子どもの口のクセが気になる…

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2024/11/30

出典:すくすく子育て[放送日]2024/11/23[再放送]2024/12/05

気になる子どものクセ。番組のアンケートでいちばん多かったのが「口」に関するクセでした。

なんでもかんでしまう

息子はとても活発で、何でも口に入れ、かんでしまうクセがあります。細いものなら口に入れ、ストローをぺったんこにする、箸をかんで折る、歯ブラシもすぐボロボロになります。ときには、かんだまま歩き回ったり、遊んだりすることもあり心配です。どうすればやめてくれるのか悩んでいます。
(お子さん1歳4か月のママ)

口に関連したクセが多いのは、生まれつき持つ反射の延長

回答:遠藤利彦さん

赤ちゃんが生まれつき持つ行動、反射のひとつに「吸啜(きゅうてつ)反射」があります。口のまわりに何かが触れると、それを吸おうとする行動です。口に何か近づいてくると、それを吸ったり、かんだりするのは、当然のことだと考えてもいいでしょう。口に関連したクセが多いのも、その延長線上だと考えてください。


―― 口にものを入れながら歩き回る子に、言い聞かせる方法はありますか?

大きなケガにつながるような場合「ダメ」としっかり言う

回答:柴田愛子さん

言葉を理解して自分をコントロールするのは、とても高度なことです。5歳くらいからでないと難しいと思います。命に関わることや、大きなケガにつながる場合は、理屈ではなく「ダメ」としっかり言う以外にありません。
子どもは、言葉だけでコミュニケーションしているわけではありません。「ダメ」と伝えるときの、顔の表情、声のトーン、迫力も大事です。
また、同じ場面で「これはダメ」と繰り返し叱っていると、子どもがその行動をとろうとしたときに親をちらっと見るようになります。そうやって身につけさせるほかはありません。

安全が保証された場所を作ってあげる

回答:遠藤利彦さん

やはり「危ないと思ったら絶対やめさせる」が必要です。とがったものを持っていたら取り上げるなど、そうせざるを得ないでしょう。安全が保証されている場所で、好きなように何かをくわえられる状況を作ってあげることが重要だと思います。

歯ブラシによるケガで救急搬送

歯みがきをしながら歩き回って転倒、歯ブラシを突く事故が多く発生しています。
東京消防庁管内だけでも、5年間に182人(5歳以下の乳幼児)も救急搬送されたそうです。細長いおもちゃも同じです。注意をしましょう。

タオルをしゃぶる

息子(2歳11か月)のクセは、タオルをしゃぶることです。どんなときでも大好きなタオルを持ち歩き、ちゅうちゅうしています。タオルに名前をつけるほど大好きです。一瞬でもなくなると「どこいった?」と言います。
特に欲しがるのは寝るとき。しゃぶりながらでないと寝てくれません。保育園でもタオルがないと寝てくれず、お昼寝用のタオルを持たせています。幼稚園への入園も考えているのですが、タオルを持参できないと思うので、そろそろやめてほしいところです。試しに保育園に持っていかないようにしてみると、見つかるまで泣いて動かなくなるので登園できません。
(お子さん2歳11か月のママ)

タオルはお子さんにとっての移行対象

回答:遠藤利彦さん

心理学では、お子さんのタオルのようなものを「移行対象」と言います。日本では、3~4割ぐらいの子どもが、乳幼児期の段階で移行対象を持つことが知られています。欧米の多い地域になると、7~8割ぐらいの子どもが持つといわれています。
ストレスのある状況で、自分になじみのある、お気に入りのものを使って、自分の感情を落ち着かせようとする。言ってみれば、自分の感情を立て直す心のたくましさが、お子さんの中に芽生えつつあるのだと思います。欧米ではポジティブな見方をしています。
りんたろー。さん(MC)

幼い行動だと思っていましたが、どちらかというと自立していく過程の行動なんですか?
回答:遠藤利彦さん

その通りです。自分自身の感情を調節していくことができる状態に移っていくときに必要なものだと考えてください。


―― 無理やり取り上げてもいいのでしょうか?

無理やり取り上げると自傷行為に及ぶ子も

回答:遠藤利彦さん

急に無理やり使わせないようにすると、パニックに陥る場合もあります。レアケースですが、自分の体の一部を傷つけたり、髪の毛を抜いたりするようなこともあります。無理やり取り上げるのは、子どもにとってつらい状況だと理解してください。

園で言われて「頑張ってみよう」と思うことも

回答:柴田愛子さん

子どもにとって大事なことだから、そこはあきらめましょう。でも、まわりの人から言われて、思いがけないハードルを越えることもあります。
親が「幼稚園に行くからやめようね」と言い聞かせるのではなく、持たせてもいいんです。幼稚園で「これ持ってきたの? これはおうちに置いてきてね」と言われると、「頑張ってみよう」と覚悟することもありますよ。

指しゃぶりがやめられない

うちの子(4歳)は、0歳のころから指しゃぶりをしています。まわりのお友だちはもうしていないので自然にやめるかと思い、長い目でみていたら4歳になっていました。最近、歯並びも気になっていて、前歯が少し出ているのではないかと思います。
(お子さん4歳のママ)


―― 指しゃぶりは、タオルをしゃぶるのと同じことなのですか?

感情を落ち着かせる共通点はあるが、違いもある

回答:遠藤利彦さん

感情を安定させるという意味では共通しますが、厳密に言うと違います。もともと口は栄養をとるところです。母乳やミルクを吸ったり、ものを食べたり。指をしゃぶるのは、その延長線上にあるのです。唇に集中した欲求を満たしたいのだと考えてください。
タオル・ぬいぐるみ・毛布などは、しゃぶるだけではなく、顔をうずめたり、触ったり、匂いがしたり、他の部分が重要になってきます。

しゃぶるクセはかみ合わせに影響する?

指しゃぶりとタオルしゃぶり。この2つのクセは、かみ合わせに影響するのか、専門家の土岐志麻さん(日本小児歯科学会 常務理事/歯科医)に聞きました。

どちらもかみ合わせに影響する

回答:土岐志麻さん

歯科的には、指しゃぶりもタオルしゃぶりもほぼ同じで、両方ともかみ合わせに影響するので、乳歯がしっかりとかみ合う3歳までにやめたほうがいいといわれています。遅くとも永久歯が生える前にはクセをやめることが推奨されています。

指しゃぶり3歳「開咬」

こちらの写真は、指しゃぶりを続けてやめられない3歳の子どもの口の様子です。奥歯はしっかりとかんでいるのに、指が入る前歯の部分がそのままかみ合わない「開咬(かいこう)」というかみ合わせになることがあります。子どもはそのすき間に舌を入れて飲み込んだり、遊んだりすることが多いです。そのため指をしゃぶっていないときも、かみ合わせに影響することがあります。

タオルしゃぶり

こちらはタオルをしゃぶっている子の口の様子です。タオルしゃぶりも、永久歯のかみ合わせに影響することがあります。上の歯と下の歯の両方が前に出ていることがわかります。

園で頑張っているなら、家では少し待つなど、ゆるいところがあってもいい

回答:柴田愛子さん

園の生活の中で、4歳の子がずっと指をしゃぶっているところはあまり思い浮かびません。まわりに刺激がたくさんあり、遊ぶのに忙しいからだと思います。きっと、家に帰るとリラックスしてしゃぶるのだと思います。
専門家のアドバイスも聞きつつ、そのままわが子にあてはめるのが難しいこともあります。園で頑張っているのであれば、家ではもう少し待つなど、ゆるいところもつくってあげてほしいと思います。

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