講師:草川 功(聖路加国際病院小児科医長) 冬は感染症が流行する季節。かぜによる発熱、下痢やおう吐など心配ですよね。 かぜに似た症状でも抵抗力の弱い乳幼児は大人に比べて重症化しやすく、早めの対処が必要です。とくにこの時期に気をつけたい病気について知っておきましょう。
インフルエンザについて
原因となるインフルエンザウイルスは、感染力が非常に強く、毎年12月から3月にかけて流行します。
患者のくしゃみやせきによって、人から人へ感染します。
インフルエンザによる症状
せきや鼻水などの普通のかぜと似たような症状に加え、38℃以上の高熱が出ることが特徴です。
頭痛や関節痛、体のだるさなどの全身症状もあり、特にかかり始めは強く現れます。
発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を飲めば、発熱期間が短くなると言われています。
インフルエンザで一番怖いのは「けいれん」
「けいれん」を起こしたときは、緊急を要します。救急車を要請してください。
▽「けいれん」の症状
・手足をビクビクさせる
・白目をむく
・泡を吹く
・呼びかけても応えない
インフルエンザと診断された場合の家での対処方法
家では安静にしてください。
また、高熱が出ているときは、脱水症になりやすいため、水分をこまめに与えましょう。
インフルエンザの予防接種について
インフルエンザウイルスは、流行する前の予防接種で重症化を防ぐことができます。
子どもは2回接種することを勧められます。1回目の免疫効果が出始めたころに2回目を摂取すると、免疫効果が増強されるのです。
効果の持続は、3か月~半年くらいと言われています。
予防接種は、生後6か月から受けられますが、1歳を過ぎてからの方がより効果が高いと言われています。
大人に比べ予防接種の効果が出にくい乳幼児のために、周りの大人も予防接種を受けて、ウイルスを家に持ち込まないようにしましょう。
Q&A
予防接種を2回受けたのに、インフルエンザにかかってしまったのはどうして?
インフルエンザの予防接種は、1回打つと約50%、2回目を打つと80%くらいの抵抗力がついてくると言われています。どうしても100%の効果にはならないのです。
予防接種は、インフルエンザの発病を予防するのではなく、インフルエンザにかかった場合の重症化予防なのだと捉えてください。
一度、インフルエンザにかかると抵抗力がついて、残りのシーズンはもうかからない?
確かに、一度インフルエンザにかかることで免疫はできます。しかし、インフルエンザウイルスには型があり、形や含まれるたんぱく質の種類によって、大きくA、B、C型に分類されます。
かかったウイルスの型や予防接種した型に対しての免疫はできますが、違う型のウイルスへの免疫はできません。
そのため、A型にかかった後に、B型にかかることがあります。
また、インフルエンザウイルスは同じ型でも、毎年のように少しずつ変化しているため、去年、A型にかかったからといって、今年のA型にかからないというわけではありません。
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