予防接種 本当に必要?
子どもを3人育てています。これまで、何の疑問も持たずに予防接種を受けさせてきましたが、最近になって、本当に必要なのかよくわからなくなってきました。ありがたいことにみんな健康的で、予防接種の効果があるのか実感がありません。予防接種で病気になっていないのか、たまたま病気になっていないだけなのか?今後病気になったとき軽度ですむのか?
子どもの生まれた年で予防接種の内容が違うことにも戸惑いがあります。長女のとき(2010年)は定期接種が5つ、長男のとき(2016年10月~)は8つに増えて、接種のスケジュールも大きく変わりました。
自分が子どものころとも全然違います。自分が受けたことのある予防接種なら、子どもに受けさせても大丈夫かなと思いますが、新しいものは自分に経験がないので何かあったとき大丈夫かなと不安です。
以前にくらべて種類が増えた予防接種は、本当に必要なんでしょうか?
(7歳と3歳の女の子、1歳3か月の男の子をもつママより)
予防接種の効果は感染症予防や病気の根絶
回答:齋藤昭彦さん この数年で、海外でつくられたワクチンが日本に入ってきて、2013年から制度(予防接種法)が改正されました。このため、今まで接種できなかったワクチンが接種できるようになったのです。 ワクチンの効果は、病気がなくなることで見えないことなので、その効果を実感することができません。ですが、これまでいろいろな病気が予防されて、日本や世界からなくなった病気もあります。 ワクチンを接種しないと、再び流行してしまいます。ワクチンの効果を考えておく必要があります。
小さいうちから予防接種が始まるのはなぜですか?
生後6か月以降に感染症にかかりやすくなる
回答:齋藤昭彦さん 予防接種が早くから始まる理由は、免疫力をつくる子どもの「抗体」の量が関係しています。 生まれてすぐの子どもは、ママからもらったたくさんの抗体で病気から身を守っています。この抗体は徐々に減り、12か月ごろにはほぼなくなります。一方、子どもはいろいろな細菌やウイルスに会い、自身の抗体が徐々につくられます。このとき、抗体の量が最も少なくなる生後6か月以降、感染症にかかりやすくなります。そのため、早くからの準備が必要なのです。
予防の重要性は実感しにくいかもしれないけど大事なこと
回答:堀成美さん ワクチンによって病気がなくなり、みなさんが感染症のことを怖いと実感できなくなったのは事実です。ですが、お医者さんたちは、入院して危険な状態でいる赤ちゃん、赤ちゃんが亡くなって家族が泣いている、そんな経験をたくさんしています。治療するより病気にならないように守りたい。そこから始まっています。 パパやママから見える「何も起きていない、何を予防しているのかわからない」という風景と、医療関係者から見える「ワクチンがなかったら、また大変なことになる」という風景がかみ合っていない部分があるかもしれません。しかし、専門の先生たちが大事だよと言うときは、大事なんだと思ってください。
予防接種はたくさんあります。受けさせるだけでも大変です。どうしてスケジュールが立て込んでいるのですか?
感染しやすい時期にあわせて予防できるようになっている
回答:齋藤昭彦さん 予防接種のスケジュールは理由があります。 (※日本小児科学会 推奨スケジュールを参考に作成) 例えば「4種混合ワクチン(百日ぜき・ポリオ・ジフテリア・破傷風)」は、生後3か月から始まります。このワクチンに含まれる「百日(ひゃくにち)ぜき」は、生後早期にかかりやすい呼吸感染症です。赤ちゃんが感染すると非常に重い症状となり、お亡くなりになるお子さんもいます。予防接種をしっかり受けていれば予防できる病気ですので、できるだけ早く接種する必要があります。 このように、それぞれの病気には感染しやすい時期があり、その時期の前にしっかり接種できるようにスケジュールが組まれています。是非、このスケジュールを信じて、スケジュールに沿った接種をしていただきたいと思います。
体調が悪くて接種できないなど、スケジュール通りにいかない場合はどうしたらいいのでしょう?
医療機関に相談して再調整する
回答:堀成美さん 体調などで、スケジュールがずれることがありますよね。ですが、再調整ができるので、接種を受けることをあきらめないようにしてください。まずは、かかりつけの医療機関で「ずれてしまったのですが、一緒にスケジュールを組んでください」など相談をしてみましょう。
必要な回数を接種することが重要
回答:齋藤昭彦さん 必要な回数を接種することが重要です。可能なら限られた期間で接種するほうがよいのですが、受けそびれた場合には、しっかり回数を守りましょう。
すくすくポイント
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