気持ちを重ねたりする。そういった感情の広がりを日常的に意識すると、戦争に限らず、どんな環境にも気持ちが広がっていくと思います。 子どもたちは、友だちとの遊びやケンカでも、生活の慣習を敏感にキャッチしていきます。例えば、ウクライナとロシアのことでも、ニュースを見て「どうしてウクライナの国旗は黄色と青なのか?」と国旗から考えたり、「ロシアの言っていることで日本とつながることはあるのか?」と言葉から考えたり、そのときに感じたことや知っていること、ひとつひとつゆっくりと触れていく。それが、子どもたちの安心感のある力や経験になると感じます。
古坂大魔王さん(MC) じっくり、ゆっくり、いろんなことを言いながら、ゆっくり考える時間を与えるのは大事ですよね。
鈴木あきえさん(MC) わかりやすく簡潔に伝えるという感覚でいましたが、ひとつひとつのことから知識を膨らませていくのですね。住むところの違いやおしゃれのしかたなどから、世界に少しずつ触れていくのも大切だと思いました。
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