保育施設「りんごの木 子どもクラブ」では子どもたちが輪になって、さまざまなことを話し合う「ミーティング」という活動を行っています。
下の写真はある「ミーティング」の一場面です。
この「ミーティング」では、ある男の子が、女の子に石を投げられたと言っています。
しかし、話を聞いてみると、先に石を投げたのは男の子の方で、女の子は石を投げられたから、お返しに投げ返したのだということでした。
さらに話をよく聞くと、男の子は女の子と遊びたかったということがわかりました。
この話を受けて、男の子には、「次からは、言葉で『遊ぼう』と伝えてあげようね」とアドバイスしました。
このように「ミーティング」を通して、子どもたちが自分の「思い」を言葉にして伝える時間、人の気持ちを聞く時間を作っています。
自分の思いを「言葉」にすると自分の気持ちがわかるようになる
回答:柴田 愛子さん 「ミーティング」の目的は、自分の「思い」を言葉にすることです。 正しい答えをみんなで考え、結論を出すことではありません。子どもは、自分の言葉で「思い」を伝えることで、自分の気持ちがわかるようになります。みんなで話をすることで、「石を投げる」という行動の奥にある男の子の「本当の気持ち」が見えてきました。 相手に石を投げることは「ダメ」なことです。しかし、その場ですぐに謝らせてしまうと、子どもが相手の気持ちを想像したり、考えたりする時間がなくなってしまいます。「ごめんなさい」と謝ることよりも、相手の気持ちがわかることが大切だと思います。「ごめんなさい」という言葉で一件落着させてしまうと、子どもはその言葉だけで終わらせようとしてしまいます。「ごめん」という言葉は、本当に「ごめんなさい」という気持ちが溢れて言って欲しい言葉ですよね。 ご家庭で「ミーティング」のようなことをする場合は、まず、親が本音で子どもと話をしてください。 親が「正しいこと」に縛られて、正しく子育てしようとすると、子どもの本音を聞くことはできません。 例えば、ご飯を食べるときに、「よく噛んで食べなさい」「残しちゃダメだよ」「足はイスにあげない」というように注意ばかりしていると、子どもにとっては監視されながら、ご飯を食べているようなものです。本音が言い合える関係にするには、「これおいしいね!」「ママは小さいとき納豆嫌いだったな」のように、ママ自身の本音を伝えてあげましょう。人は感情のある動物です。頭で子育てすると心は伝わりません。子どもは「ちゃんと育っていく」と信じて、親は自分自身の心をオープンにしてください。 また、子どもは「間違ったこと」を言うことがあると思われるかもしれません。しかし、それはママ自身の考えと子どもの考えが「違う」ということです。子どもが間違っているのではなく、「自分はそう思わない」と考えるようにするといいと思います。
大人の考えを押しつけると自分で考えないようになる
回答:汐見 稔幸さん 子どもの行動には、子どもの思いや考えがあります。 その思いや考えを聞かずに、大人の考えを押しつけるようにすると、子どもはものごとを自分で考えなくなってしまいます。
大人が子どもの気持ちを言葉にしてあげることも必要
回答:遠藤 利彦さん 子どもがとても「嫌な気持ち」でいる場合は、「イライラする」「悲しい」「悔しい」「寂しい」のように感情にもさまざまな種類があります。しかし、子どもが自分自身でどのように感じているのかを理解することは難しいです。周りの大人が、話を聞いてあげて、「それなら、その『嫌な気持ち』は『悔しい』ってことだと思うよ」というように、子どもの気持ちを言葉にしてあげましょう。子どもの気持ちに「ラベル」を貼ってあげるようなイメージです。 そのような体験が積み重なることで、子どもが自分の気持ちを言葉にする力を身につけていくのだと思います。ご家庭でも出来ることですね。自分の気持ちを理解できるようになると、周りに自分と似たような状況の子がいれば、その子の気持ちもわかるようになります。
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