子育て中の親を追い詰めるものは何か?

クリップ
クリップ

2021/12/18

出典:すくすく子育て[放送日]2021/12/18[再放送]2021/12/25

すくすくナイト「子育て中の心の危機~メンタルクライシス~」。
まずは、何がパパ・ママを追い詰めるかについて考えていきます。

パパ・ママの本音、何が心を追い詰めたのか

子育てしていると、どうして心が追い詰められてしまうのか。パパやママの本音を聞きました。

夫の転勤と同時に2人目を妊娠。上の子の世話で追い詰められた
長男を育てているころ、夫に転勤が決まり、その後すぐに2人目の妊娠がわかりました。転勤のため、自分の仕事復帰はあきらめて、長男の保育園の予定もなくなり、その分「必ず毎日外遊びにいこう。いい食事を作ってあげないと」のように、自分で自分を追い込んでしまいました。妊娠中でつわりがあって、体調も悪く、思うように体を動かせない。十分に子どもの世話ができずに、罪悪感を持つようになり、子どもの前で「こんなお母さんでごめんね」と泣いてしまう日もありました。そんな姿を見せることもよくないと思って、負のループにはまったような感じでした。
(お子さん2歳7か月・9か月のママ)
はじめての子育てとコロナ禍が重なり、心の危機を感じた
はじめての子育てが、コロナ禍と重なってしまい、散歩にも行きにくく、ずっと子どもと2人で家にいました。他の赤ちゃんを見るのはSNSだけで、「同じ月齢の子がこんなに笑っている、かわいい写真だな」と感じて、もっと関わらないといけない、子どものためにもっと何かしないといけない、と考えるようになりました。生後4か月ぐらいのころ、朝から泣かれて寝てくれない日がありました。もう限界かもしれないと思いました。
そのときは、保健師の方から「何かあったら電話してね」と、名刺をいただいていたことを思い出して、電話しました。「寝ないんです、ずっと泣いてるんです、どうしたらいいですか?」と、それだけを伝えることがやっとでした。
(お子さん1歳9か月のママ)
育休ではじめての子育て。夫婦ともにメンタルの危機に
育休を9か月とって、ママと一緒に子育てすれば大丈夫だろうという考えでスタートしました。はじまってみると、夜は全然寝なくて、夜泣きがひどい状態でした。今ほどコロナの情報がない時期で、まわりの方の支援や助けも受けられず、完全に夫婦2人だけという状態になり、どんどん追い詰められていきました。例えば、夜に授乳しているとき、妻が急に泣き始めて「この子を嫌いになりそう」と言われて、そんなことを言わせてしまった自分に、申し訳なさやつらさを感じました。
(お子さん1歳7か月のパパ)
家族を大切にしたいけど仕事との板挟みで苦しくなる
夜中の授乳が慢性的に続いて、妻はずっと寝不足の状態でした。それでも朝から子ども2人をみないといけない、保育園にも預けられない。言葉では言い表せないほど大変だったと思います。私自身は、在宅で仕事をしているときにサポートしていたのですが、会社から「プロジェクトをリードするためにもう少し出社してほしい」と言われてしまいました。できるだけ家族を大切にしたいけど、仕事とうまく両立するのが難しいと感じます。
(お子さん3歳・11か月のパパ)
―― みなさんの話を聞いて、いかがでしょうか?

仕事との板挟みに共感する

青野慶久さん

私には3人の子どもがいますが、最初の子育てはとてもつらかったですね。例えば、離乳食をひとくち食べさせるのにも10~20分かかって、とにかく時間をとられます。仕事との板挟みで悩んでいた方もいましたが、つい「この時間で仕事が進められたのに」と思ってしまいますよね。

