小児がんとは?

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2023/02/11

出典:すくすく子育て[放送日]2023/02/11[再放送]2023/02/16

「小児がん」とは、15歳未満の子どもが発症するがんの総称です。日本では、毎年2000~2500人が新たに小児がんと診断されています。そのほとんどは白血病と脳腫瘍ですが、子どもに特有のがんもあり、種類が多いのが特徴です。


※小児がん拠点病院情報公開2018-20年集計より一部改変


11年前に小児がんの治療を受けて克服した四郎さん(15歳)のケースを紹介します。



現在15歳の四郎さん。小児がんのはじまりは3歳の夏で、頭痛を訴えて幼稚園を早退しました。かかりつけ医に熱中症と診断されましたが、何日たっても症状が改善しません。「頭が痛い」と言って頭をトントンとたたいたり、吐いたり、失禁したり、けいれんすることも起こってきたそうです。
そこで、いろいろな病院で治療を受けたり、セカンドオピニオンを受けたりして、最初の受診から8か月後に、ようやく脳腫瘍と診断されたといいます。小児がんでは、このように診断までに時間がかかることがあるのです。


―― 松本さん、小児がんの診断は時間がかかるのですか?

最初の症状からは、すぐに診断がつけづらい

回答:松本公一さん

小児がんの最初のころにみられるのは、熱や頭痛など、一般的なかぜと同じような症状です。そのため、すぐに「がん」だと診断するのはとても難しいのです。また、子どもが自分の症状をうまく表現できない場合もあり、どうしても診断が遅れることが多いと思います。

ここで、番組にアンケートを寄せていただいた佐藤さん(仮名)にも話を聞きました。2021年の6月に長男が白血病と診断され、1年間の入院治療。今は、月に1回の通院治療中だそうです。


―― 診断がつくまで大変でしたか?

コメント:佐藤さん(仮名)

最初、6月中旬の夜中に腹痛と微熱があって、あまりにも痛そうで、往診でみていただきました。そのときは、便秘ではないかと診断があり、整腸剤を処方してもらえました。たしかに排便が2日前くらいだったんです。
それから様子をみていたのですが、また夜に発熱と腹痛があったり、夕方になるとひざや足首、股関節など、「関節が痛い」と言うようになりました。すこし待てば落ち着いていたのですが、その後、夜ごはんのとき急に「痛い、痛い」と言うようになったんです。



腹痛・微熱・関節の痛みは一向によくならず、救急や近所のクリニックなどで受診を繰り返し、最終的に総合病院で血液検査を受けたところ、白血病と診断されました。診断を聞いて、ただ驚きました。


―― 最初に薬(整腸剤)を処方されて経過をみていても、いつもと違うと感じていたのですか?

コメント:佐藤さん(仮名)

どちらかというと、けがをして泣いても、すぐに「ケロッ」として遊ぶような子で、こんなにしつこく「痛い、痛い」と言うのはおかしいと感じていました。整腸剤を飲んでいるのに改善しないところも気になっていました。
コメント:古坂大魔王さん(MC)

親が感じる「いつもと違う。これはおかしい」は、大事にしたほうがよいのですね。


―― 松本さん、なかなか診断がつかないとき、親にできることはありますか?

症状が改善しないときには、くわしい検査などをお願いする

回答:松本公一さん

例えば、一般的なかぜの場合、熱が5日以上続くことはあまりありません。もちろん5日以上続いたからといって、「がん」というわけではなく、他の病気の可能性もあります。症状が改善しないときは、かかりつけ医にもう少しくわしい画像検査や血液検査をお願いしてみてください。
また、佐藤さんのお子さんのように、微熱を繰り返したり、痛みが続いたり、ふだんとくらべて「おかしい」と感じることがあれば、病院を受診したほうがいいでしょう。
コメント:鈴木あきえさん(MC)

大人は、定期的な健康診断や人間ドックで発見される場合もありますが、子どもにはありませんね。ふだんの親の向き合い方、症状や状態をみることが大事だと改めて感じました。


―― 親としては、どの程度「おかしい」と感じたら受診するのか、見極めが難しいと感じます。どう判断すればよいでしょうか。

子どもに異変を感じたら、遠慮せずに病院を受診

回答:松本公一さん

例えば、ぜんそくだと思っていた子に、実は胸の腫瘍があるようなケースが、年に1~2人います。はやく見つけようとする努力は必要なのです。コロナ禍では、受診控えする方も多いのですが、「何かおかしい」と子どもの異変を感じたら、遠慮せずに病院を受診したほうがよいでしょう。

小児がんのサイン

回答:松本公一さん

小児がんのサインとして、発熱、頭痛、食欲不振、体重減少、不機嫌、骨・関節の痛み、歩きたがらない、筋肉・胸・おなかのしこりなどがあります。



これらはあくまで一般的な症状で、しこり以外はがんでなくてもみられる症状です。
白血病では足に細かい点々のあざができることがあります。ぶつけてできるあざではなく、もっと細かいもので、出血斑といいます。そのような徴候があって、それ以外の症状が組み合わせて出てくることがあります。


―― 佐藤さん、総合病院で診断がついてからは、スムーズに治療がはじまりましたか?

コメント:佐藤さん(仮名)

最初に血液検査をした病院では、「小児がんの治療はできない」と言われ、治療できる病院に転院することになりました。でも、転院先が子どもに慣れておらず、「子ども専門の病院に転院させてほしい」とお願いしたんです。すぐに対応いただいて、翌日には転院しました。
子ども専門の病院では、看護師や医師も、子どもへの接し方が丁寧で、治療のときも必ず子どもに説明してくれました。子どもが怖がらないようにしてもらえて、とても安心感がありました。


―― 病院選びが大事なのですね。松本さん、どのような病院に行くのがよいでしょうか?

小児がんの治療の経験を持った病院がある

回答:松本公一さん

現在、小児がん治療の経験をたくさん持つ「小児がん拠点病院」が全国に15施設(※1)あります。全国を7つのブロックに分けて、それぞれに配置されています。それ以外にも、各都道府県に「小児がん連携病院」が144施設(※1)あります。国立成育医療研究センターのホームページ(※2)にも、小児がん拠点病院・小児がん連携病院を掲載しています。どこの病院がどれだけの小児がんを診ているかわかるようになっています。
または、かかりつけ医にそのような病院を紹介してもらうのもよいでしょう。

※1 2022年4月1日現在
※2 https://www.ncchd.go.jp/center/activity/cancer_center/cancer_kyoten/


―― 番組のアンケートで、「小児がんの原因はわかるのでしょうか? 予防法があるなら知りたい」という質問が届いています。

原因も予防法もわかっていない

回答:松本公一さん

残念ながら、今のところ小児がんの原因や予防法はわかっていません。正常な細胞が異常な細胞になったものを「がん」と言いますが、子どもの場合は神経や、特定の細胞になる前の細胞の赤ちゃんがガン化してしまうのです。その理由が、まだわかっていないのが現実です。一部のガンでは遺伝が関係しているといわれていますが、ほんとうに一部です。

治療後の副作用とは?

小児がんの家族支援とは?

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