遊び中心の保育とは、子どもが主体となって遊びを深める保育です。
子どもを放っておくだけではできません。子どもが遊びに没頭するため、保育のプロによるさまざまな「仕掛け」が必要になります。
遊び中心の保育のための取り組みを見てみましょう。
その1 遊びに集中できる環境
先生は、子どもの興味を常に察し、すぐにその遊びに取り組めるようにしています。例えば、使いやすい位置に材料や道具を準備する、棚からいつでも好きなおもちゃを選べるように配置を工夫するなどです。
0歳児の保育室では、仰向けで寝ている赤ちゃんの目線の先に、モビールを吊るしたり、天井にキラキラ光る紙を貼ったり、赤ちゃんの興味関心が広がるように工夫します。
また、窓際にレースのカーテンをつけて、風を目や肌(五感)で感じられるようにしています。
その2 子どもの情報を共有
先生は、保育中に遊びの様子を写真に撮ります。ドキュメンテーションと言われる記録を作るためです。
子どもが夢中になって頑張って工夫する姿、どのように世界を広げようとしているのか、保護者や他の先生たちと情報を共有します。
単に「水で遊んでいました」「砂場で遊んでいました」と伝えるのではなく、そこにどんな興味があったのかを見ようとしています。
そこから、次の遊びでは、こんな関わり方をしたらどうだろうかと、考えることができます。保育者はドキュメンテーションをひとつのツールにしながら、遊びをつなげていくことができます。
保育者同士の話し合いは、毎日行われています。一人ひとりの子どもを複数の大人で見て、対話を重ねることで、今後の保育について考えているのです。
一人の子どもをあらゆる角度から多面的に見ようとしています。これからどうしていくのかを考えながら作っていくのが、保育であり教育であると考えています。
その3 一人ひとりをよく見る
例えば、ひとりの子どもが集まりの時間になっても「まだ遊びたい」と言って、遊びを続けていても、保育士は何も言わず、しばらくその様子をじっと見守ります。
保育士は、やりたいところまでやれば、自分で片付けるだろうと考え、待つそうです。頭ごなしに「やめなさい」と伝えるのではなく、自分で気づくように、考えられるようにしようと心がけていると言います。
一人ひとりの子どもを、よく見ているからこそできる保育なのです。
一人ひとりの子どもにあわせた関わり方
回答:大豆生田啓友さん 保育士や幼稚園の先生は、一人ひとりの子どもがどんな思いなのかを、考えながら関わっています。これはとてもすごいことです。 子どもが、かみついたり、いたずらしたり、一見、悪いことをしているように見えても「この子はこういう思いでしているのだろう」と考えます。 単純に怒っている人はプロとは言えません。 一人ひとりの子どもをよく見て、必要な材料をきちんと提供しています。
普通は子どもが遊びに没頭する前に終わることがほとんど
回答:汐見稔幸さん 遊びこむまでには、遊び始める、だんだんと火がついてくる、やがて没頭するという段階があります。没頭していくと面白くてしかたがなく、アイデアがどんどん出てきます。 ですが、没頭する前に遊びが終わってしまうことが多いんです。 没頭して遊びこむ状態になるために、大人が試行錯誤しながら上手にサポートする。それがプロの仕事です。
遊び主体の園が理想なんですが、園を選ぶときのポイントはありますか?
子どもたちが生き生きと遊んでいるか
回答:大豆生田啓友さん 園を見る上で大事なことは、子どもたちが生き生きと遊んでいるかどうかです。 子どもたちが夢中になって遊ぶためには、遊ぶ時間と環境が保障されていることが必要になります。 また、保育士さんや先生が、子どもに寄り添いながら主体性を大事にしているかがポイントになります。
通っている園が遊び重視でない場合、どうしたらいいですか?
本当に大事な育ちとは何か、親側の理解も重要
回答:大豆生田啓友さん 直接的な答えではありませんが、園の方針は、親側のニーズを反映している部分もあります。勉強や習い事を重視してほしい、しつけをきちんとしてほしい、などです。 本来そこが重点ではないだろうと考えている園も多くあります。 幼児期は、遊びや一人ひとりのペースなどが大事だと、親側も理解することが重要です。
すくすくポイント
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