6か月ごろから離乳食を始めましたが、食物アレルギーが心配です。私自身にアレルギーがたくさんあること、パパも小児ぜんそくとアトピーがあったので、子どももアレルギーやアトピーやぜんそくが出てくるのかなと心配になります。
だから、アレルゲンになりそうな食材は、まだ食べさせていません。卵など食べさせていい月齢なのですが、あげるのを躊躇しています。
(10か月の女の子をもつママより)
1歳を過ぎるころまでは、何事もなく離乳食を食べていました。ところが、3か月ほど前、夜ご飯の後にすごくかゆがって。トマトだったのですが、顔やトマトを持った手に湿疹が出てしまったのです。
30分ほどで消えたので、病院には行きませんでした。それ以来、トマトは食べさせていませんが、アレルギーだったのか何なのか心配です。
(1歳6か月の男の子をもつママより)
親にアレルギーがあると、子どもも食物アレルギーになりますか?
食物アレルギーは遺伝しない
回答:大矢 幸弘さん 食物アレルギーは遺伝しません。ぜんそくやアトピー性皮膚炎については、なりやすい傾向は見られますが、完全に遺伝するというわけではありません。
そもそも、食物アレルギーはどのようにしてなるんですか?
肌が荒れていると食物アレルギーになりやすい
回答:大矢 幸弘さん まだ完全に解明されていませんが、子どもの食物アレルギーについて、昔より多くのことがわかってきています。 ひとつは、湿疹のある赤ちゃんが食物アレルギーになりやすいということです。 湿疹のある皮膚に付着した食物が、体内に取り込まれると、食物を敵だとみなすようなメカニズムが働くことがあるのです。●食物アレルギー発症のメカニズム 肌荒れのない健康な皮膚なら問題ないのですが、皮膚が荒れているとアレルゲンとなる食物が皮膚から体内へ入ってしまいます。 それを危険な異物だと体が認識し、抗体をつくるのです。その後、その食物を食べたときにアレルギー反応を起こすということがわかったのです。人間は、口からものを食べると、それを異物とみなさず、消化して取り込む力があります。ところが、肌は入ってきてほしくない場所です。肌が荒れているときなどに取り込まれてしまうと、アレルギーのメカニズムが働いてしまいます。 そのため、湿疹やアトピー性皮膚炎のある赤ちゃんは、食物アレルギーになりやすいわけです。●食べる前に肌から入るとリスク高 つまり、口から食べるより先に皮膚から体内に入ってしまうと食物アレルギーになりやすいということです。 離乳食を遅らせることは、食物アレルギーのリスクをかえって高めるのです。
昔より、スキンケアに気を付けている方も多いと思うのですが、現代のほうがアレルギーの子が多い気がします。どうしてなんでしょう?
以前より肌が乾燥しやすい環境になっている
回答:馬場 直子さん 現代は、生活様式の変化でとても乾燥しやすい環境になっています。都市熱などで空気全体が乾燥しやすく、気密性の高い住居でのエアコンによって室内も乾燥しているので、肌も乾燥しやすくなっています。 意識してスキンケアをしている方もいると思いますが、何もしなければ以前より乾燥しやすいわけです。 また、清潔志向のためきれいにしようと洗いすぎる、こすりすぎることがあります。その結果、肌が本来持っているバリア機能をこわしてしまう傾向があります。 赤ちゃんのときから保湿をして、バリア機能を守ることが大事になります。
アレルギー疾患は世界的に増加傾向にある
回答:大矢 幸弘さん この数十年間で、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患は、世界の先進国を中心に増加傾向にあります。 食物アレルギーの場合、対象の食物を食べなければ何も起こらないので「予防のためには食べない方がいいのではないか?」という考えが浮かんでしまいます。そのため、卵やピーナッツなどを食べる時期が遅くなりました。実際には、離乳食を開始する時期が遅くなるにしたがって、食物アレルギーがどんどん増えていることがわかっています。 つまり、よかれと思ってやっていたことが、逆に食物アレルギーを増やす方向に働いていたわけです。
トマトで湿疹ができてから、トマトをあげていません。どうしたらいいでしょう。
食物アレルギーではなく、かぶれの可能性も
回答:馬場 直子さん 湿疹が出たところが、顔と手だけということでしたので、食物アレルギーではなく、トマトに触れた場所が炎症してかぶれた可能性もあります。
食物アレルギーとかぶれは違うのですか?
食物アレルギーとかぶれは違うので対策も異なる
回答:大矢 幸弘さん かぶれの中には特殊なアレルギーのケースもありますが、食物アレルギーとかぶれは違うもので、そのメカニズムが異なります。●食物アレルギーとかぶれの違い 食物アレルギーの発疹は、食べることで体内の抗体が反応して全身に出るもの。 かぶれは、皮膚に対する刺激によって触った場所とその周辺の皮膚にだけに発疹が出ます。 メカニズムは違いますが、見た目には判断しにくいので、医師に相談しましょう。もしかぶれであれば、食べる前にワセリンなどで肌を保護してあげれば大丈夫です。食物アレルギーであった場合は、肌の保護と関係なく、食べると症状が出てきます。 食物アレルギーとかぶれでは対策が異なるわけです。 湿疹がなければよいが、湿疹のあるお子さんが、これまで食べていたものをやめてしまうと、しばらく後、食べられなくなってしまう。本当の食物アレルギーになってしまうことがあります。 ですから、自己判断でやめないようにしてください。「勝手に除去」はかえってリスクを高めます。 病院などできちんと調べてから、食べさせましょう。
すくすくポイント
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