下の写真の男の子は、お店屋さんごっこをする中で、自分で自分の髪の毛を切り、切った髪を商品として売り始めました。保育者は、しばらく見守った後、自分の失敗談などを話して「やめた方がいいよ」とアドバイスをするような形で、さりげなく止めさせていました。
すぐに強く止めることはせず、保育施設「りんごの木 子どもクラブ」ではできる限り見守るようにしています。
基本的には子どもがやりたいことをやらせてあげる
回答:柴田 愛子さん 「おままごと」などのように、子どもは大人のマネをして遊びます。 美容院で髪の毛を切ってもらったり、ママに髪の毛を切ってもらったりと、日常生活の中で、髪の毛を切る場面はよくあります。この経験の中で、「髪の毛は切っても伸びてくる」「髪の毛は切っても大丈夫」ということがわかると、自分で自分の髪の毛を切ることは、そんなに勇気のいることではないと思います。 この子も、髪の毛を切ることを、ごっこ遊びのひとつとして楽しんでいるのだと思います。 そのため、基本的には子どものやりたいことをやらせていますが、下記のような場合は、行為をやめさせます。 ■柴田流「ダメ」という場合 ・子ども自身や周りの人に危険がともなう時 ・人が嫌がることを強要する時 ・自分自身が不快を感じる時 この男の子は、誰かの髪の毛を無理やり切っているわけでもなく、誰かに無理やり自分の髪の毛を切らされているわけではありません。 できる限り「やりたい」と思っていることをやらせてあげて、やりすぎないうちに、さりげなく「止めた方がいいよ」とアドバイスしてあげるのがいいと思います。 子どもの「やりたい」という気持ちには、必ず意味があります。 「やりたい」を保証することは、「育ち」を保証することではないかと考えています。
子どもは失敗から学ぶ
回答:汐見 稔幸さん 子どもは失敗からたくさんのことを学んでいきます。 子どもが「やりたい」と思うことを、大人が最初から止めてしまうと、「ここまではやってはいけないんだ」という、ものごとに対する善し悪しを学ぶきっかけを失ってしまいます。 子どもを信頼して、「失敗」を見守ることも大切です。
自由な発想が生まれる
回答:遠藤 利彦さん 「美容院」や「床屋さん」ではなく、自分の髪の毛を売る「髪の毛屋」というのは、大人ではなかなか思いつかない、子どもならではのおもしろい発想です。 子どもの豊かな発想力を育てるためにも、ときには子どもの行動を見守ることも必要ではないかと思います。
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