子どもには、母親(父親)が必要?

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2023/01/07

出典:すくすく子育て[放送日]2023/01/07[再放送]2023/01/12

2年前に離婚して、ひとりで6歳の女の子を育てています。娘は言葉にはしませんが、母親が必要なのかなと思うときがたびたびあります。例えば外出先で、どこかの母親が子どもを抱いているところをじっと見つめているときがあります。ひとり親になったのが4歳で、まだまだ母親が恋しいときに離れてしまったのかもしれません。子どもは母親にだっこしてもらうほうが安らぐようにも思えます。母親の優しさと父親の優しさは違うのかもしれません。子どもに母親は必要なのでしょうか。
(お子さん6歳のパパ)

叱ったあとは、必ずその日のうちに仲直り

コメント:スザンヌさん

映像を見ていると、お子さんは笑顔でパパにぎゅっと抱きついたり、しっかり甘えているので大丈夫だと思えました。
私も親子2人の生活なので、例えば子どもを叱ったとき、パートナーがいれば子どもの逃げ場になるのかなと思う瞬間があります。でも、それはしかたがないので、寝る前に「さっきはごめんね」と伝えて、その日のうちに仲直りするようにしています。子どもは自分が悪いわけではないのに「僕もごめんね」と言ってくれるんです。

母親、または父親が必要ではないかと気になる方は多い

回答:赤石千衣子さん

ひとり親だと、どうしても何かが足りないのではないかと不安になることがあります。お子さんがほかの家族を見ていたときも、ただぼんやり眺めていただけかもしれません。とはいえ、母親、または父親が必要ではないかと気になる方は多いようです。ただ、子どものためにパートナーを探さなければと思うより大切なことは、今、目の前の子どもとしっかり向き合うことです。お子さんの様子を見ていると、今のパパとの暮らしを楽しんでいると思います。

気にかけてくれる大人との関係が大切

子どもの心の発達に影響があるのか、遠藤利彦さん(東京大学大学院 教授)にも話を聞きました。

回答:遠藤利彦さん

子どもにとっては、父親・母親が必要というより、その代わりになる人が近くに複数いてくれることが大切です。例えば、園の先生、友だちのお父さん・お母さん、習いごとの先生、かかりつけ医などです。気にかけてくれる大人との関係は、家庭と同じく子どもの心を育むといいます。親との関係以外に、多様な関係を経験できる機会をつくっていくことができれば、子どもの発達は健康な形で進んでいくと考えてください。

ひとり親の交流会

家庭を閉じるのではなく、オープンにして外との関係を意識してつくることが大切です。こんな関係づくりの場もあります。

こちらは、神奈川県横須賀市の委託で活動している、ひとり親の当事者団体です。月に一度、交流会を開き、地域の情報交換や勉強会を行っています。この日は大学生を招き、思春期の子どもの気持ちや、性教育について勉強会が開かれました。

親同士が話し合っている間、子どもたちはとなりの部屋で年上のお兄さん・お姉さんと遊びながら過ごしていました。

<利用者の声>
ここでは、子どもが年の離れた人と交流できます。子どもが楽しんでいることが一番かもしれませんね。私が父親で、子どもが女の子なので、女の子の育て方についていろいろ教えてもらえたらと思っています。
(お子さん小学3年のパパ)


よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり
https://www.yokosuka-himawari.com/



―― 家庭をオープンにすることが大事とのことですが、いかがでしょうか。

預けるときは、危険なこと以外はその家庭のルールにまかせる

コメント:スザンヌさん

私を知っている方が多いこともあり、わが家はオープンにしています。そこで心がけているのは相手を信頼することです。例えば、仕事でママ友や親戚に子どもを預けるとき、危険なこと以外は全てその家庭のルールに任せています。そのほうが、愛情をかけて関わっていただけるので、子どもも世界が広がり、委ねてよかったと思います。


―― 番組のアンケートには、こんな声も届いています。

私がひとり親だと言うと、「あ、ごめんね」といった反応があり、返し方に困ります。周囲に、どのようにひとり親であることを打ち明けていますか?
「シングルになったから失敗」「余ってる」と周りで言う人もいて、どのように対応すればいいのか考えてしまいます。

心ないことばは受け止めないで受け流す

コメント:スザンヌさん

私にも同じような経験があります。わが家は、ひとり親でひとりっ子ですが、「ひとり親でかわいそう、ひとりっ子もかわいそう、離婚してかわいそう、全部かわいそう」と言う人もいます。「離婚は悪い」というイメージがあるのです。言われたときは、「そうですよね」と言って、受け止めず、受け流します。言いたい人には、言わせておけばいいと思います。否定も肯定もしないで、くぐり抜けてきました。


―― 周りの人と、どのようにつきあっていけばいいでしょうか?

安心できる関係性から少しずつ打ち明ける

回答:赤石千衣子さん

先ほどの交流会のような場で、初めて同じ立場の人と出会えると、とても安心感があります。周りの人に打ち明けるときは、安心できるところから少しずつにすると、負担が少ないと思います。保育園や学校に行くようになったら、親しくなった方から「実は、お父さんは遠くにいるんだ」と話してみてはどうでしょう。私自身は、打ち明けるとき明るく話すようにして、「うちは楽しく母子家庭をやっているんです」と印象づけるようにしていました。そうすれば、「かわいそう」といったことが返ってきにくいと感じます。


―― 周りの人ができることはありますか?

普通に接してくれるとうれしい

回答:赤石千衣子さん

ふだん通りに接してくれることがいちばんです。お子さんの行き来も普通にしてください。もし何かに気がついて「いいな」と思うところがあったら、「よくやってるね」「そんな子育てすてきだね」と言っていただけると、とてもうれしいですね。

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