アタッチメントの実践編、家庭でできる最新プログラム「Watch Me Play!」とは?

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2025/02/08

出典:すくすく子育て[放送日]2025/02/08[再放送]2025/02/13

チェリー吉武さんと白鳥久美子さんには、最近こんな悩みがあります。

長女(3歳)と長男(1歳)を育てています。下の子が生まれてからお姉ちゃんとの関わり方に悩んでいます。最近は、おねえちゃんが「ギャー」と奇声をあげて、「どうしたの?」と聞いても理由を言わず、「やだやだ!」ということが増えています。「ダメ」でいいのか、もっと親がかまったほうがいいのか、どうしたらいいかわかりません。
(チェリー吉武さん・白鳥久美子さん)

そこで2人に、イギリス発の親子プログラム「Watch Me Play!(ウォッチ・ミー・プレイ)」を試してもらいました。

「Watch Me Play!」とは?

Watch Me Play!

「Watch Me Play!」は、アタッチメント理論をベースに開発されたプログラムです。もともと里親家庭向けのものでしたが、現在では一般家庭にも普及しています。基本は、子どもの遊びを見守るだけです。

「Watch Me Play!」日本版を監修した御園生さんに、くわしく教えてもらいました。

準備のポイント

まずは準備です。子どもが自由に遊べる環境づくりがポイントになります。

ダメと言わないよう触られたくないものは片づける

子どもに「ダメ」と言わなくてもいいように、触られたくないものはあらかじめ片づけます。

テレビ・スマートフォンの電源オフ

テレビ・スマートフォンの電源はオフにして、子どもも親も遊びに集中できるようにします。

おもちゃは電池式や電子機器ではなく想像力を働かせるシンプルなもの

おもちゃは電池式や電子機器ではなく、子どもが想像力を働かせるシンプルなものだけにします。

大切なことは

「Watch Me Play!」のときは、子どもに「質問やアドバイスはしない」、「子ども主導の遊びに親はついていく」ことが大切です。子どもの自由な遊びが最優先なのです。

その他の主なルールはこちらです。

〇基本は子どもと1対1でおこなう
〇1回 5~20分間
〇週に2~3回を定期的に続ける
〇対象年齢は0~8歳

はじめての「Watch Me Play!」

準備が整ったところで、はじめての「Watch Me Play!」がスタートしました。
初日は、パパとママ、御園生さんと一緒にやってみます。

でも、ママとパパは、「子どもをただ見守るだけ」と言われてもどうしていいかわからず、ただ黙っています。

そんな中、お気に入りのおもちゃで遊び出したお姉ちゃん。「こうやって、おくちに入れるやつ」と言うと、御園生さんは「おくちに入れるやつか」とこたえます。
この日は、親子で一緒に遊ぶことなく終わってしまいました。

感想を聞くと、パパは「『どうするの?』『これ料理するの?』とすすめたくなって、我慢するのが大変だった」といいます。お姉ちゃんは「またやる!」と、楽しかったみたい。

ここから1か月間、親子で「Watch Me Play!」に挑戦してもらいました。

白鳥ママの初日は20分。タイマーをセットして「Watch Me Play!」をスタートしました。なぜかあくびが止まりません。

チェリーパパの初日も20分です。こちらも眠たそう。

一方、お姉ちゃんはとてもうれしそう。「Watch Me Play!」を「見てて!の遊び」と呼んで、次にやるのを楽しみに待つようになりました。

見ているだけで大丈夫?

プログラムを始めて2週間後、白鳥ママにある悩みが。

白鳥ママ

子どもは楽しそうだけど、自分はやることがなくて、手応えがなくて、このままでいいのか不安になる。
チェリーパパ

きっと、何かをやることによって発見があるわけじゃん。
白鳥ママ

私は与えることが親の仕事だと思っていて、何かしたほうがいいんじゃないかと思う。例えば、想像力がわきたつようなこととか。ずっと見ているだけで楽をしていいのか、と思ってしまう。
御園生直美さん

子どもにとって、自分のいちばん重要な人がそばにいて自分を見てくれることは、大きなごほうびで、栄養になります。英語では「Being(ビーイング)共にある」という言葉があります。子どもにとって、いちばん大事な人がずっといてくれて、安全を感じて、安心した状態で遊ぶことで、エネルギーがたくさん出てきます。「ママはどこ?」と探すこともなく、没頭できます。親が近くにいる、見ていることはものすごく意味があるんです。
もっと自信を持ってください。子どもがとても喜んでいるのは、太陽の光をいっぱいもらっているようなことです。「Watch Me Play!」をうまくできているのだと思います。



