子どもの幸せにつながる運動の秘けつとは? 親の関わり方は? 前回に引き続き「幼児期の運動」について考えます。
専門家:
吉田伊津美(東京学芸大学 教授)
鈴木宏哉(順天堂大学 准教授)
室伏広治(スポーツ庁長官)
運動が苦手そうな子ども… どう関わればいいの?
フィジカルリテラシーとは?
気になる子どもの運動の現状,幼児期からの運動習慣形成プロジェクトとは?
幼児期の運動、親はどう関わればいいのか?
番組MCの丸山桂里奈さんが、スポーツ庁長官の室伏広治さんに、「運動が苦手な親は子どもにどう関わればいいのか」を聞きました。
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室伏さんが子どものころ
室伏さんといえば、現役時代、超人と言われたハンマー投げのオリンピック金メダリスト。まずは子どものころの話を聞きました。
丸山桂里奈さん
私はいろいろな運動・競技をしていましたが、室伏さんは小さいころから「超人」だったのですか? ハンマー投げの選手だった父親の影響や思い出はありますか?
室伏広治さん
運動は好きでしたし、活発でしたね。
父は、私が興味を持ったら、なんでも協力してくれる人でした。サッカーが流行して「サッカーがやりたい」と言えば、サッカーができる環境を考えてくれました。子どもの思いつきであっても、チャンスをあげたい、気持ちを大事にしたいと考えていたと思います。やりたいことを「やめたほうがいい」と言われたり、止められたりしたことはありません。
親はどう関わればいいか
丸山桂里奈さん
私が子どものころは、ふだんから外に遊びに行ったり、いろんなことで活発に運動することがあったと思います。今の子どもたちは、運動や遊びをする環境が違うと思いますが、どうでしょうか?
室伏広治さん
やはり親が無関心であることはよくないと思います。
丸山桂里奈さん
運動してきていない親の場合は、子どもに「どう運動させればいいんだろう」と思うかもしれません。大人の運動への興味が大事になりますか?
室伏広治さん
大人も運動したほうがいいですね。生活習慣病の問題だけではありません。体の機能は年々衰えます。働いている環境や、さまざまな家庭背景、社会背景などもあるでしょう。でも、子どもには「運動したい」という運動欲求があると思います。子どもが何かをやりたいと思ったときに、「後で」ではなく、できるだけそのとき応えてあげたいですね。体を動かしたい欲求を満たしてあげることが大切だと思います。家の中でもできることがあるかもしれません。
子どもだけでなく、親も運動に参加してリテラシーを高めていく。子どもの運動をうながすには、親が意識を変えることも大切です。学校などに任せるだけではなく、親も関心を持って、できるだけ運動のチャンスを子どもに与えていくことが大事だと思います。
室伏長官流! 運動が苦手な親でも子どもと一緒にたのしめる運動
最後に、室伏広治さんに「運動が苦手な親でも子どもと一緒に気軽にたのしめる運動」を紹介してもらいました。
紙風船を使ったエクササイズ
まず、紙風船を膨らませます。
次に、両手の人さし指と親指で円を作ります。
紙風船を投げて、円のところでキャッチします。
この運動で、変化する状況に応じて体をコントロールする瞬発力・反射能力が鍛えられるそうです。
新聞紙を使ったエクササイズ
まず、新聞紙を用意します。大人は1枚~1/2枚、子どもは1/4枚ぐらいです。
下に置いた新聞紙の真ん中を持って、片手で丸めていきます。
毎回形の変わるものに常に適応することで、ふだん使わない指の神経などが鍛えられます。これなら「筋トレしよう」と思わなくても、いつでもできます。
みなさんも、子どもと一緒にぜひやってみてください。