わが子は保育園の生活になじめるの?
人見知りだけど、保育園になじめる?
娘は人見知りなので、保育園に入園後、園のお友だちとなじめるのか不安があります。保育園の生活に慣れることができるのか心配です。
(9か月の女の子をもつママより)
保育園の生活に慣れるための期間がある
回答:岩井久美子さん 子どもにとって、はじめての場所で、知らない人ばかりなので、不安になってしまうのは当然です。そのため、保育園では、子どもの不安を少しずつ軽くしながら園に慣れるための期間(約1週間~10日間)を設けています。この期間を「慣れ保育」「慣らし保育」などといいます。この期間は、1日ごとに保育士と保護者で子どもの様子を話し合い、次の日はどのぐらいの時間子どもを預かるかなども相談します。子どもは一人一人違うので、丁寧に子どもに関わることを意識しています。
保育士と愛着の関係ができれば不安がなくなっていく
回答:汐見稔幸さん 子どもは、不安な気持ちを自分だけで解消することができません。そのため、ママ・パパにだっこをねだるなど、親しい大人に身体接触を求め、受け止めてもらえることで不安を解消します。このように、子どもが特定の親しい大人にくっつくことで安心感を得ること「アタッチメント」といいます。 保育園でも、保育士とのアタッチメントが習慣的になって愛着ができれば、子どもは「何かあっても、この人のところに行けば助けてもらえる」「自分は愛されている」と思うようになります。そういった気持ちが育てば、一人で長い時間を過ごしたり、子どもたち同士で遊んだりしていても不安を感じなくなっていきます。
授乳しないとねんねしないわが子。保育園でちゃんとねんねできる?
子どもがぐずって寝つけないとき、授乳をして寝かしつけるようにしています。今後、保育園に入ったら、授乳することはできないので、ちゃんとねんねができるのか心配です。
(8か月の男の子をもつママより)
子どもが安心できるまでは家庭と同じように関わる
回答:岩井久美子さん 子どもが保育園に慣れるための「慣れ保育」の期間に、保育士は保護者と子どものことを共有しながら保育のやり方を構築していきます。それぞれの子どものこだわりや、どうしたら子どもがミルクを飲んでくれるのか、寝かしつけはどうしているのかなどを確かめながらのプロセスです。その過程で、保育園のやり方を強制することはありません。子どもが、保育園や保育士を安心できると受け入れてくれるまでは、できるだけ家庭と同じように関わります。例えば、お昼寝のときにだっこされるのが大好きであれば、保育士は寝つくまでだっこをしてあげます。そのように、子どもが安心できるように工夫をして寄り添いながら、子どもに合わせて対応していきます。
入園までに粉ミルクと哺乳瓶に慣れるのか不安…
子どもを母乳で育てていて、ミルクをあげたことも、哺乳瓶を使ったこともありません。保育園ではミルクをあげることになると思うのですが、飲んでくれるのか不安があります。
(5か月の男の子をもつママより)
困ったら保育園に相談を
回答:岩井久美子さん 母乳だけで育っていた子どもが哺乳瓶のミルクを飲めるようになるには、哺乳瓶の乳首の感触や、ミルクの味の違いに慣れる必要があると思います。そのために、家庭でもできることから試してみてください。例えば、哺乳瓶に慣れるために、水分補給のための白湯を哺乳瓶であげることからはじめるのもよいと思います。 いろいろと試しても難しい場合もあると思いますが、親子でストレスを抱えないようにしてください。入園後、困ったことを保育士に相談して一緒に考えていくこともできます。
子どもはどのように保育園の生活に慣れていくの?
子どもがどのように保育園の生活に慣れていくのか。ある認可保育所の保育士に、保育園で食事を拒んでいたお子さんのケースをうかがいました。
その子は、入園した頃は食事の時間になると泣いて嫌がるほど食事を拒んでいました。そんなとき、保護者から「この子はおもちゃをあまり口に入れない」と聞き、口に異物を入れる感覚に特徴があると思いました。そこで気になったのが食事で使っているスプーンの材質です。保育園ではステンレス製を使っていましたが、家庭ではシリコン製だと聞き、シリコンのスプーンに変えてみたのです。すると、十分とは言えませんが、少し食べてくれるようになりました。
その後、その子にお気に入りの保育士ができました。大好きな大人と食べたほうがよいかもしれないと考えて、その保育士と一緒に食べるようにすると、食べてくれる日がでてきました。
さらに、お友だちとのごっこ遊びでは、楽しんで食事のまねをしていることに気づきました。そこで、お友だちと一緒に食事をすることを試してみると、日に日に食べる量が増えていき、食事を楽しめるようになったのです。
(保育士)
その後、その子にお気に入りの保育士ができました。大好きな大人と食べたほうがよいかもしれないと考えて、その保育士と一緒に食べるようにすると、食べてくれる日がでてきました。
さらに、お友だちとのごっこ遊びでは、楽しんで食事のまねをしていることに気づきました。そこで、お友だちと一緒に食事をすることを試してみると、日に日に食べる量が増えていき、食事を楽しめるようになったのです。
(保育士)
新しい環境が子どもを成長させる
回答:汐見稔幸さん 保育園に入園すると、子どもは、突然これまでと違う環境に入ることになるので、戸惑うのは当然です。ただ、子どもは、新しい環境によって成長するともいわれています。例えば、子どもをママ・パパの実家に連れて行くと、いろいろなことが自分の家と違います。テーブルと座卓の違いや、トイレやお風呂、食べ物が違うこともあります。子どもは、違う文化に触れてはじめは驚きますが、次第にその違いに慣れて、「いろいろなやり方がある」と学んでいきます。同じように、はじめは保育士をママ・パパとは違うと感じて戸惑いますが、次第にママ・パパとは違うけど、保育士も自分を大事にしてくれる存在だとわかっていくのではないでしょうか。
どの保育園でも、子どもに丁寧に関わってもらえますか?
「特定の大人との親密な関わりが大切」という指針がある
回答:岩井久美子さん 保育園の指針となる「保育所保育指針」には、子どもにとって「特定の大人との親密な関わりが大切」と書かれています。そういうこともありますので、子どもが保育園に慣れるまで、決まった保育士が食事やおむつなどの生活の世話をする園もあります。
不安を抱え込まずに保育園に聞く
回答:岩井久美子さん 「これはどうなっているのかな」「どうやってもらっているのかな」など、保育園や子どものことで不安に思うことがあったら、保護者だけで抱え込まないで、何でも保育園に尋ねてください。保育園に聞くことで、いろいろなことが見えてくると思います。
すくすくポイント
PR