ママ友・パパ友がいない孤独… どうすればいい?
それでも、誰かに気持ちをわかってほしくて、支援センターで勇気を出して声をかけたママと友人になれました。でも、「こんなことを言ったら嫌われるかも」と気になって、どこまで話していいのか考えてしまいます。本当に思っていることを話すこと、悩みを相談することは難しいと感じています。
(お子さん1歳4か月のママ)
行政サービスや支援はママ向けのものが多く、自分が受け入れられていない、肩身が狭いような気持ちになるときがあります。
(お子さん1か月のパパ)
発散する相手も場所もなく、子どもにイライラしたときに、「ダメだ」と思いながらもどなったり、当たってしまうことがあります。愚痴を言い合えるママ友ができれば心に余裕ができるのかな、と思っています。
(お子さん1歳6か月のママ)
新型コロナウイルスに対する”感度”の違いもある
回答:石田光規さん 新型コロナウイルスの影響は大きいですね。なかなか人に会えず、会ったとしても新型コロナに対する"感度"の違いがあります。マスクなどの感染対策の考え方には個人差があり、その違いが気になってしまう場合もあります。すると、ますます人と会いづらくなってしまいます。
ママ友以外の存在と話す場をつくる
回答:大日向雅美さん ママ友のよさは「ツー」と言えば「カー」で、わかってもらえるところですよね。「夜泣き」と言わなくても、「きのう泣かれちゃったのよ」だけで心が伝わります。それが絶たれるのは、本当につらいと思います。おばあちゃんやSNSなど、ママ友以外の存在と話せるといいですね。 私自身、子育て広場を運営しているのですが、新型コロナの影響で自粛や制限となり、なかなか愚痴を言い合えるような場を提供できずにいました。電話相談のような受け皿を考えたいと思いました。
何かできる場所・定期的に行ける場所などを探す
回答:石田光規さん 話を聞いてくれるのは、必ずしも友達とは限りません。何かに参加するとき、「友達づくりの場」だと思うと、距離感で悩んでしまう方が多いと思います。まずは、子どもを預けながら、何かできる場所、定期的に行ける場所を探すところから考えれば、はじめやすいと思います。
性別や世代にこだわらないつながり
性別が違っても、同年代でなくても、つながることで孤独から救われる場合もあります。そんなママ・パパたちの体験談を紹介します。
産後は気持ちが落ち込み、積極的に人と関わる気になれませんでした。知らない場所に行って、知らない人と話すのはハードルが高いと感じていました。
そんなときに、自治体の保健師に、訪問型のボランティア「ホームスタート(※)」を紹介してもらえたんです。
ボランティアの方は、2人の子どもを育てた経験のある育児の先輩として頼れる存在です。赤ちゃんが飲むミルクの量の少なさを悩んでいたときには、「私の子どももなかなかミルクを飲まなかったけど、それでも元気に育ったよ。あまり気にしなくて大丈夫」と言ってもらえて、心が軽くなりました。そうやって一緒に時間を過ごすうちにだんだんと元気になり、外出するようにもなりました。自分の体のケアをする意欲も出てきました。
今では、積極的に支援センターを利用してみようと思えたり、骨盤ケアを自分で電話して毎週通えるようになりました。話すことが楽しくなったという感じがします。
※家庭訪問型子育て支援「ホームスタート」
およそ10年前にはじまった無料のボランディアで、活動は全国110か所の地域に広がっています(2021年8月現在)。ベビーシッターや家事代行はしませんが、一緒に話をしたり、散歩をしたり、ときには支援センターにも同行します。訪問ボランティアの条件は、子育て経験があること。のべ8日間(37時間)の養成講座を受講します。数は少ないですが、先輩パパのボランティアも少しずつ増えています。
娘が生後7か月のときにママが仕事復帰して、それから1年間は私が育休をとりました。ただ、2~3か月ほど、コロナ禍や育児など、環境の変化によるストレスなのか、おう吐を繰り返してなかなか食事がとれない時期が続きました。はじめての育児が不安で、でも働くママには心配をかけたくなくて。
子どもと外出することも気後れしていました。ママ友のグループにパパが入るのは嫌だろうなと思って、引け目を感じていました。それでも、子どものためを思って、毎日公園に行ったり、ベビースイミングにも通いました。
そんなある日、周りのママたちが声をかけてくれたんです。パパが子どもを連れていることは新鮮だったようですが、打ち解けていくと応援してくれるんです。パパ・ママという区別ではなく、「同じ育児をする人」として見てくれてたことがうれしかったです。
ママたちと悩みを共有し、育児の相談をするうちにストレスが減り、おう吐もなくなりました。世の中のパパ・ママが交流しながら、同じ育児をする人としてつながれたらいいなと思います。
家に来て話を聞いてもらうのはとてもいい
コメント:石田光規さん 子育ては完璧を求められているような感覚があります。そのため、「みんなはできているのに、私はできない」「友達づくりに行ったけど、できない」と感じると、「私はダメな親」のように自己否定して、家にこもりがちになる場合があります。その中で、家に来て話を聞いてもらえるのは、とてもいいですね。
原動力をつけてから、ゆっくり友達をつくる
コメント:石田光規さん 体験談のように、自分の話をできて、「みんなそうなんだよ」「大丈夫なんだよ」と言ってもらえると、それが原動力になります。「みんな同じことで悩んでいる」「私でも大丈夫」と思いながら、ゆっくりと友達をつくっていけばよいのではないでしょうか。
つらいときは、ママ友以外の関係もある
コメント:大日向雅美さん ママ友は、いてもよし・いなくてもよし。ワンオブゼム(one of them)、数ある関係の中のひとつです。つらいときは、地域や職場などに、別の関係もあると思います。
親がひとりの人間としてどう生きるか、みんなで考える
コメント:大日向雅美さん 子育ては、親だけに託すのではなく、親がひとりの人間としてどう生きるかを大前提にして、みんなで考えることが必要です。「ママ・パパの人としての暮らしを奪わない」というメッセージからはじめたほうがいいのかもしれません。
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