(お子さん2歳7か月・6か月のパパ・ママ)
食後の服用は薬の効果を出すため。タイミングは医師・薬剤師に相談を
回答:松永展明さん 「薬は食後に」と言われるのは、胃酸と薬の関係があります。胃酸が強いと、投与した薬の効果が弱くなってしまいます。食後は、食べもので胃酸が薄まるわけです。 ただし、子どもの薬の中には、食後に飲まなくてもいい薬が多くあります。食事の前に飲んでも問題ないかは、 あらかじめ薬剤師に確認しておきましょう。 例えば、ごはんを食べた後はおなかいっぱいで薬を飲みにくく、食前のほうが空腹で飲みやすい場合もあります。服薬のタイミングは、子どもに合わせて、医師・薬剤師に相談して決めましょう。
赤ちゃんの薬の与え方は、離乳食前かどうかで変える
回答:詫間梨恵さん 赤ちゃんに薬を与えるとき、離乳食が始まる前・離乳食が始まった後で、道具を使い分けましょう。 離乳食が始まる前は、まだスプーンなどに慣れていません。スポイトやシリンジなどの道具を使いましょう。 離乳食を始めている場合は、スプーンを口に入れることに抵抗がなくなっているので、離乳食用のスプーンなどを使うと与えやすいと思います。
スポイトを使ったシロップの薬の飲ませ方
解説:詫間梨恵さん
まず、必要な量をカップで測り、スポイトで吸い取ります。
赤ちゃんの上体を起こして、スポイントを口に入れ、ほおの内側を通ってのどに流し込むように、少しずつ、ゆっくり薬を入れます。舌の先に薬が触れると苦味を感じることがあるので、ほおの内側に入れるのがポイントです。「ごっくん」ができているか、確認しながらあげてください。
スプーンを使った粉薬の飲ませ方
解説:詫間梨恵さん
まず、スプーンに1/3ぐらいの少量の水をはります。そこに、粉薬を浸るか浸らないかぐらいの量を入れます。溶かす必要はありません。このままひと口でパクっと入れてあげます。口から出せるほどの量ではないので、そのまま口の中に入ってくれます。
座薬の使い方
解説:詫間梨恵さん
まず、座薬を使う少し前に冷蔵庫から出して、室温に戻しておきます。冷たい状態で入れると刺激となって、便と一緒に薬が出てきてしまうことがあります。
座薬を入れるときは、お尻を清潔にしてください。足をしっかり上げて、座薬の先がとがっているほうから入れます。
中に入れて見えなくなったら、さらに小指の第一関節くらいまでグッと押し込みます。入ったらしばらくティッシュで押さえましょう。体温で薬が溶けて、足を戻すとしっかり奥まで薬が入っていきます。
座薬が入りにくい場合は、ワセリン・ベビーオイル・水などを座薬の先端につけると入れやすくなります。
目薬の使い方
解説:松永展明さん
目に液体を入れるのは、かなりの刺激になります。大人でも苦手な方がいますよね。そのため、子どもに「目薬をさしますよ。目に冷たいお水が入りますよ」と説明しながら摂取することが大事です。
薬を入れると、びっくりしたり嫌がったりして、顔が動くことがあります。そのとき、目薬の先が目に入らないように、安全を確保できるように持ってください。小指をほおのあたりに添えて、手を浮かさないようにしながら点眼します。
※事前に手指を消毒します
下まぶたを少し引いて、下まぶたのところに落としてあげる方法でも十分に効果があります。
どうしても難しい場合は、目の周りをきれいに拭いて、目をつぶった状態で、まぶたに垂らす方法もあります。目をパチパチするときに薬液が中に入るので、十分投与されることになります。
アイスクリームやプリンなどは大丈夫。何と混ぜていいかは薬剤師に相談を
回答:詫間梨恵さん 抗生剤は苦いものが多く、飲ませづらい場合がありますよね。そういった薬は、味の濃いものと一緒にとることで、摂取しやすくなることがあります。 例えば、アイスクリームやプリン、練乳などは混ぜてもいいでしょう。酸性のものだと、薬のコーティングが剥がれ、より苦みを感じやすくなることもあります。粉ミルクや離乳食などの、主食には混ぜないようにしてください。何と混ぜていいかは薬剤師に相談しましょう。
どうしても飲めない場合は、薬を2つに分けて考える
回答:松永展明さん 薬には、「原因を取り除く薬」と「症状を和らげる薬」があります。原因を取り除く薬は、しっかり飲まないといけません。一方で、症状を和らげる薬に関しては、飲めない場合は、次のタイミングでの投与でもいいでしょう。 迷うときは、医師に「この薬をもしも飲めなかったらどうしますか?」と質問をしておきましょう。「無理しなくてもいいですよ」という薬のほとんどは、症状を和らげる薬で、飲めなくても心配することはありません。
子どもの薬で大苦戦… こんな工夫をしてみた!
