来年小学生になる長男(5歳)は、「自分で着替えたくない」「自分でごはんを食べたくない」と言い張り、親に甘えてきます。しばらくは待ってみるのですが、着替えないと体が冷えてしまうし、食べないのもいけないので、最終的に私がやってあげてしまいます。
でも、保育園だと、きちんと一人でできるそうです。番組の取材を受けたときも、しっかりひとりで食事ができていました。自分でできるのに、毎日着替えと食事は自分からやらないので困っています。私がしてあげることで、自立心が育たないのではないかという心配もあります。
(お子さん5歳・2歳のママ)
でも、保育園だと、きちんと一人でできるそうです。番組の取材を受けたときも、しっかりひとりで食事ができていました。自分でできるのに、毎日着替えと食事は自分からやらないので困っています。私がしてあげることで、自立心が育たないのではないかという心配もあります。
(お子さん5歳・2歳のママ)
自立したら何もしてもらえなくなると思っている
回答:武田信子さん 保育園や人前だと、一人で食べることができていますね。きっと、「親の前ではしっかりしない」と決めているのでしょう。親の「自立してほしい」という思いを感じて、「もし自立したら、何もやってもらえなくなるかもしれない」と思っているのかもしれません。
自立に向けて助走しなおしている
回答:汐見稔幸さん 「自分でやっていかないといけない」「もっとしっかりしないといけない」のように、「自立しないといけない」とはわかっている。でも、簡単にそちらの世界に入りたくない気持ちもある。甘えることができる世界は、安心の世界でもあります。大好きな人に、心も体も委ねられる体験ですよね。その世界を離れて、全て自分でしないといけないという寂しさや不安があると思います。そのとき、いずれ行かないといけないなら、自立への助走をしなおすために、一度甘えるほうに戻って、「よいしょ」と勢いをつけようとしているのかもしれません。今は、そのために戻っているところだと思いますよ。
今回の取材で、ママが「どうして着替えたくないのか」を聞いてみると、次のような答えでした。
ママ :保育園だと自分で着替えられるね。
お子さん:自分でできるわい!
ママ :どこまで見守ったらいい?
お子さん:見守るのは、1日20分でお願いします。
ママ :20分見守ったあと、どうすればいい?
お子さん:そのあとは絶対見守らないでください。
ママ :自分でできるってこと?
お子さん:自分でできます。
ママ :ほんと?
お子さん:ほんと。
お子さん:自分でできるわい!
ママ :どこまで見守ったらいい?
お子さん:見守るのは、1日20分でお願いします。
ママ :20分見守ったあと、どうすればいい?
お子さん:そのあとは絶対見守らないでください。
ママ :自分でできるってこと?
お子さん:自分でできます。
ママ :ほんと?
お子さん:ほんと。
「自分でできる」と言っていたお子さんは、2日間ほど自分でやろうと頑張ってくれたそうです。今後、どのように向き合えばいいのでしょうか。
自立を焦らず、彼のタイミングを
回答:武田信子さん できたときは、できたことを褒めること。そして、しっかり甘えさせてあげること。まずは、それらを先に考えてください。子どもの自立を焦っても、彼のタイミングに合わなくなるのではないかと思います。
わかっているけど簡単にできない。葛藤がある
回答:汐見稔幸さん 私の3番目の子どもは、ちょっと機嫌が悪くなると、自分で感情をコントロールすることがとても苦手でした。その子が小学1年生になったころ、機嫌が悪くなっときに、「自分で機嫌をなおせないから困ってない?」と聞いたら、「うん」と答えたんです。自分でも困っていることがわかっていて、それでも何をどうしたらいいのかわからない状態だったんです。 そのとき、私は「この子は、きっと人にやさしい子になる」と思いました。自分の大変さをわかっているからです。人間は、わかっているけど簡単にできないことがあります。大人になっても、わかっているけどやめられないことが、たくさんあるわけです。子どもも、同じように葛藤しているのです。 お子さんは、「1日20分」とかっこいいことを言っていましたね。甘えたいことは恥ずかしいから言わないだけで、本当は「甘えたいんだ」と言いたかったと思います。この年齢で、きちんと自分のことがわかっていると言ってくれたのだから、ありがたいですね。今しかないから、もっといっぱい甘えさせてあげようということであれば、だんだん「もういいよ」と言うようになってくると思います。
子どもの気持ちと自分の我慢の兼ね合いがあって、どこまで子どもに寄り添ってあげたらいいのか難しいですね。
「寄り添う」は相手の言うことを聞くことではない
回答:汐見稔幸さん 「寄り添う」は、相手の言うことを、「はい、わかりました」で聞くことではありません。子どもの言い分を聞いて、親も自分の言い分を出して、折り合いをつけていく折衷案のようなものです。一方的なものではありません。お互いに聞き合って、「今回はここでできるね」という形にしていけば、子どもも「大事にされている」と感じるのではないでしょうか。
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