ことばを豊かに育むためには?
パパは「パパ」を覚えてもらえて喜んでいますが、ママは周りの子のことばと比べて、少し焦りがあるかもしれません。
(お子さん1歳3か月のママ・パパ)
(お子さん1歳4か月のママ・パパ)
理解しやすいことばの長さは、今話している単語+1語
回答:田中春野さん 「カップ」「青い・カップ」のように、徐々に単語を増やしてことばを長くしていくのは、とてもよい方法だと思います。子どもが理解しやすいことばの長さは、話している単語のプラス1語ぐらいです。長すぎるとわからなくなってしまいます。 お子さんが「パパ」のように1語を話しているのであれば、2語文ぐらいの長さがわかりやすいでしょう。
親子で図鑑を一緒に見ながら、会話のやりとりを
回答:田中春野さん 図鑑は、知らなかったことばに出会うことができる、とてもよいツールです。いろいろな興味の引き出しを増やしてくれると思います。 使うときは、一方的にものの名前を言って終わるのではなく、親子で一緒に見ながら、「これは、おうちにあるね」「おそとで見たね」のように、会話のやりとりをすることが大事です。図鑑は、会話のきっかけにもなると思います。
ことばを豊かに育むためのアプローチ
ここで、田中春野さんに「乳幼児期の子どもに対することばを豊かに育むためのアプローチ」を紹介してもらいました。田中さん自身、お子さん(9か月)と一緒に、家で実践しているそうです。
※まだことばを発していない、1~2歳ぐらいの子どもにもあてはまる関わり方です
まずは、「子どもの発声をまねる」です。例えば、子どもが「ア~!!」と言ったら、そのまま「ア~」と、子どもの発声をまねるように語りかけます。
続いて、「子どもの動きをまねる」です。例えば、子どもがおもちゃをたたいたら、同じ動きをまねします。こういったやりとりによって、「やりとりが楽しい」と経験することがポイントです。
「そろそろ、おむつ替える時間かな?」と話しかけるなど、「大人自身の行動や気持ちを言語化」することも大事です。よく「子どもにどう声かけしてよいのか困っている」という方もいますが、そんなときは、自分自身が感じていることや思っていることを素直にことばに出しましょう。子どもは、ちゃんと聞いています。
また、「子どもの行動や気持ちを言語化」することも大切です。「寒いと感じてるかな、遊びに行きたいのかな」と想像しながら、「今日は寒いね」「おそとに遊びに行きたいね」と語りかけます。「寒い」「遊ぶ」という言葉を知るきっかけにもなります。
―― ことばを豊かにするために必要なのは、どんなことだと感じますか?
ことばの前に、コミュニケーションが大事
回答:柴田愛子さん 子どもの初めてのことばは、とてもうれしいですよね。「パパ」と言われて、親ばかになって喜ぶことでしょう。子どもは、そんな親のあたたかさに包まれている状態だと思います。パパがとても喜ぶものだから、なんでも「パパ」と言っているのかもしれませんね。 ことばを話せなくても、コミュニケーションはできます。田中さんが実践していた発声をまねることも、コミュニケーションになります。大切なのは、「あなたの気持ちを感じてあげるよ」という関わり方です。「悲しかったよね」「嫌だったね」と感じたことを語りかければ、子どもの中で、気持ちとことばが結びついていくと思います。 たしかに、ものの名前がわかることも大事ですが、より大事なのは「ことばにならないコミュニケーション」です。その上で、ことばを交わして、お互いがわかり合う心地よさを感じると思います。
親の豊かな感情が子どもの心とことばを豊かに
回答:柴田愛子さん 例えば、ものの名前を教えたいとき、「これはトマト、ト・マ・ト。言ってごらん」とやりがちです。このとき、「トマト」が言えることより、「トマト大好きだね。おいしいね。ママも大好き」という気持ちを大切にしましょう。お互いに気持ちに共感し合えます。ことばを通して、感じていることを膨らませて表現していくのです。親の豊かな感情が、子どもの心とことばを豊かにしていくと思います。
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