男の子らしさ・女の子らしさって?

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2021/10/09

出典:すくすく子育て[放送日]2021/10/09[再放送]2021/10/16

すくすくナイト「子どもにどう伝える? 性とジェンダー」。
続いては、男の子らしさ・女の子らしさについて考えます。

子どもを応援したいが、まわりの目も気になる。どうすればいいですか?

長男が2歳のとき、保育園の誕生日会で先生に「何色が好き?」と聞かれて「ピンク」と答えていました。初めて聞いたことで驚きました。それからは、買い物でピンクのものを選ぶことが多くなったんです。今は、服から歯ブラシまでピンクのものがそろっています。私たち夫婦は、「男の子だから・女の子だから」といった対応をしたくない思いもあり、あまり気にしていませんでした。
でも、小学生にあがるときのランドセル選びに関しては複雑な気持ちになります。ピンクのランドセルの男の子を見たこともなく、選んだときに何か言われるのではないかと心配です。子どもの好みを尊重したいけれど、まわりの目が気になってしまいます。
(お子さん4歳6か月・2歳3か月ママ・パパ)
―― ピンク好きの男の子が、ピンクのランドセルを選ぶとしたらどうしますか?

子どもの後悔も成長。子どもに責任を教えるチャンス

りゅうちぇるさん

自分の「好き」を貫くためには、ある程度の勇気が必要です。僕は、親として、きれいごとばかりを教えたくありません。この問題では、決めたことを全うすることが大事だと思います。
だから、「ピンクでもいいよ。でも、6年間、お兄ちゃんになっても使うんだよ。しっかり大事にしないとね」のように、きちんとコミュニケーションします。結果として子どもが後悔したとしても、それも成長だと思います。
大きな決断をするときは責任を持たないといけない、しっかり考えて買い物しないといけない。それを教えるチャンスでもあると思います。

親が「いいよ」と味方するのがいちばん大事

北山ひと美さん

大好きなパパやママが、自分の選んだ色を「いいよ」と言ってくれる、自分の味方になってくれる。それは、子どもにとっていちばん大事なことだと思います。「男の子がピンクを選ぶことをよく思ってない人もいる。そうじゃない世の中になればいいね」のような話をして、それでもピンクを選ぶのであれば、「じゃあピンクにしようか」となるのではないかと思います。
―― ジェンダーの視点では、どう考えられますか?

少数者が虐げられる考え方は偏見差別の最もいけないところ

田中俊之さん

人と違うことを悪く言うことはおかしいと、きちんと伝えないといけません。少数者が虐げられる考え方は、偏見差別の最もいけないところです。親がいつでも味方だと言ってあげるのは、私もよいことだと思います。

世間体が気になるときは客観的に

田中俊之さん

ジェンダーに関する話では、必ず「世間体」が出てきます。そこには、世間の人が何か言うことはもちろん、実は世間は何も言っていないけど、自分が世間体を考えてしまうという側面もあります。世間体が気になったときは、客観的に「もしかすると自分の思い込みかもしれない」と考える機会かもしれません。
また、ランドセルは毎日使うものです。最初はまわりの人に違和感があっても、3か月もすると当たり前のことになって慣れてくる場合もありますよ。
―― まわりが慣れるとしても、親としてはそれまでが心配だと思います。個性を貫く秘けつはありますか?

世間体を気にせず、信念を持って自信を身につける

りゅうちぇるさん

僕が子どものころは、いろいろと言ってくる人がいたので、傷ついていました。でも、世間へ期待しない・気にしない、基準を世間ではなくて、自分の中に「僕は僕」という軸を置くことができるようになっていきました。ピンクが大好きなことを貫くという意味では、ある程度言ってくる人がいることをわかった上で、「自分に期待する、自分を愛する、まわりを気にしない」という方法を身につけることが大切だと思います。

どれぐらいジェンダーを意識して子育てをすればいい?

