外国人の日本での子育てには、どんな悩みがあるの?
日本で暮らす外国人にとって、日本語や文化に慣れない中での子育ては悩みがつきないようです。役所やNPOにサポートを求めてきた親たちに、どんな悩みがあるのか聞いてみました。
まずは言葉。日本語の問題です。
〇日本語ができないと、出産で大変だと思います。(ミャンマー出身ママ) 〇子どもが病気になったとき、一人で病院に連れて行くのが少し難しいですね。記入するものがあると困ります。(フィリピン出身ママ) 〇小学校に入るとき、いろいろわからないことがありました。書くことが多くて困りました。(バングラデシュ出身ママ)
育児のしかたでも迷うことが多いようです。
〇日本だと毎日シャワーやお風呂に入れますよね。ネパールでは、風邪をひいてしまうので、お風呂は週に1~2回くらいで、毎日1~2回オイルマッサージをします。(ネパール出身ママ) 〇離乳食は、お米、肉、野菜を一緒に煮込んだものを食べさせるのですが、日本の離乳食はとても細かいですね。ごはんやおかずを分けて赤ちゃんに食べさせてます。(ベトナム出身ママ)
続いて、教育の悩みです。
〇子どもより親のほうが漢字をできないくらいなので、子どもが勉強で困っているところを手伝うときに困りますね。(インド出身ママ) 〇外国人なのでいじめが心配です。日本人も外国人も同じ人間だから、仲よくしてほしいですね。(フィリピン出身ママ)
そして、こんな悩みも。
〇日本だとまわりに親戚などがいなくて、子育てをするのがとても大変です。(ミャンマー出身ママ)
ここで、パラグアイ出身ママに、外国人の親たちの悩みについて話を聞きました。
パラグアイ出身ママ 私は、小さなころに母と妹と一緒に日本に来ました。当時、母はまったく日本語がわからず、言葉の問題、壁、文化の違いなどいろいろあり、そんな母の背中を見て育ってきました。簡単ではありませんでしたが、周りにいた優しい方々のサポートや助けがあり、今はこうしてママになりました。以前は、外国籍の方が少なかったのですが、今は増えつつあります。外国にルーツを持つ子どもたちも増えています。 私にも2人の子どもがいますが心配もあります。例えば、子どもたちは日本語しか話せません。今後は、スペイン語も取り入れて、いろんなものを見て、学んでほしいと思っています。食文化の違いもあります。家で出す料理と、友だちのところで出るものが違うので、友だちの家で「これなに?」となることもあります。
―― 外国人保護者の悩みは、多岐に渡っているのですね。
コメント:南野奈津子さん 例えば、園に持たす弁当はこんな感じでいいのか、連絡ノートに書かれたことはこんな意味だろうかなど、日々のちょっとしたことをわざわざ聞くことはできない。そのように悩みが積み重なってしまうことも多いのではないかと思います。
コメント:汐見稔幸さん これから、このような悩みが日常化することを考えれば、方法もあると思います。例えば、実際に「こういうことがわからない」と質問された場合、次からは説明のためのイラストや写真をつくって対応する。そのように、親はわからないことを聞いて、園は丁寧に応答していくようなスタイルができれば、心のこもったサポートができていくと思います。
―― 違うことが当たり前な子どもに育ってほしいと思いますが、日本人ではないことで、相手を傷つけたり、悲しい思いをさせたりしないように、親としてできることはありますか?
回答:南野奈津子さん 子どもは、「見た目が違うね」といったことを、悪意がなくても感想として言ってしまうことがあります。それでも、言われたほうは「やっぱり自分が外国人だから」となってしまう。例えば、「あなたも、人と体の大きさが同じではないし、髪の感じも違う。得意なこと、得意じゃないことも違う。でも、それを含めてあなたのよさですごく好き。そんなふうに違いがあるところも好きになってあげたらいいと思うよ」といった話をするのもいいのかなと思います。
回答:汐見稔幸さん もし私が親で、子どもが外国の方もいる園に通っているとしたら、金曜日の夜にでも、家にその家族を招待すると思います。一緒に食事しながら、親が「〇〇ちゃんはおもしろい子だね」「違う文化がなかなかいいな」など、本気で話をする。子どもはそのような態度を親から学ぶと思います。
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