「がまん」ってどういうもの? 大事なもの?
最近「がまんする力」が重要だと聞きます。そもそも「がまんする力」とはどういうものなのでしょうか?
受け身でこらえる「がまん」と、自発的な「真のがまん」は違う
回答:森口佑介さん 一般的な意味での「がまん」は、人から押しつけられた意見や、居心地の悪い環境など、自分にふりかかる圧力にたえるような、受け身の姿勢に使われることが多いと思います。ですが、子どもの発達という視点で考えると、子どもが自分で考えて自発的に選びとる「がまん」が大事になります。これを「真のがまん」と言っています。 例えば、大好きなブランコの前に行列ができていたとき「順番を待てば乗れる」と考えて列に並ぶ、あるいは、欲しいおもちゃを見たとき「誕生日にプレゼントするから待っててね」というママ・パパのことばを信じて待つなど、目的のために自分で考えてがまんできる力が「真のがまん」です。
「マシュマロ・テスト」という実験を発端に、「がまん」が注目された
回答:森口佑介さん 「がまんする力」が重要だと言われる発端となったのは、「マシュマロ・テスト」という実験です。1960~1970年代にアメリカで行われ、子ども時代の「がまんする力」と、その後の学力・健康・経済状態などとの関係が調査されました。 実験では、子どもたちの「がまんする力」を「マシュマロ」を使って測りました。子どもにマシュマロを1つ見せ、「すぐに食べてもいいけど、15分待てたら2つ目のマシュマロをあげる」と伝え、その反応をみたのです。その後の追跡調査で、すぐに食べてしまった子どもたちに比べて、マシュマロを多くもらうために待つことができた子どもたちは、大人になってからの学力・健康状態・経済状態がよいという結果が出ました。この研究成果から、「がまんする力」は子どもの将来の社会的成果に影響する重要な要素だと、世界的に注目されるようになりました。 しかし、最近の研究からは、「マシュマロ・テスト」の結果に疑問が出されています。学力・健康・経済の状態は、家庭の経済状態や、親の社会的地位による影響のほうが大きく、この研究だけで「がまんする力」と将来の社会的成果との関連性を測ることはできないと指摘されたのです。 それでも、マシュマロ・テストはその後のさまざまな研究のきっかけとなり、5~10歳くらいの時期に「がまんする力」があることと、将来の健康や高い学力、経済力を持つ傾向との関連が、各国の研究者から報告されるようになりました。
保育の現場でも「がまんする力」は注目されているんですか?
注目されている「非認知能力」に関係がある
回答:大豆生田啓友さん 保育の現場では「非認知能力」が注目されています。「非認知能力」とは、意欲・自尊心・コミュニケーション力など、学力のように測ることができないけれど「人間として生きていく力」の基礎となるものです。その力のひとつに、自分の気持ちをコントロールする、自己抑制の力があります。これが「がまんする力」と関係しています。「非認知能力」の要素のひとつとして、大事だと考えられているのです。
なかなか「がまん」ができない。どうしたら気持ちを抑えられる?
がまん強すぎる子、どうすれば無理させずに気づいてあげられる?
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