介護で子どもに我慢させていることがつらい…
3人の子どもを育てながら、同居する義理の母を介護しています。認知症の母の在宅介護はもうすぐ5年です。毎日、深夜にもトイレ介助をしなくてはいけません。午前3時ごろにトイレに連れて行ったり、おむつを替えたり、ぬれてしまったシーツを替えたりします。そのとき、どうしてもバタバタして、一緒に寝ている4歳の娘を起こしてしまいます。早朝には、もう一度母の様子を見に行きます。オムツを履かず、おしっこがたれた状態で歩かれることもあるし、オムツがびしょびしょなのに、取り替えさせてもらえない日もあります。なかなかパパの協力も得られず、すっと寝不足が続いています。
心配なのは、子どもたちへの影響です。例えば、子どもが「〇〇に行きたい」と言っても、介護のために行けないのが現実です。子どもも「〇〇をやってみたいけど、ばあばがいるから無理だよね」と言うようになりました。そんなことを言わせてしまっていることが、とてもつらいです。
(お子さん小学校2年生・1年生・4歳のママ)
心配なのは、子どもたちへの影響です。例えば、子どもが「〇〇に行きたい」と言っても、介護のために行けないのが現実です。子どもも「〇〇をやってみたいけど、ばあばがいるから無理だよね」と言うようになりました。そんなことを言わせてしまっていることが、とてもつらいです。
(お子さん小学校2年生・1年生・4歳のママ)
ケアプランでパパの役割も話し合う
回答:小薮基司さん 介護の負担がひとりに集中しています。ダブルケアをしている人は約25万人ですが、そのうちの17万人が女性(※)で、その割合が大きくなっています。女性に集中しているわけです。 ひとつの方法は、夫婦で相談に行くことです。ケアプラン(介護の計画)の中に、パパの役割をしっかり話し合って書き込むようにしましょう。 ※2016年 内閣府調べ
「もっと育児をすればよかった」と後悔している方が多い
回答:植木美子さん 調査をすると、ダブルケアの当事者・元当事者には「もっと育児をすればよかった」と後悔している方がとても多いことがわかります。それは、どうしても介護を優先していたからだと思います。当事者に「育児と介護、どちらをとるか」と聞くと、みなさん「介護」と答えるのです。 子どもが大きくなってくると、「ちょっと待ってね」というお願いを聞いてくれるようになります。子どもたちも、いい子に待っているんです。そうすると、「その間に介護をしてしまおう」と考えてしまうと思います。
ダブルケアは子育て優先で
回答:植木美子さん 私は、当事者の方と話すときは、「子育て優先で」と言い切って伝えています。介護はきちんとしたシステムがあります。お願いできる部分は外に出して、プロに任せるのがお互いのためにもなるでしょう。子どもに関しては、「待って」ではなくて、全精力で向かっていただければと思います。
介護に多くの時間を割かれることで、子どもにどんな影響があるのか。発達心理にくわしい遠藤利彦さん(東京大学大学院教授/発達心理学)に伺いました。
子どもは家庭の外でもいろいろな経験をして育つ
遠藤利彦さん たしかに、介護のために、なかなか子どもをどこかに連れて行くことができないのは、現実的な話だと思います。一方で、実は子どもたちは、家庭の外でも十分にいろんな人と関わって、そこで経験を重ねて育っていきます。学校や園での人間関係や、遊び・活動というものが、どれだけ充実しているかが大切です。学校や園などが、家庭とは違う、もうひとつの子どもたちの育ちの場になっているのであれば心配ありません。長期的に見て、それほど子どもの発達にマイナスになることが生じるとは考えなくてもいいでしょう。
ダブルケア 当事者の相談先
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