下の図ように、子どもの命が最も危険な状態のとき、救急車が来るまでにできることはあるのでしょうか?
■子どもの命が最も危険な状態とは?
ただちに心肺蘇生をする
回答:草川 功さん 子どもの意識・呼吸がないときは、ただちに心肺蘇生をしてください。 心肺蘇生は、やらずに後悔するよりまず始めることが大事です。 心肺蘇生は本を読んだだけで実行に移すのは難しいと思います。 実技演習を受講して、もしものときのために備えておくといいと思います。 心肺蘇生は、胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返して行います。 胸骨圧迫については、「胸を強く押しすぎて骨が折れてしまわないか」と心配される方もいますが、とにかくやってみることが大切です。 胸骨圧迫をやってみて、子どもが少し動くなどして反応が見られた場合は、すぐにやめても大丈夫です。
赤ちゃん・子どもの救急法(心肺蘇生の方法)
講師:中村 智子さん(「赤ちゃん・子どもの救急法」講師)
<まず始めにすること>
(1)意識があるかどうかを確認。
呼びかけても反応しない場合は、すぐに119番通報をしてください。
(2)周りに人がいる場合は、ひとりでやらずに119番への電話とAEDを持ってきてくれるように頼む。
ひとりの場合は、まず119番通報してください。
(3)呼吸があるかどうかを確認。
胸とお腹の動きを10秒間見て、動いているかどうかを確認。
胸やお腹の動きがないと呼吸が停止している状態です。
すぐに胸骨圧迫と人工呼吸をしてください。
<胸骨圧迫と人工呼吸の方法>
呼吸が停止していることが確認できたら、すぐに胸骨圧迫と人工呼吸をしてください。
(1)胸骨圧迫の方法
圧迫するときは、下の図のように胸のちょうど真ん中(おっぱいとおっぱいを結んだ線の少し下側)を、体が3分の1沈むくらいの強さで推してください。
指がいたくなるほどの強さになります。
子どもの年齢に関わらず、30回続けて圧迫してください。
(圧迫するときのリズムは、1分間に100回の早いリズム)
心臓を圧迫することで、血流が生まれ、脳に酸素が周るようになります。
脳を守るためにも、深い圧迫が必要になります。
▼年齢別 圧迫の仕方
圧迫の仕方は、下の図のように、子どもの年齢で異なります。
・1歳未満の乳児の場合:指2本で胸の中心を圧迫します。
指は「人さし指と中指」または「中指と薬指」の力の入れやすい方で大丈夫です。
・1歳以上の場合:手のひらを使い、上から垂直に体重をかけて、胸の中心を押します。
(女性の場合は、両手を重ねて行うと、手に力が入りやすくなります)
(2)人工呼吸の方法
胸骨圧迫を30回続けたら、次に人工呼吸をします。
まず、おでこに手をあてて、あごを引き上げ、気道を確保します。
次に、鼻と口の両方を口の中に含んで、2回息を吹き込みます。
たくさん息を入れる必要はありません。優しく吹き込んでください。
このとき、胸が少しでも動いているかどうかを確認しましょう。
1度始めたら、子どもが動いたり、目を開けたりと、嫌がるようなそぶりを見せない限り、子どもの意識が戻るまで、胸骨圧迫(30回)と人工呼吸(2回)を1セットとして、繰り返してください。
自分ひとりで対処しようとせず、他の人の助けを借りる
回答:日沼 千尋さん 子どもの意識がなく、呼吸もしていないような緊急事態のときに、子どもと2人きりの状態になることもあるかと思います。そのようなときでも、できる限り、他の人の助けを呼んでください。他の人に、119番にかけてもらったり、AED(自動体外式除細動器)を持ってきてもらったりすることも大切です。 また、AEDがある場合には子ども用のものがなくても、使わないよりは、使う方がいいです。AEDは音声で案内してくれるため、使ったことがない人でも使えるようになっています。
AEDの使い方
AEDは電源を入れると、機械が音声でその後の手順をすべて教えてくれます。
電源を入れたあとは、音声に従って使用してください。
電気パッドを付ける位置なども、下の図のように、わかりやすく表記されています。
AEDは自動で心電図を取り、電気ショックが必要かどうかを判断してくれます。
機械に任せて大丈夫です。
AEDに子ども用のパッドがついていないこともあります。
そのようなときは、大人用のパッドを、下の図のように、胸の真ん中と背中の真ん中に貼って、使用してください。
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