外国人の子育てに、どんな支援があるの?

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2022/12/03

出典:すくすく子育て[放送日]2022/12/03[再放送]2022/12/08

日本で子育てをしている外国人には、どのような支援があるでしょうか。いくつかの取り組みを紹介します。


こちらは、外国人の子育て支援を行なっているNPO法人「ホームスタート・二葉(東京都新宿区)」です。子育て経験者50人のボランティアスタッフが支援活動を行なっています。ここ数年、悩みを抱える外国人の訪問が増えているといいます。日本に来ていちばんに困るのは手続き。例えば、幼稚園・保育園に入るときのシステムがわからないという方がとても多いのです。

この日は、語学が堪能なボランティアスタッフと一緒に、フランス出身ママのお宅を訪ねました。来日4年目ですが、一緒に公園などに行ってくれる話し相手がほしかったそうです。友人のように寄り添いながら、育児の悩みを聞き、子育ての楽しさを伝えています。


こちらは、地域で外国人とつながりをつくる取り組みをしている任意団体「地球っ子グループ(埼玉県さいたま市)」です。この日は、4か国の外国人を含め、およそ30人が集まり、自然の中で交流を深めました。

散策のあと、みんなで楽しんだのは「クリスマス・リースづくり」です。こういった外国人と一緒に楽しむイベントを定期的に開催しています。

井上くみ子さん(地球っ子グループ)

外国人といっても、外国から通っているわけではなく、近所に住んでいる人たちです。その感覚を大事にしています。特別な何かをするのではなく、自然体で楽しく一緒にやっていきましょうと考えています。

こちらは豊島区と連携して、特に出産前後のケアサポートに力を入れているNPO法人「Mother’s Tree Japan(東京都豊島区)」です。

7か国語に対応した出産に関する動画配信もしています。日本での出産の方法や妊娠届の書き方など、きめ細かい情報を伝えています。

出産のときに役立つ指さしボードは11の言語に対応。妊婦が伝えたいことを、イラストを指さすことで意思表示ができる便利なアイテムです。

毎月開催している母国語母親相談会では、さまざまな言語の通訳者と一緒に悩みごとを聞いています。外国人ママ同士がつながれる場所にもなっています。

地方からもオンラインで相談を受けています。「地域にどうつながっていいか」「日本人のママ友をつくりたいけどできない」「どう話しかけたらいいかわからない」といった相談がくる一方で、日本人の親からも「どう話しかけてサポートできるかわからない」という話があるといいます。


今回、「Mother’s Tree Japan」の坪野谷知美さんとインドネシア出身ママに話を聞きました。

―― 日本人から、どのように接してもらえるとうれしいですか?

インドネシア出身ママ

話しかけてくれることがうれしいですね。声をかけてくれることで、気にしてもらえてることがわかるからです。例えばママ同士であれば、「娘さんは何組ですか?」といったふだんの会話でいいんです。本当に小さなことでコミュニケーションができたらと思います。

―― 外国人子育ての支援は、日本人の問題もあるのですか?

坪野谷知美さん(Mother's Tree Japan)

私は「外国人シャイ」と呼んでいます。「すごく助けてあげたい」と思っている方はたくさんいますが、自分からハードルを高くしがちなのです。特に英語、言葉に苦手意識があり、「日本語で大丈夫ですか?」と聞けばいいだけなのに、「何語かな? 英語なのかな? 英語だったら文法を間違わないかな?」と考えてしまう。「話しかけると迷惑にならないか」と考えてしまう国民性もあると思います。
外国人シャイなだけで、少し踏み出せば、同じ子育てをしてる親であり、自分たちが知らない知恵を持っている方たちです。そんな子育て仲間なんだと思うことができれば、すんなり入っていけると思います。それが子育てのシーンのおもしろさでもあり、多文化共生がしやすいと思います。

コメント:南野奈津子さん

私たちも、自分が外国で子どもを育てると想像すれば、「入園式はどうしたらいいの?」「どうやって病院に連れて行く?」と迷うに違いないとわかります。外国の方に「声をかけると失礼かな」と思うかもしれませんが、自分が同じ立場なら迷うはずといった気持ちで声をかけていくことも大事だと思います。
コメント:汐見稔幸さん

無視することはひどいいじめになります。一方で、「あなたに関心がありますよ」と伝えていくと人間関係ができます。「こんにちは」というあいさつだけでも、よろこんでくれると思います。あいさつに続く言葉がないと考えて、とまどわなくてもいいのです。例えば、目の前にあることをどんどん聞いていく。日本人は、そのような文化を身につけていくと、気楽に人間関係をつくることを学んでいけると思います。

外国にルーツを持つ子どもたちの保育

外国人の日本での子育てには、どんな悩みがあるの?

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