(2歳1か月 女の子のママ)
(1歳10か月 男の子のママ)
(1歳6か月 女の子のママ)
まだ“やりたいこと”を主張できず「イヤ」と言ってしまう。
回答:遠藤利彦さん イヤイヤ期の子どもは、心の成長にともない、いろいろなことがわかりはじめます。すると、「あれもやりたい、これもよさそう」という思いがふくらんでいきます。でも、その気持ちは漠然としたもので、まだ“やりたいこと”を具体的に主張することはできないのです。一方で、「これはやりたいことと違う」についてはわかるので「イヤ」と言ってしまいます。 「違うこと」はわかるけど、はっきり「したいこと」が言えない。子どもの中ではフラストレーションがたまってしまい、子ども自身も困っているのです。親を困らせたくて「イヤ」と言っているわけではありません。 自分についての理解の水準が高まっていく時期でもあります。自分がどんな存在で、何が好きなのかわかっていくのです。“自分探し”が急速に進む、大事な時期だと考えてください。
イヤイヤ期と子どもの自分探し
子どもはどのように“自分探し”をするのか、自分探しとイヤイヤ期がどう関わっているのか、子どもの成長にそってみていきましょう。
1歳ごろまで
まだイヤイヤをしない時期。赤ちゃんは鏡に映った自分を見ても、それが自分だと認識していません。自分の姿や特徴がまだよくわかっていない状態です。
1歳半~2歳ごろ
自分の特徴や性別を認識しはじめます。鏡やカメラに映った自分の姿を見て「自分」だとわかるようになります。「自分」がわかるようになると、「自分以外の人」もはっきり認識するようになります。そのために、自分以外の人に対して「恥ずかしい」という感情や、友達と自分を比較して「うらやましい」という感情などを抱くようになります。
このように、自分と他者との区別がはっきりしてくるころに、イヤイヤ期が現れます。人が提案してくることは、例えそれが親であったとしても、「自分がやりたいこととは違う」と感じるようになるからです。「違う」という意思ははっきりしているのに、「これが好き」という好みが確立していないので、「イヤ」としか主張できないのです。
子どもはこのような経験を積み重ねることで、自分の好みや心地よい状態などを発見していきます。
2歳半~3歳ごろ
さらに“自分探し”が発展していく時期です。「人からどう見られているのか」を意識しはじめます。例えば、「○○ちゃん、すごいね」など、人からの評価に気づくような機会をもつことで、自分探しが進んでいきます。
また、自分の行動に対する、相手の反応も意識するようになります。例えば、友達のおもちゃを取ってしまったとき、相手の反応を見て「悪いことをしてしまった」と罪悪感などの複雑な感情を抱くようになります。
このような経験が、人の気持ちへの理解につながります。“他の人への思いやり”などの大人に近い感情が持てるようになると、やがてイヤイヤ期も落ち着いていきます。
「イヤ」という気持ちをわかろうとする姿勢で関わっていく。
コメント:井桁容子さん この時期の子どもは、「人と自分はどんな関係にあるか」を学んでいきます。その過程で出会う人の対応は、他の人に対する「信頼感」に影響します。そのため、子どもと関わるときは、大人の考えを押し付けるのではなく、子どもの気持ちをわかってあげようとする姿勢が大切です。例えば「イヤ」と言ってきたときに「何がイヤなの?どうしたかったの?」と聞いてあげることが大事なのです。
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