そもそもワクチンってどんなもの?

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2023/01/14

出典:すくすく子育て[放送日]2023/01/14[再放送]2023/01/19

子どもの予防接種は、定期接種とインフルエンザワクチンを受けています。受けるものだと思っていましたが、家族が新型コロナウイルスの陽性になったことや、子どもに新型コロナのワクチンを接種できるようになったこともあり、ワクチン全般に興味を持つようになりました。そもそも、ワクチンってどういうものなのでしょうか。
(お子さん5歳・3歳・5か月のママ)

自然感染以外で免疫を獲得する方法

回答:松永展明さん

人類の歴史をみると、多くの人が感染症で亡くなってきました。一方で人の体には、病原体が一度体に入ったあと、同じ病原体に再感染や重症化しにくくなる、「免疫」というしくみがあります。この免疫を、自然感染以外の方法で獲得して、命を守るために作られたのがワクチンです。



子どもには、かかりやすい感染症がたくさんあります。その中でも、特に命に関わる病気、後遺症が残るような病気に対してワクチンが開発され、予防接種されています。例えば、Hib(ヒブ)感染症や肺炎球菌感染症によって起こる細菌性髄膜炎は、熱があっても元気だった子どもが、次の日には急変してしまい後遺症を残したり亡くなったりしてしまう場合があります。小児科医としても怖い病気でしたが、ワクチンによって激減しました。

自然感染と予防接種では、重症化リスクなどに違いがある

回答:松永展明さん

自然に感染した場合と、予防接種の場合では、どちらも免疫ができますが違いがあります。自然感染の場合、重症化や、他の人が感染するリスクがあり、作られる免疫は強くなります。一方で予防接種の場合は、ほとんど重症化せず、他の人が感染することもありません。作られる免疫は、自然感染よりは少し弱いといわれています。そのため、繰り返しワクチンの接種が必要な病気もあります。


ニュースなどで、「治験でワクチンの安全性が確保された」「子どもの接種が承認された」と聞きますが、どのように安全性を調べているのでしょうか?

ワクチンの安全性や有効性を複数の段階を踏んで検証している

回答:松永展明さん

治験では、安全性を保つためにいくつかの段階を踏んで臨床試験が進められます。



まず、マウスなどで有効性・安全性を調べます。安全性が確認されたら、次に治験(臨床試験)として少人数の人を対象に調べます(第Ⅰ・Ⅱ相試験)。それで安全性が確認されたら、数千~数万人を対象に大規模な試験を行い、ワクチンが安全で有効性があることを検討します(第Ⅲ相試験)。薬やワクチンは、こうした段階をへて、安全性や有効性を確認した上で承認され、実際に使われるようになります。承認後も情報を集めて、分析や評価が行われます。

通常、治験は少なくとも5~10年ぐらいの期間で行われています。新型コロナウイルスのワクチンの場合は、できるだけすみやかに、治験の3ステップを踏んで承認され、さらに効果の持続性などを確認するため、臨床試験の一部が継続されています。


―― 予防接種について、私たち親自身が知らないことが多いように思います。

予防接種の内容は変わっている

回答:阿真京子さん

私も親になって予防接種の内容を見たとき、「多いな」と思いました。でも、その一つひとつが重い病気から子どもを守ってくれることを知りました。



この10年で、定期接種になったワクチンはいくつかあります。特に2013年、Hibワクチンが導入されて、2010年に比べてHib(ヒブ)による細菌性髄膜炎が98%減少しました。小児のHib・肺炎球菌ワクチンは、多くの先進国では1990~2000年代に定期接種化されていましたが、日本は2013年です。実は、この病気に苦しむ子どもを持つ親たちの働きかけもあり、ようやく実現したのです。

「任意接種だから重要ではない」わけではない

回答:松永展明さん

予防接種には、公費で実施される「定期接種」と、自己負担となる「任意接種」があります。



しかし、「任意接種だから重要ではない」というわけではありません。海外で定期接種化されていても、日本ではまだである、というワクチンもあります。
2023年現在、おたふくかぜワクチンは任意接種ですが、ワクチンなしで自然に感染してしまうと、約500~1000人に1人の割合で難聴になることもあります。小児科医としては、必要なワクチンではないかと考えています。

予防接種のスケジュール、どうすればいい?

新型コロナウイルスワクチンの子どもへの接種について知りたい

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