「10の姿」を育てるために、親はどのように子どもと関わっていけばよいのか気になります。幼稚園や保育園の先生のように関わるのは難しいと感じます。10の姿は、園の先生向けのもので、全面的に園に任せるのがよいのでしょうか。子どもとの関わり方、園との関わり方をどう考えたらいいのでしょうか?
(3歳5か月と1歳6か月の女の子をもつママより)
家庭では意識し過ぎないでいい
回答:大豆生田啓友さん 10の姿を育むために、園だからこそできる部分があります。例えば、子どもたち同士が刺激を与え合い、興味・関心を広げることなどです。ですので、家庭では10の姿を意識し過ぎる必要はありません。子どもとの関わり方で、いくつかの点に気をつけるとよいでしょう。
子どもとの関わり方で、どんな点に気をつければよいのですか?
結論を教える・無理という否定・誰かとの比較
回答:宮里暁美さん まず、結論を教えてしまうことです。子どもは、いろいろなことをやりたがったり、不思議だと感じたりしています。大人から見ればわかりきったことでも、子どもに結論をすぐに教えるのではなく、子どもが疑問を持ち、自分でいろいろと試す時間を大事にしてください。 次に、子どもに「あなたには無理」と言ってしまうことです。例えば、子どもが「走るのが速くなったよ!」と言って、よろこんで走っている姿を見せてくれることがあります。でも、それほど速くないときもあるでしょう。そんなとき、子どもに「速く走るのは無理だよ」と言ってしまうより、「速いね!」と言ってあげたほうが、子どもはもっと走りたくなると思います。 最後に、いちばん気をつけたいポイントが、子どもを誰かと比較することです。いつも誰かと比較されている子どもは、何か自信が持てないように思えます。
その子への否定・厳しいしつけ・つらいお勉強
回答:大豆生田啓友さん まずは、子どもの存在そのものへの否定です。それでは子どもがつらくなってしまいます。 次に、厳しいしつけです。しつけは「厳しくする」ものだと思っている方がいますが、子どもを怒ってばかりでは、むしろしつけが身につきません。子どもができたことをしっかり「褒める」ほうが、しつけになる場合が多いのです。 最後に、つらいお勉強を続けることです。つらいことが続くと、子どもが学ばなくなることがあります。子どもにとって楽しいことが、学びの出発点になると考えてみましょう。
主体的で対話的で深い学び
回答:大豆生田啓友さん 10の姿が示された法令の中で「主体的で対話的で深い学び」がうたわれています。自分から「やりたい」と思って取り組む主体性。人と関わり協力しながら対話的に物事を進めること。そして、学びの中で「わかった!」「できた!」と感じて、さらに興味を広げるような深い学び。これらのことが大事になってきます。
保護者は、園や園の先生とどう関わっていけばよいのでしょうか。ある認定こども園の様子を見せていただきました。
この園では、子どもが園でどんなことに興味を持ち、どう成長しているのか、保護者に知ってもらうための工夫をしています。
例えば、年長クラスの先生は、子どもの活動の様子をこまめに写真や動画で撮影します。毎日夕方には、写真に文章をそえた活動記録を、クラスの入り口に貼り出すのです。保護者は、この記録からいろいろなことを知ることができます。
先生も、保護者とできるだけ話をして、家での子どもの様子を知りたがっています。子どもの興味・関心が、家でのできごとをきっかけに、園で広がることもあるのです。
先生は園での様子を保護者に伝え、保護者は家庭での様子を先生に伝える。そのことで、園の先生と子どもの関係も、保護者と子どもの関係も豊かになる循環ができるのです。
園と家庭とのコミュニケーションで、子どもが安心して育つ
子ども自身が楽しかったことを、園と家庭で循環できると、園と保護者の関係もよい状態になります。例えば、家庭で楽しく経験したことが、園でのごっご遊びにつながることがあります。園で作った絵本を、家に持ち帰って続きを作るようなこともあります。こうして、園と家庭がコミュニケーションして、子どもの様子を伝え合っていると、子どもたちが安心して育つことができるのです。 (宮里暁美さん)
子どもの活動の「見える化」がはじまっている
多くの幼児教育や保育の現場では、この園のような写真を使った活動記録がはじめられています。これをドキュメンテーションやポートフォリオといいます。園で、子どもたちがどんなことを学んで、どんな活動に夢中なのかを「見える化」して、保護者に伝えようとしているのです。 (大豆生田啓友さん)
子どもの可能性・選択肢を広げるために、親としてできることは?
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