耳のトラブル
小さな子どもは、自分では耳の不調を訴えることができません。
特にかぜが長引いたときなどは、耳のトラブルが起きやすいので、気をつけて子どもの様子を観察しましょう。
講師:守本 倫子(国立成育医療研究センター 耳鼻咽喉科医長) 子どもの小さな耳や鼻。お手入れしづらくて困ったり、病気の見分け方が分からなかったりして悩んだことはありませんか? デリケートな子どもの耳や鼻のケア方法をご紹介します。
注意すべき子どもの耳のトラブル
<急性中耳炎>
鼻水の中の細菌が「耳管」から入ることで、「中耳」という耳の奥が炎症を起こし、うみがたまる状態です。
▼急性中耳炎のサイン
・耳だれ
・黄色い鼻水が止まらない
・高熱が3日以上続く
上記のような症状が出たら、急性中耳炎を疑いましょう。
また、「機嫌が悪い」「夜泣きが止まらない」「頭を左右に機嫌悪くふる」「しきりに耳を触る」などのサインも、急性中耳炎の疑いがあります。
滲出(しんしゅつ)性中耳炎
何らかの理由で、鼓膜の内側に水が溜まる病気です。
あまり痛みが無いので気づきにくいのですが、治療しないで放っておくと、難聴を引き起こすことがあります。
また、急性中耳炎の治療を途中でやめたり、かぜを繰り返しひいたりすると、滲出性中耳炎になることがあります。
▼滲出性中耳炎のサイン
・テレビに近づきすぎる
・大きな音で聞きたがる
・呼びかけても答えない
・何度も聞きかえす
上記のサインが見られるなど、いつもと違うなと感じたら、迷わず受診しましょう。
<外耳炎>
夏に多い病気です。プールや耳のかきすぎなどで、耳の外からばい菌が入り、炎症を起こす病気です。
▼外耳炎のサイン
・耳だれ
・耳をよく触る
・とびひ
とびひが耳にうつって外耳炎になることもあるので、気をつけましょう。
耳のトラブルを防ぐには?
耳のトラブルを防ぐために、普段から次のことに気をつけましょう。
(1)鼻水をすすりあげない
普段から気をつけて、鼻水をすすりあげないようにさせましょう。
鼻水をすすると、鼻水に含まれるばい菌が、耳へ行きやすくなってしまいます。
(2)こまめに鼻水をとる
鼻水が出たら、こまめに拭き取ったり、吸い取ったりして、鼻水がたまらないようにしてあげましょう。
(3)ほどほどの音量で楽しむ
あまり大きな音で音楽をかけたり、テレビをみたりするのは、子どもの聞こえの発達によくありません。子どもが、ほどほどの音量で楽しむようにましょう。
かぜをひいたら耳のトラブルに要注意
下図のように、子どもは大人に比べて、耳と鼻をつなぐ「耳管」が短く、傾きもなだらかです。
そのため、かぜをひいたときなどは、鼻水のばい菌が耳へ行きやすく、トラブルになりやすいです。
ワンポイントアドバイス
「おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)」は、こじらせると難聴などの後遺症を起こすおそれがあります。
まだ予防接種を受けていないお子さんは、ぜひ「おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)」の予防接種を受けてください。
また、小さなお子さんの8割は、一度は中耳炎にかかると言われています。
きちんと治療しないと、聞こえの発達に支障が出ることもあります。
気になるサインを見つけたら、必ずお医者さんに相談してください。
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