子どもの薬で苦戦した時に、こんな工夫で乗り越えたという声が届いています。
2歳10か月の娘は、少し前にアレルギーが原因で目が腫れてしまい目薬を処方されました。同じ時期に、便秘が原因でお尻から血が出てしまい、病院で大人と同じような検査をしたのがトラウマになったのか、処方されたかん腸の薬を見るだけで、泣いて逃げ回っていました。どんなに説明しても納得してくれませんでした。 困り果てて、子育ての先輩である姉に相談したところ、「言葉だけでは先のことを想像できないので、絵に描いて説明してあげて」とアドバイスされました。 そこで、「目のお薬をしたら、おめめが治るよ。お薬をしなかったら治らないよ」「お薬をしたら、お尻はニコニコになるよ。しなかったら、血が止まらなくて泣いちゃうよ」という絵を描きました。 この絵をさりげなく机に置いて、娘が絵に興味を持ったタイミングで声をかけました。その後に「お薬やろうか」と言ってみたら、「わかった、いやだけどがんばる」とこたえてくれたんです。絵で説明するのは、子ども自身が納得して薬に向き合える方法だったのかもしれません。 (お子さん2歳10か月のママ)
コメント:松永展明さん 大人は、「早くかん腸してあげたい」「何か治療をしてあげたい」と思って、急いでしまいがちです。でも、子どもは、大人が怖い顔で近づいてきて嫌なことをされると感じて、必死に拒否してしまうかもしれません。やわらかい顔で、やさしく声をかけて、何をするのか説明することがとても大事だと思います。
薬剤師の知恵と工夫
続いて、薬剤師の三浦哲也さん(薬剤師/小児アレルギーエデュケーター)の経験と工夫を紹介します。
およそ1500人の保護者にアンケートしたところ、「保護者が考える子どもが薬を飲まない理由」の80%以上が「味」でした。
※第15回外来小児科学会で発表(三浦哲也さん調べ)
しかし、今の薬は、親が子どものころから随分と改良されて、明らかに味も改善されています。この30年間で飲める割合が変わっていないのは、味が本質ではないのではないかと考えました。
そこで、子どもが薬を飲めるように、次のようなアプローチをしてきました。
ポイントは道具!(お子さん11か月のケース)
粉薬は初めてという女の子に、「まずは、水をスポイトで飲ませてみましょう」と提案しました。
でも、ひと口飲んだだけで、その後は口を閉じでしまいました。カップを使っても口を閉じてしまいます。
そこで、ふだん食事で使っているスプーンがあるというので、薬を水で溶いて飲ませてみると、グビグビ飲んでくれたんです。道具がポイントだったのです。
子どもがふだん使っているものは大事で、慣れているもののほうが安心して口を開けてくれる。そのことに初めて気づいたケースでした。
選ぶのはぼく!(お子さん2歳9か月のケース)
家で薬を飲ませると、「苦いと」と言って吐き出す男の子がいました。
そこで、「ストローは使えるかな? これからお薬を飲むんだけど、何色のストローがいい?」と聞きました。すると「これ!」と選んでくれました。
まずは練習です。「お水を飲んでみようか」と声をかけ、しぶしぶながら飲んでくれます。「上手だね。何か味した?」と聞くと、「しない」と言いました。そのあと「じゃあ、次はお薬ね」と薬を渡します。「どんな味がした?」と聞くと「味しなーい!」といいました。でも、上手に飲むことができたんです。
薬を飲むことはハードルが高いので、ステップアップできるように、最初は「お水飲んでみようか」と声をかけ、子どもと話すことが大事です。その中にヒントがあります。子どもの様子をよく見ること、本人に聞くことが、投薬の鍵になります。
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