「助けて」と言えない… どうしたらいい?
番組「すくすく子育て」のアンケートに届いた、「悩みを話せない」という声を紹介します。
義父母の子どもへの関わり方にイライラします。でも、義父母のイメージを悪くしたくないので、私の家族や知人には言えません。パパの親戚に話すと私のほうが悪く言われそうで心配です。パパも自分の親のことだと意地になり、ケンカになるので言えません。 (お子さん3人のママ)
夫と教育方針に違いがあってモヤモヤしますが、身近な人には相談できません。家族に心配をかけたくないし、友人の間で悪いうわさになるのも避けたいです。自治体は今後もつきあいがあるので、「あそこの夫婦はうまくいっていない」と思われたくありません。誰でも気軽に匿名で相談できるところがほしいです。 (お子さん2歳4か月のママ)
―― このように「助けて」と言えないとき、どうしたらいいでしょうか?
匿名の電話相談などもある
回答:市川香織さん 対面での相談は、ハードルが高いかもしれませんね。でも、とにかく一度、自分の気持ちを表に出すことが大事です。電話相談の中には、匿名で受けるところも多くあります。例えば、日本助産師会では、各都道府県に匿名の電話相談窓口を設けています。そういったところにアプローチしてみましょう。また、LINEでの相談などもはじまっています。自分に合った相談先を見つけておくといいですね。
言いやすい悩みから相談してみる
回答:大日向雅美さん 地域に相談場所が増えてきてよかったと思います。でも、相談に行けないこともありますよね。大きな悩みの根本がパートナーであったり、それぞれの親であったりすると、イライラすることがあるけど守りたい存在でもある。だから、最初から全てを相談するのではなく、差し障りのない軽い荷物から降ろしてみましょう。言いやすい悩みから相談して、「この人なら大丈夫」と思えたら、段階的に相談する内容を深めていくのがいいかもしれません。
ここで、一歩踏み出して悩みを打ち明けたことで、状況が好転したママの体験談を紹介します。
4人の子どもを育てています。パパは在宅勤務が多く、一緒に子どもの世話をしてくれます。上の子たちもよく手伝ってくれます。母は助産師で、困ったときに専門的なアドバイスをくれて、とても助かっています。 実は、4人目の産後3か月後くらいから、ふとしたことで涙が止まらなくなり、毎日がとてもつらく感じるようになりました。心配したパパが助産師の母に相談して「一度、専門家のカウンセリングを受けてみては?」と勧めてくれました。でも、自分を否定されたような気持ちになり、自分のことでお金を払うのもハードルが高いと感じて、最初は抵抗していました。その後、母からさらに勧められて、しぶしぶ自治体の支援センターに相談したところ、無料のカウンセリングを知り、半信半疑で利用してみたんです。 実際にカウンセリングを受けてみると、子どもを預けられて、カウンセラーとじっくり話し合えて、遠慮なく自分と向き合えて、私にとって大切な時間になりました。ハンカチがぐしょぐしょになるくらい、いろんな感情を吐き出して、この先どうすればいいのか気持ちを整理できた気がして、とても安心したんです。その後、2回カウンセリングを受けて、だいぶ心が軽くなりました。パパは、カウンセリングを勧めるとき、私がどんな反応をするのか怖かったけど、きっと専門家の声を受け入れてくれると思っていたそうです。 (お子さん4人のママ)
産後3~4か月の産後うつは多い
コメント:市川香織さん 産後3~4か月ぐらいで産後うつになる方が多くいます。上のお子さんたちもいて、妊娠中もほとんど休めなかったのではないでしょうか。それが後になって、徐々に不調が出てくることもあります。家族がタイムリーにカウンセリングを後押ししてくれたのがとてもよかったですね。
自分と向き合う時間が力になる
コメント:大日向雅美さん 興味深い点が2つありました。1つめはカウンセリングを勧められて、「私はそんな状態だったのか」とショックを受けたこと。これはとてもよくわかります。2つめは、実際にカウンセリングを受けたことです。そこで自分と向き合う時間をもらえて、自分のことを整理してもらえて、自身の力になったわけです。一方で、子育ての真っ最中で悪戦苦闘している親たちが、自分に向き合い、自分を大事にする時間がほとんどないことに胸が痛みました。
―― この方は、産後3~4か月のとき、助産師に体のメンテナンスをしてもらいながら話を聞いてもらうサービスを受けたけど、4か月を過ぎると利用できなくなったそうです。
産後は長期のサポートが必要
コメント:市川香織さん 自治体の問題もあるのかもしれませんが、たしかに期限を定めているところが多いと思います。より長期のサポートが必要なことを私たちも自覚して、自治体にも要望を出していけたらと思いました。
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