保育施設「りんごの木」では、4歳から6歳、およそ70人の子どもたちを預かっています。
みんなで相撲をとっている子がいたり、ひとりブロックで遊んでいたり、お絵かきをしている子もいます。
外で遊んでいる子どもたちもいます。園庭はありませんが、園の前の広場や通りで自由に遊んでいます。
水遊びをしている子もいます。窓ガラスにぬれた新聞紙を投げつけているようです。
先生はそんな様子を笑って見守っています。ひとりひとりがバラバラに自由に遊ぶ様子は、私たちが想像する幼稚園・保育園と違うかもしれません。
まるで自分の家や近所で好き勝手に遊んでいるようです。
自分の「やりたい」を保証したい
回答:柴田 愛子さん 子どもたちは、ひとりひとりやりたい遊びが違います。みんなが同じことに興味を持って、同じように遊ぶのは不可能だと思います。 一方で、これをやりたい、おもしろそうだと思うと、さわがしくて混みあった中でも、集中してブロックで遊ぶ子もいます。子どもは自分のやりたいことをやるときは、あまり周りのことが気にならなくなります。 だから、私は子どもの「自分がやりたいこと」を保証したいと思っています。
窓にぬれた新聞紙を投げつけて遊んでいましたが、いたずらというか、やんちゃと言うか、悪いことをしているようにも見えます。家でされると叱ってしまいそうです。
「やんちゃ」と「悪い」は違うこと
回答:柴田 愛子さん やんちゃではあるけど、悪いことではないと思います。新聞紙をぬらすとガラスに張り付くというのは、子どもたちにとって大発見なんです。 昔は、子どもは汚くてうるさくて、何をやるかわからないから「外で遊んでおいで!」と言っていましたね。今は、マンションなどの住環境の関係で、遊びも生活も、その中で引き受けなくてはいけません。そうすると、家ではあまり不快なことはやってほしくないとなるのは仕方がない面もあります。
子どもたちが思い切り遊べる場所は、幼稚園や保育園が担っている
回答:大豆生田 啓友さん 昔は、みんな自由に遊んでいたんです。何もなくても、外に出れば遊びたいことがたくさんあって夢中で遊んでいた。 そういう意味で考えると、かつて地域にあった子どもたちが思い切り遊べるような場を、幼稚園や保育園が提供している。それは、とても重要なことだと思います。 実際に、多くの幼稚園や保育園では、このことを大事にしています。
外の通りや広場で遊んで大丈夫でしょうか?
苦情はきませんか?
子どもを知ることが、子どもアレルギーを緩和する
回答:柴田 愛子さん 最初の頃は、よく苦情がありました。 もしかしたら住んでいた方々が子どものことをよく知らないで、子どもがうるさいし、チョロチョロして危ないし気になる、それが苦情になっていたと思います。 でも、みなさんがだんだんと慣れてきたんです。最初は「何をやっているんだ」と言っていた方に、「おもしろそうなことをしているね」「子どもたちの目が輝いているね」と言ってもらえたり。 子どもたちを知ることで、子どもアレルギーが緩和されたような気がしています。思い返せば「子どもって、こんなふうだったな」と、大人が子どもを見守る目が優しくなるといいなと思います。
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