教育専門家のアドバイス!子どものスマホ利用、ポジティブな活用方法とは?
まだ比較的新しいメディアであるスマホを子どもが利用するにあたって、ネガティブな点にばかり注目が集まりがちですが、スマホをポジティブに利用する方法はないのでしょうか?
今回は、メディア活用について詳しい教育の専門家に、子どもにスマホを使用させる際のポイントや学びを育む活用方法について教えていただきました。
<お話を伺った専門家> 佐藤 朝美さん (愛知淑徳大学 人間情報学部講師) 専門は、教育工学、幼児教育、学習環境デザイン
スマホを子どもに使用させるときのポイント
子どもにスマホを効果的に使用させるポイント まとめ 1. 親も積極的にかかわり、一緒に楽しむ 2. 現実と融合させる使い方がおすすめ 3. アプリは学習や成功体験ができる良質なものを選ぶ
子どものデジタルメディアの使用は、周りの大人の関わり方が重要
デジタルメディアに当たり前のようにアクセスできる環境になり、幼児のデジタルメディアの使い方が二極化してきているという現象があります。
この二極化は、アメリカの調査では「アプリギャップ」と言われています。
家庭を経済所得のグループに分けて調査したときに、高所得者層の親はアプリ選びに慎重であることに加え、 コンピュータゲームでも語彙やアルファベットの習得の機会と捉えて一緒に活動するのに対し、低所得者層の親は文章なしの簡単なゲームなどを選ぶことが多く、子どもの使用に関与しない傾向があるという結果が出ています。
このように、乳幼児のデジタルメディアの使用は、その使用方法や周囲の大人の関わり方によって影響が異なってくるのではないかという実態があります。特に低年齢の場合は、その影響がさらに大きいと考えられます。
子どもにスマホを使用させるときには、大人が横について声かけしましょう
スマホを使用させる際は、子どもを放置せず、大人が横で声をかけたりしながら対話を楽しみましょう。
どんな声かけをしたら良いかわからないという方は、「○○ができるんだね!」と子どものやっていることを実況中継したり、「今度はお母さんね」など、交替しながらやるといいでしょう。親も一緒にアプリを使用することで、普段の会話の中で共通体験としてアプリの話ができるでしょう。
お絵かき体験で周囲からポジティブな反応を得られるかどうかが、その後子どもがお絵かきを好きになるかに関わってくるという傾向があります。例えばお絵かきアプリを使用させて、親がポジティブな声かけや対話をしてあげることで、スマホを通してお絵かき体験をポジティブなものにすることができますね。
「子どもにどうなって欲しいか」を考えた上でアプリを選びましょう
アプリを選ぶ際は、子どもが喜ぶからという理由だけではなく、アプリを通して得られる体験は何かを考えて選びましょう。子どもが粘土遊びやお絵かきなどで集中している時間はせいぜい30分程度。それ以上に集中し続けて無駄に時間が消費されてしまうようなアプリは、あまりおすすめできません。
子どもは自発的に何かを描いたり作ったりすると脳が疲れるので、途中でやめるもの。ある程度で飽きてしまうくらいのものが自然です。デジタルメディアとの接し方を親が管理し、ルールを作ることも大切です。
デジタルメディアならではのメリットも
デジタルメディアでしか得られないポジティブな体験はたくさんあります。遠方に住んでいるおじいちゃんおばあちゃんとつながることができるし、子どもの写真や作品などを記録として残して振り返ることもできます。
AR(拡張現実感)や動画を利用して、自然現象、ミクロな現象や宇宙の世界など、紙媒体では得られないあらゆる情報を見ることもできるようになりました。
21世紀のデジタルメディアの中で生きる子どもたちは、受動的ではない、自分で作り出す成功体験をたくさん経験し、高次な思考をするための道具として、デジタルメディアを上手に活用して欲しいですね。
おすすめのスマホ活用方法
(1) 現実との融合
スマホの中だけで完結せず、現実世界と融合させる使用方法。スマホを持って外に出かけたり、動いたり、何からのアクションを引き出す使い方が子どもにはおすすめです。
逆上がりの動画を撮って練習に利用するなど、スマホ内に限定せずに行動に移し、現実の学びや遊びを強化する使い方もおすすめです。最近ではタブレット端末用のアプリを体育の授業に使用する学校も増えてきています。
(2) 家族をつなげる
親子でコミュニケーションが生まれたり、共通の話題となって、“家族をつなげるデバイス”としてスマホを利用しましょう。
(具体的なアプリの一例)
Star Walk 2 開発元:Vito Technology Inc. iOS版 / Android版 天体観測アプリケーション。GPS機能で位置を選び、スマホをかざすと、どこにいても昼間でも、選んだ場所からの星を観測することができます。
Quiver 開発元:Puteko Limited iOS版 / Android版 塗り絵が動き出すアプリ。公式ページから塗り絵をダウンロードし、プリントして色を塗り、アプリを搭載したスマホをかざすと絵がARで飛び出し、3Dでアニメーションします。
コラージュペイント 〜 風景を自由に切り抜いてコラージュ作品をつくろう 開発元:Kouichi INAFUKU iOS版のみ カメラで映している映像を好きな形に切り抜いて、コラージュ作品が作ることができるアプリです。
スマホやデジタルメディアは、上手に利用すればお子さまの学びや可能性を広げるデバイスでもあります。むやみに否定せず、ご家庭でルールを決めて、ママやパパも一緒に楽しめるような使い方ができるといいですね
「乳幼児とデジタルメディア 〜スマホ利用の実態・上手な付き合い方〜」特集は今回で終了です。
お読みいただきありがとうございました。
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