アトピー性皮膚炎でのステロイドの使い方・影響は?
ステロイドを長期的に使うと、肌に影響があるのでしょうか。よくなっては少しステロイドをお休みして、また湿疹が出てきたらステロイドを使って、イタチごっこです。
(お子さん4歳・7か月のママ)
(お子さん4歳・7か月のママ)
「ぶりかえす」ように見えるのは、まだ皮膚の炎症が残っているから
回答:長尾みづほさん 皮膚の表面上はきれいに見えても、まだ皮膚の内部に炎症が残っていて、それが「ぶりかえす」ように見えることがよくあります。 ステロイドをやめて、また湿疹が出てくるのは、皮膚の表面上はきれいでも内部に炎症が残っている状態であることを示しています。
ステロイドのぬり薬は治るまでしっかり使う
回答:長尾みづほさん ステロイドのぬり薬は、治るまでしっかり使うことが大切です。「ぶりかえす」ように見えるのは、ステロイドのぬり薬をやめるのが早すぎるからでしょう。粘り強くぬるようにしてください。 しっかり使ってよくなったら、ぬるステロイドを減らしていきます。これを「プロアクティブ療法」といいます。
プロアクティブ療法
プロアクティブ療法は、しっかりとよくなるまでステロイドなどの薬をぬり続けます。表面上はきれいであっても、内部には炎症が残っています。いきなり中止せず、ぬり薬を1日おきに使うなど、いい状態を維持しながら減らしていきます。減らし方や治療期間は、自分で判断せず必ず医師と相談しましょう。
―― ステロイド薬のぬり方は?
湿疹だけでなく周辺にもぬる
回答:長尾みづほさん 湿疹のまわりも炎症があります。ステロイド薬をつけるときには、湿疹があるところに点でつけるのではなく、その周辺にも面でぬるようにしましょう。
―― ステロイドのぬり薬は、1度使うとやめられなくなる?
プロアクティブ療法でステロイドをぬらなくてもよい肌の状態を維持できることも
回答:長尾みづほさん きちんと「プロアクティブ療法」を続けることで、ステロイドを使わなくて済む肌の状態を維持できることもあります。
―― ステロイドの塗り薬は続けていると、だんだん効かなくなる?
効果がなくなっているように感じるのは使い方に問題がある可能性も
回答:長尾みづほさん 見た目はきれいでも肌の奥に炎症がある場合があり、なおったと考えて薬をやめると、「また湿疹が出てくる」「効かない」と思ってしまいます。そのように、使い方に問題がある可能性があります。 ※長期使用で一部の効果が減る可能性を示す研究はありますが、適正に使用すれば効かなくなる心配をしなくてよいとされています
―― ステロイドのぬり薬を続けていると皮膚が黒くなる?
皮膚の炎症のあとは色素沈着が起こって黒く見えるが徐々に落ち着く
回答:長尾みづほさん 炎症のあとは色素沈着が起こり黒いように見えますが、ステロイドのせいではありません。色素沈着は、徐々に落ち着いていきます。ステロイドを使わなかったとしても、炎症後には色素沈着が起こります。
りんたろー。さん(MC) 私も毎回紫になってから治っていました。SNSなどで見て、勘違いしている部分があったかもしれません。
ネットの検索方法によっては情報が偏ることもある
回答:長尾みづほさん かつては「ステロイドバッシング」があり、ステロイドに対する恐怖をあおるような情報が出回りました。今でも、「ステロイドが怖い」と検索すると、「怖い」という情報ばかりが表示され、情報が偏ることもあります。SNSは便利ですが、そういった面に少し気をつけてください。
―― ステロイドの副作用には、どんなものがありますか?
不適切に使用すると、多毛・皮膚が薄くなる・毛細血管が目立つようになることも
回答:長尾みづほさん 飲み薬と違って、基本的にぬり薬では大きく心配される副作用はほとんどありません。ただ、例えば体に使うステロイドを自分の判断で顔に使い続けたなど、不適切に使用した場合は、少し毛深くなったり、皮膚が薄くなったり、毛細血管が目立つようになったりすることがあります。適切に使えば、そのようなことはほとんど起こりません。心配なことがあれば、医師に相談してみてください。
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