フィジカルリテラシーとは?
フィジカルリテラシーとは、運動の持つ力をさまざまな側面からとらえる知識や理解のことをいいます。実際に体を動かす能力だけでなく、体の仕組みや動かし方に関する「知識」、仲間と協力しフェアプレーを重んじる「心」などの要素が含まれます。
ドッジボールに例えると、ボールを投げる・かわすなどの動きを身につける「身体的要素」。ルールや勝つ方法などを理解している「認知的要素」。運動・スポーツが得意でなくても、雰囲気をたのしんだり参加することができる「心理的要素」。大人や友だちと関わり合いながら運動をたのしみ、育まれる「社会的要素」があります。
このように、フィジカルリテラシーは、運動の持つ多様な力を広くとらえようという考え方なのです。
フィジカルリテラシーは、運動に興味を持ち、関わることで高まっていきます。必ずしも体を鍛えたり、スポーツの練習に励んだりする必要はありません。ふだんの生活の中で、体を動かすことに意識を働かせたり、スポーツを見てたのしんだり、スポーツイベントに参加することなども効果的です。
たとえ小さなことでも、運動に関わるさまざまな経験を積み重ねることが、子どもたちの運動習慣につながります。幼児期に運動習慣を身につけさせてあげることが、生涯にわたって運動に親しむための土台となっていくのです。
フィジカルリテラシーチェック
大人のフィジカルリテラシーの簡易的なチェックを紹介します。
次の4項目について、「よく当てはまる」を3点、「どちらでもない」を2点、「全く当てはまらない」を1点で評価して、最後に合計点を計算します。合計が7点以下だと、少し課題があります。
※通常のチェックを簡易的にしたものです(監修:順天堂大学 鈴木宏哉 准教授)
– 問1:30分くらいランニングをしたり道具を使って運動を楽しくできますか? 早歩き程度の運動でもOKです。
– 問2:運動するのが楽しくていろんな運動・スポーツをやってみたいですか? 得意・不得意は関係ありません。
– 問3:仲間と一緒に運動・スポ―ツをやってみたいですか? もし運動が苦手だとしてもやってみたいですか?
– 問4:運動・スポーツのしかたを知っていてどうやったら自分なりにうまくできるかわかりますか? 競技は何でもよく、やったことのない競技でもOKです。
スポーツの面白さを「できる・できない」に限定しない
鈴木宏哉さん これまでの体育では、スポーツの面白さを「できる・できない」に限定していたイメージがあると思います。例えば歌が苦手でも、カラオケをたのしむことはできます。同じように、スポーツも「できる・できない」に限定しないたのしさを教育的に強調していくことが、フィジカルリテラシーの高い大人を育むことにつながると思います。
―― フィジカルリテラシーチェックで点数が低めの場合は、どうすればいいのでしょうか?
運動を通してたくさんの人と関わる機会を子どもに与える
回答:鈴木宏哉さん 点数が低めでもあまり気にせずに子どものサポートを考えてみてください。親、友だち、指導者など、いろいろな人と関わる機会をつくってあげることで、体だけではなく心も育っていくと思います。
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