娘は2歳になります。これまで、いわゆる女の子らしいおもちゃを与えてきました。でも、たまたま通信教育で送られてきた乗り物のおもちゃで遊ぶ姿を見て、これまでのおもちゃが偏っていたかもしれないと思うようになりました。偏ったままだと、いろんなものに触れたり、興味を持つ機会が少なくなるのではないかと考えました。例えば、働く乗り物の図鑑は社会に目を向けるきっかけにもなります。
今は、ジェンダーフリーといわれるものもありますが、どれぐらい「ジェンダー」を意識して子育てをすればいいのか気になっています。
(お子さん2歳6か月のママ)
―― このような、子育てでジェンダーをどれぐらい意識するべきなのかという悩みが寄せられています。いかがでしょうか?

遊びを選ばせると、幼児に男女の区別はない

北山ひと美さん

幼稚園には、いろいろな遊びの道具やコーナーがあるのですが、ままごとコーナーでは男の子も女の子も遊んでいます。幼児のころは、好きなように遊ばせると、男だから・女だからという遊び方をしません。その後、だんだんといろんなことが刷り込まれて、女の子はこうだ・男の子はこうだという区別ができるのかもしれませんね。

子どもに選ばせるのがいい

北山ひと美さん

子どもがやってみたいと思うおもちゃを与えることは、子どもにとって居心地がいいと思います。親がそのことに気づいたのであれば、子どもに選ばせてあげるのがよいと思います。

やりたいことを制限すると将来に影響する

田中俊之さん

何かを「女の子だから・男の子だから」という理由で与えなくなってしまうことは、やはり問題があると思います。将来にもつながることなのです。
極端な例ですが、女の子が「ボクシングをやりたい」と思ったときに、「女の子がボクシングなんて」と言ってやめさせると、女子ボクシングの金メダリストは誕生しないわけです。もちろん、誰もが金メダリストになれるわけではありませんが、やりたいことが性別のためにできないのは、とても不自由だと感じます。

ひと言インタビュー「男の子らしさ・女の子らしさ」

ジェンダーについて、他にもこんなお悩みが寄せられています。

外食のときに、娘が「私は女の子だからピンク、弟は男の子だから青あげるね」と、自然に配膳していました。自分が無意識にしていたのかもしれないと思い、ショックでした。
(お子さん5歳6か月・2歳7か月・6か月のママ)
ママ/娘が将来「青系の服が着たい」「恐竜や車の服が着たい」と言ったときに、すんなり受け入れてあげられるか、少し不安があります。
パパ/女の子が男らしい格好をしていても、男の子が女らしい格好をしていても、あまり違和感はありません。ただ性自認が、娘の体と心の性が別だったときは、きっと動揺すると思います。
(お子さん1歳1か月のママ・パパ)
私自身が少し高齢出産だったので、息子には男の子っぽい服を着させてしまうし、色も青が好きだから着せています。でも、もう少し配慮したほうがいいのかなと思います。子どもが大きくなっていく過程で、配慮が欠けていて、何か子ども同士の関わりに問題が出ないか気になります。
(お子さん1歳11か月のママ)
―― ジェンダーの教育は、どうすればよいと思いますか?

考えさせることを大事にする

りゅうちぇるさん

例えば、プリンセスが出てくるおとぎ話の本を読んでいるときに、「女の子から告白してもいいんだよ」とひと言付け加えれば、それもジェンダー教育になると思います。ほかにも、公共トイレの男子が青・女子が赤のようなありふれた表現に対して、「どうして男の子は青なんだろうね」と話してみる。息子にも、ひとつひとつ考えさせたり、意識させたりすることを大事にしています。
―― パパもママも、それぞれ子どもとの関わりの中で悩みがあるようでしたが、いかがでしょうか?