コツをつかめないときは、子どもの様子を見ながら、行動を実況してみてください。例えば、移動しているときに「トコトコトコ」と実況してみるんです。子どもの行動を実況することで、子どもは「私を見ていてくれる」と実感できます。
白鳥ママ

話を聞いてもらって、「私は太陽なんだ」と思いながらいられるようになりました。まだ「こうやってあげなきゃ」が出ちゃうけど、だいぶ気持ちが楽になりました。

開始から1か月後

3週間がたったころには、ママとパパもお姉ちゃんへの向き合い方が変わってきました。以前は眠たそうにしていた2人ですが、今では遊びの世界を一緒に楽しんでいるようです。

そして開始から1か月後、お姉ちゃんに大きな変化があったそうです。

白鳥久美子さん

お姉ちゃんが「ギャー」と言ったあとに、「イヤな気持ちになったから、さみしくなったから」と、自分の気持ちを言うようになりました。私も、子どもがイヤイヤのときに、「1回見てみよう」と待てる余裕ができました。
お姉ちゃんが下の子に手を出したとき、以前なら「危ない」と言っていましたが、それも待つようにしました。すると、「自分が悪い」と思ったのか下の子の頭をなでたりして、「待っていればよかったんだな」「私が行き過ぎていたんだな」と思いました。

「Watch Me Play!」を続けて1か月、自分の気持ちを素直に出せるようになったお姉ちゃん。親は太陽のように子どもを見守っていることがいちばん大切だと、気づかされた1か月でした。


りんたろー。さん(MC)

いろんな発見がありましたね。チェリーさんはスムーズに入れましたか?
チェリー吉武さん

子どもと同じ目線というか、フラットな気持ちで入ると、自分も楽しくなりましたね。子どもがすごく喜ぶ姿を見たら泣けちゃいました。
丸山桂里奈さん(MC)

私はすぐダメと言ったり、先回りして教えたりしてしまうので、やってみたいと思いました。
りんたろー。さん(MC)

アタッチメントの「見守って踏み込まない」を、どうしたらいいかわからなかったのですが、映像で見るとわかりやすかったです。こういうことでいいんですね。

「Watch Me Play!」は子どもの自尊心や自信につながっていく

御園生直美さん

「Watch Me Play!」では、はじめから「ダメ」「危ない」と言わなければいけないことはやりません。子どもにとって、この時間は何をしても、ずっと見ていて応援してくれて、「それをやったんだね!」「楽しいんだね!」と言ってもらえる。「この時間は僕が主役なんだ」「自分が考えていることは大事なんだ」と思えて、子どもの自尊心や自信につながっていくと考えられます。



―― 子どもを見守ると、なぜ親にも変化があるのでしょうか?

子どもの成長に立ち会うことが親の喜び・幸せになっていく

回答:遠藤利彦さん

親が、子どもの成長を感じとっているのだと思います。子どもの成長に立ち会うことが、親の喜び、幸せになっていく。そこで親が変わるのでしょう。子どもが、主体的・自発的に何かをしようとしていることに、温かいエールを送る応援団になれたのが重要なポイントだったと思います。
すくすくファミリー(お子さん2歳4か月)

最初は「本当に見ているだけでいいの?」と半信半疑でしたが、だんだん見ているだけでも子どもは「こういうことを思って、こういう動きをしてるんだ」とわかってきて、子どもの遊びの世界に一緒に没頭できる感じが伝わってきました。私もやってみたいです。
すくすくファミリー(お子さん1歳1か月)

とても勉強になりました。5分からならできるかなと思います。例えば「今、これできたね!」「今、それ楽しいんだね」といった声かけはしてもいいですか?

子どもがしていること・考えていそうなことを言葉にする

回答:御園生直美さん

もちろんです。「Watch Me Play!」の見守る中に「こちらから提案する」はありませんが、「子どもがしていることを言葉にしましょう」というルールもあります。例えば、「今、これを見たんだね」「開けたんだね」「閉めたんだね」と声をかけてみます。あるいは「今、考えているんだね」「何しようか迷っているんだね」のように、子どもが考えていそうなことを言葉にするのも重要です。

“アタッチメント”の関わり方とは?

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