子育てはかわいいだけでは済まない。やればやるほど大変

大日向雅美さん

実際に子育てを経験すれば、かわいくて大事だとわかっているけど、それだけで済まないことを知っています。先ほどのパパやママたちは、「子育ては楽しいのに」「子どもがいて恵まれているのに」というバリアを乗り越えて、よく本音を語ってくださったと思います。子育てしてみれば、パパもママも大変です。ましてや、多くのシングルファーザー・シングルマザーの方々もいます。まず、どんなに大変なのかを共有したいですね。

同じ悩みを聞いて、自分が間違ってないと思えた

ベッキーさん

みなさんの話が自分にも通じる部分があって、涙が出てきました。当時は、そんなことで悩んでいる自分がだめだと考えていましたが、同じような悩みを聞いて、自分が悩んでいたことは間違っていなかったと思えました。

ベッキーの子育て中のメンタルの変化

ここで、ベッキーさん(2児のママ)に子育て中のメンタルがどのように変化していったのか、教えてもらいました。

はじめての育児、母乳育児の難しさ
ある意味「出産がゴール」だと思っていたためか、出産後、一気にメンタルが下がりました。出産すれば自然と出てくるものだと思っていた母乳が出なくて、母乳育児の難しさにぶつかって。完全母乳を目指していたのに、「ミルクを足してください」と言われて、つらくなって、出産後3日目ぐらいから泣いていました。産後の痛みのことも知りませんでした。
知人に出産を報告すると、みんなが「子育て楽しんでね」と言ってくれます。とてもありがたい言葉だけど、実際は楽しめていなくて、「育児を楽しめていない私は母親失格なんだ」と、自分を責めていました。

はじめての笑顔
産後1か月を過ぎたころ、うれしいことがありました。赤ちゃんのはじめての笑顔です。ずっと一方通行のように感じていた育児だったので、笑顔がかえってきたときに、「やっとキャッチボールができた、何かがつながった」と思いました。

仕事と子育ての両立、パパとの関係
その後、仕事に復帰したのですが、パパとの関係がぎこちなくなりました。不仲ではなく、お互いに言いたいことをためこんでいたと思います。例えば「家事をもう少し手伝ってほしい」と感じても、言ってはいけない気がしたんです。

2人目の妊娠、妊娠中の子育て
2人目の妊娠がわかったときは、とてもうれしかったです。ただ、ちょうど離乳食に苦戦していたころで、頑張って作っても全然食べてくれず、その上、妊娠糖尿病になったり、つわりもあったりで、大変なことが重なっていきました。

きょうだい育児のはじまり、パパの本気度がアップ
2人目が産まれた後は、きょうだい育児でオーバーワークになってしまいました。そこで気持ちがはじけてしまって、はじめてパパに「つらい、限界」といった本音を話しました。私の言葉をキャッチしてくれたのか、パパの本気度があがって、上の子はパパがみてくれることになりました。それでひとつ楽になりました。

―― この期間、パパの様子はどうでしたか?
ベッキーさん

もちろん協力してくれていました。でも、後で聞いた話では、私がずっと泣いている姿を見て、「子どもができてうれしいことなのに、どうして悲しいのだろう」と思って、つらくて、何をしてあげればいいのかわからなくて悩んでいたそうです。
―― もう少し早めに、パパに「つらい」と言えなかったのはどうしてですか?
ベッキーさん

パパには仕事があって、私は仕事があまりなかったので、パパの負担を増やしたくなかったんです。甘えてはいけないと、自分で決めつけていたと思います。ずいぶん前のことですが、思い返すと同じ熱量を感じて、当時の大変さやつらさがよみがえってきます。

子育ての閉塞感やつらさは事実のこと。社会が立ち上がるとき

大日向雅美さん

ママたち、パパたち、ベッキーさんが語ってくれた子育ての閉塞感やつらさは、本当に事実なのです。パパやママだけに対処させるなんて、とんでもないことです。もう社会が立ち上がるときではないかと思います。

子育て中の親を追い詰めるものは何か?

心を追い詰めずに子育てするには?

パートナーがメンタルクライシスに陥ったら?

PR

×     閉じる