心に響いた あのメッセージ(3)

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2023/05/04

出典:すくすく子育て[放送日]2023/05/04

これまでに反響が大きかった、心に響いた専門家のメッセージ。保育の現場で40年以上親子に寄り添ってきた井桁容子さんと一緒に振り返りながら、子どもとの関わり方について考えます。悩みを寄せてくれたご家族の今も伺いました。

専門家:
井桁容子(元保育士)

ちゃんと伝わる声かけって?

2022年9月3日放送の「ちゃんと伝わる声かけって?」。「娘は集中すると声をかけても話を聞いてくれない」と悩んでいたママがいました。

アドバイスをくれたのは、子どもの心にくわしい倉石哲也さんです。

自分の世界を作りはじめて、自立しはじめている

倉石哲也さん

子どもが言うことを聞かなくなるのは、自分の世界をつくり、自立しはじめているときです。言うことを聞かないと、親は目くじらを立ててしまうかもしれませんが、子どもの自立という考え方も持つほうがよいでしょう。

岩井久美子さんがすすめたのは、子どもの気持ちをくんだ、ワクワクさせるような声かけでした。

楽しいことがあるよと、具体的に声かけしてあげる

岩井久美子さん

「楽しい〇〇があるよ」のように、具体的な声かけをしてみましょう。「水遊びがあるよ」と言ったときのお子さんの表情が輝いていましたね。子どもの気持ちに近づいて、楽しいイメージがわくような声かけを心がけましょう。

あれから7か月、ママはアドバイスを実践しましたが、うまくいくこともいかないこともあったそうです。

「自立してきた証拠」と聞いて、なるほどと思いました。具体的に話して楽しめるような声かけをするというアドバイスも勉強になりました。今は3歳3か月で、話せるようになって、意思疎通できるようになっています。でも、下の子に手がかかるようになったせいか、イヤイヤが増えてきて、まだまだ悩みはつきません。
(悩みを寄せてくれたママ)

子どもなりのイヤイヤの理由はある

コメント:井桁容子さん

「イヤイヤが増えきてきた」という話でしたが、この時期であれば、子どもなりのイヤイヤの理由があると思います。その正解を考えるよりも、「嫌なことがあったんだね」のように、一生懸命に気持ちを感じて受け止めてあげる。それが子どもに伝わることが大事です。子どもは、気持ちをきちんとわかろうとしてくれている、その繰り返しの中で、パパ・ママを信頼していきます。

心を置くことが大事

コメント:井桁容子さん

きょうだいがいるなら、上の子のために特別な時間をつくることも大切です。お風呂など、短い時間でもいいのです。一緒に特別な時間を過ごして、「あなたのことを忘れていませんよ」と伝えましょう。でも、子どもといても別のことを考えて、うわのそらになるのはいけません。心を(子ども自身に)置くことに気をつけてください。

子どもの個性 どう伸ばす?

2022年5月7日放送の「子どもの個性 どう伸ばす?」。「息子は工作が大好きだけど、運動のほうが得意だと思う。好きなこと・得意なこと、どっちを伸ばしたほうがいい?」という質問を寄せてくれたママがいました。

柴田愛子さんからのアドバイスです。

「好き」なことは自分のもの。「得意」なことは人との比較・評価

柴田愛子さん

得意なことは人との比較で評価されるものですが、好きなことは自分のものですよね。私は、好きなことは長続きすると思います。
好きなことがあること自体がステキですよね。今は下手だとしても、長く続けているうちに得意になる可能性も大きいでしょう。好きなことがひとつでもあれば、人生が生きやすくなると思います。好きを伸ばしてあげてもいいと思いますよ。

子どもの発達にくわしい、川田学さんのアドバイスです。

親ばかパワーは子どもの生きる力の基盤。おおらかな親ばかがちょうどいい

川田学さん

人は好きなことをしているときがいちばん輝いているので、それを大事にすることがひとつだと思います。
基本的に、親が「この子はすごい、天才だね」と思えるような「親ばかパワー」は、子どもの生きる力の基盤になると考えています。子どもを追い詰めるほど強すぎない、おおらかな親ばかぐらいが、ちょうどいいでしょう。

あれから10か月、ママはやりたいことを好きなだけやらせることにしたそうです。

好きなことを、目一杯やらせていく中で、本当に絵が上手になってきたり、1~2時間、平気で工作するぐらい集中力もついてきたり、好きなことはどんどん伸びるんだと実感しました。運動は今も得意です。
「親が頑張り過ぎない」というアドバイスが印象に残っています。「子どもの能力を最大限生かしてあげなければ」と思って、私の考えで押しつけてしまう部分がありましたが、肩の力を抜いて、本人がそのとき一番やりたいことを、やらせてみようと思えました。子ども自身の人生で、個性も親とは違います。本人を尊重していこうと考えるようになって、私も楽になったと思います。
(悩みを寄せてくれたママ)


―― 好きなことがないような子どもの場合、どう接したらいいですか?

キラキラする瞬間を見逃さない

回答:井桁容子さん

子どもがキラキラする瞬間を見逃さないことですね。いろんな経験をしていくとき、表情が変わったり、その場から離れようとしなかったりすることがあります。もしかすると、好きなことかもしれません。大人は、それを大事にして、応援してあげましょう。子どものいいところを生かしていける近道だと思います。

専門家からのメッセージ

古坂大魔王さん(MC)

子どもを通じて親が変わっていくことは、考えてみれば当たり前のことかもしれません。そして、親が変わることで、子どもにも変化があるんですね。

「大好き」を伝えて、「ご機嫌」に生きて

井桁容子さん

そういうことなんです。怒りっぽくなっていた自分に気づいたり、頑張り過ぎていた自分に気づいたり。その気づきで、自分自身も生きやすくなります。子どもは、立派な親や、歯をくいしばって頑張る親より、のん気な親が好きです。だから、頑張り過ぎないでいい。自分自身が豊かにほっとできることを探しても、だめな親ではありません。
そして、「あなたを大好き」だと、子どもに伝えることが大事です。「大好き」が伝わって、「ご機嫌」に生きていれば大丈夫です。

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