「自分は自分でいい」を貫ける社会でありたい

北山ひと美さん

「自分は自分でいい、これが好きだから」という思いを貫けるような社会でありたいと思います。子どもたちで言えば、幼稚園や学校が、そういう社会でありたいなと思います。

自分の物の見方とは違う見方があることを理解する

田中俊之さん

自分が当たり前だと考えている物の見方と違う見方があることを理解できるだけで、随分いいと思います。「新しい世代の人たちが間違っていて、自分たちが正しい」といった話になると、おかしくなってしまいます。逆に、「新しいほうが正しくて、古いほうが間違いだ」という考えも同じです。そのように、何かを否定するような話ではありません。まず、考え直すきっかけが得られれば、それでいいと思います。

絶対的なものではなく、流行で変わることもある

田中俊之さん

ジェンダーの問題は、時代によって大きく変わります。例えば、服飾の歴史を調べると、1920年代のアメリカの「男の子と女の子のベビー服で、ふさわしい色はどっちですか?」という調査では、女の子が青、男の子がピンクだったんです。30年代ぐらいから、だんだん女の子がピンクになり、50年代ぐらいに「男の子が青・女の子がピンク」が確立したのではないかといわれています。それから100年もたっていません。この例からも、この問題は絶対的なものではなく、流行で変わる面もあると理解することが大事だと思います。

ひとりひとり違うからすぐに答えはでない。探りながら追及する

りゅうちぇるさん

僕が育った沖縄は、チャンプルー文化(まぜこぜ文化)なんです。外国の方も多いし、男女というより、人としてみるような文化が根付いています。その環境も大きかったと思います。それから上京して、世間はこんな反応なんだと思って、「僕って個性的なの?ウケる」程度の感じだったんです。
だから、自分の性格や子どもと合うような子育ての方法に、すぐに答えは出ないから、探り探りで追求していければ、それがいちばんだと思います。

子ども向け商品もジェンダーレスに

ジェンダーレスの考え方は、子ども向けの商品にも変化を及ぼしているようです。おもちゃと服を例にみてみましょう。


最近、子ども向け商品では、性別に関係なく選べるジェンダーレスなものが増えています。

まず訪ねてみたのは、おもちゃ売り場です。
例えば、おままごとのおもちゃの商品パッケージには、これまで女の子の写真が使われていましたが、最近は男の子の写真が使われることも多くなっています。また、さまざまな色を使うことで、男女の区別なく手に取りやすくなっています。

さらに乗り物おもちゃは、人気キャラクターがラッピングされた新幹線やミニカーまで、ジェンダーを意識させない工夫がされています。

こちらの人形は、女の子のものだけでしたが、2019年から男の子をモデルにした人形がつくられるようになりました。販売している玩具メーカーの方によると、「保育園で調査をしたときに、男の子もお世話人形で遊んでいる姿を見て、男女を問わず楽しめるように」と考えたそうです。

こうしたおもちゃが増えていることを、親たちはどう思っているのでしょうか? おもちゃ売り場に訪れていた方に聞いてみました。

〇男の子もおままごとで遊ぶので、選択肢が広がっていいですね。
〇もともと、私自身が小さいときに、おもちゃや遊びに性別があるのは変だなと思っていました。子どもには気にせずに与えています。

洋服もジェンダーレスになってきています。ボーイズ・ガールズといったカテゴリーがない子ども服のオンラインショップを見てみました。

でも、商品を見てみると、フリル付きの服や、ピンク色の服もあります。ジェンダーレスとはどういうことなのでしょうか。オンラインショップのオーナーによると、「男の子が着るか、女の子が着るかを、店側が定義しないことに意味がある。性別の前に、自分の個性や好み、可能性を考えてほしい」といいます。

今後、おもちゃや服以外にも、ジェンダーレスな商品がもっと広まるのかもしれません。


子どもが好きなものを選べることが大事

田中俊之さん

おもちゃでも服でも、大人が固定観念を持っていなければ、子どもが好きなものを選べます。自分が着たいと思った服や、自分が遊びたいと思ったおもちゃを選べるのは、子どもにとってとてもよいことですね。

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