「助けて」と言える力を身につけるために
最後に、ある工夫で「助けて」と言える力を少しずつ身につけたという体験談を紹介します。
4歳と5か月の子を育てています。1年ほど前に、パパの転勤で引っ越してきました。知り合いがいない中での子育てですが、この「助けてくれる人マップ」が私に元気をくれます。 自分の周りを囲むように、親、きょうだい、友人、自治体の相談先や食事の宅配サービスまで、ありとあらゆる「助けてくれる人」を書き込んでいます。何かあったときには、なかなか思い出すことができませんが、ノートを見ると「私を助けてくれる人がいる」と気づけます。 この「助けてくれる人マップ」は、最初の出産のときの苦しい体験から、編み出したものなんです。切迫流産、切迫早産があり、妊娠中はとても不安でした。里帰りで出産して、実家で過ごしていた間も、両親が働いているため、日中は子どもと2人きり。母乳もなかなか出ず、睡眠不足で倒れる寸前でした。いよいよ自宅に帰る直前になって、育児の大変さをパパに伝えると、「大変だったら、もうちょっとそっちにいていいよ」と言われたんです。2人の子なのに、私だけが育てている、私だけに責任があるような気がして、心が壊れかけました。 絶望的な気持ちの中、ふと誰が自分を助けてくれるのかノートに書き出してみました。「自分の周りにはこれだけの人がいるから大丈夫」と自分に言い聞かせていました。それから、自分の感じている思いをノートにつづるようになったんです。 再びつらい気持ちになったときに、自分を中心にして、助けてくれる人から矢印を書いてみたら、みんなが私にパワーをくれるように思えました。地元を遠く離れた今、もっとたくさんの助けが必要だと感じています。その思いが、今の「助けてくれる人マップ」に進化したと思います。 (お子さん2人のママ)
頼れる人が少ないと、頼れなくなったときに自分も壊れてしまう
コメント:大日向雅美さん すばらしいですよね。たくさんの助けてくれる人が広がっています。助けてくれる人が、1~2人だと、その人に頼れないときは全て自分が背負うことになり、やがて自分も壊れてしまいます。この人がだめでも、次の人がいることが大事なのです。
「助けて」と言うときには今の自分を見つめることが原点に
コメント:大日向雅美さん 「助けてくれる人マップ」を作ることが、自分を見つめるチャンスになったことも、すばらしいと思います。自分から発信することが大事で、「助けて」と言うときには、今の自分を見つめることが原点になることを改めて教えていただきました。
助けてくれる人や支援先を「見える化」
コメント:市川香織さん このケースも、「アウェイ育児」の典型だと思います。つらい状況だったことでしょう。その中で、支援の場所がどれだけあって、支援してくれる人がどれだけいるのか、「見える化」したことがとてもいいですね。書くものがあればできるので、ぜひみなさんも「助けてくれる人マップ」を作ってもらいたいと思いました。
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