なんで戦いごっこが好きなの?
子どもは、戦いごっこが大好きです。風呂敷をマントに見立ててヒーローごっこをしたり、おもちゃの銃で撃つまねをして戦ったり、すもうをとったり。どうして戦いごっこ遊びが好きなのでしょう?
ヒーローは子どもが憧れる人間像
回答:柴田愛子さん 子どもにとって、強いことはかっこいいこと。まずは強いことに憧れて、大きくなってくると、強くて正しいヒーローに憧れるようになる。5〜6歳の子どもにとって、ヒーローが価値観の根っこになっているのではないでしょうか。子どもが憧れる人間像として大事だと思います。
戦いごっこは、人間の攻撃性を満足させる意味も
回答:汐見稔幸さん 個々の人間は、同じ霊長類のゴリラと比べても、はるかに腕力で劣る動物です。そんな人間が、ある意味で地球上の王者のようになってしまっている。その理由のひとつが「協力」を学んだことです。他人が困っているときに助けるような、共感的な協力さえできる。他の動物にはできない、複雑な協力ができたからこそ、人間は生き残ってきたと思います。 一方で、いざというときには極めて強い攻撃性を発揮してきました。例えば、水場をめぐり人間同士で争うなど、同じ種でこれだけ殺し合ってきた動物は、人間しかいません。 人間には、他の動物にはない、たぐいまれな共感性と攻撃性が同居しています。私は、それが人間の特徴だと思っています。強い攻撃性をそのまま発揮することはよくないので、攻撃性の中に共感性を取り入れて、お互いに傷つけないようにしたものが、競争やゲームだったのではないかと思います。勝った者に名誉が与えられ、競争が終われば日常に戻る。そのような文化を作り出してきたわけです。 勝負にこだわる遊びには、心の中にある攻撃性を代理的に満足させる側面があると思います。子どもたちは、やがてそのような遊びを卒業して、共感性を大事にすることで社会が動いていくことを学んでいきます。
大人がルールを教えることが大事
回答:汐見稔幸さん 以前は、「棒で相手の顔は突いちゃいけない」などを、子ども同士で学び合えていましたが、今は少なくなったようです。だから、戦いごっこなどを子どもがしようとするときに、大人がルールを教えることが大事です。してはいけないことを、しっかり話して、丁寧に伝えていくことが大切です。その上で、ときにはケガをすることもしかたがないと思って、子どもを、上手に自由に遊ばせてほしいと思います。
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