育休をとりづらい。どうすればいい?
まずは、育休の取得で苦労した、仕事が忙しくてとれなかったという声を紹介します。
2人の子どもを育てています。1人目のときに、ママが切迫早産で入院したため、育休をとって家庭を支えたいと考えました。でも、職場の上司に育休の相談をすると、「男性はとれないのでは?」「育休は母親だけでいい」「キャリアに響くぞ」といった話をされ、育休に反対しているようでした。最終的には「権利なので」と押し通して取得しました。結果的には大きな迷惑をかけることなく復帰できましたが、育休中は職場で問題になっていないか不安でした。
(2人のお子さんのパパ)
(2人のお子さんのパパ)
パパ —— 育休について職場や上司の理解はあるのですが、仕事が忙しくて取得することができませんでした。職場の人数が少ないこともあり、休むことで他の人の負担が増えることに、どうしても抵抗があったんです。
ママ —— パパたちの子育てに向き合う意識は高まっていると思います。でも、職場に「男性なのに」といった考えがあったり、助けてくれようとする人がたくさん仕事を抱えていたり。仕事の分配などが、もう少しうまくいくと、みんなが育休をとりやすいのかもしれません。
(2人のお子さんのパパ・ママ)
ママ —— パパたちの子育てに向き合う意識は高まっていると思います。でも、職場に「男性なのに」といった考えがあったり、助けてくれようとする人がたくさん仕事を抱えていたり。仕事の分配などが、もう少しうまくいくと、みんなが育休をとりやすいのかもしれません。
(2人のお子さんのパパ・ママ)
男性の育休取得は、難しい場合が多いようです。この状況は変わるのでしょうか。
育休は法律で定められていて、誰でも取得できる
回答:天野妙さん 上司に育休を相談したときの、よくある反応は、「男性は育休をとれない」「母親がいる」「出世に響く」の3つです。「会社には男性の育休制度がない」という方も多いようですが、育休は法律で定められているため、会社に制度がなくても、誰でも取得できます。
2022年4月からは、取得の意向確認が義務に
育児休業は、会社や事業所などに雇われている労働者が、子どもが満1歳になるまで休業できる制度です。子どもが保育園に入れないなど、条件によって最長2歳まで取得できます。
2022年4月からは、企業が育休の対象となる従業員に制度を説明し、育休取得の意向を確認することが義務になります。
育休中の収入は、どうなるのでしょうか?
育児休業給付金や社会保険などの免除がある
回答:天野妙さん 育児休業給付金という制度があります。最初の180日間は月給の67%、その後は50%が、毎月給付される制度です。67%では少し不安になるかもしれませんが、育児休業中は社会保険料などが免除されるため、手取り額は8~9割ぐらいになります。
長期的な視点で考えることが大切
回答:天野妙さん 短期的に見ると、一時的に収入が落ちることに不安があると思います。ですが、男性が育休などで家庭を支えれば、女性が働きやすくなり、長期的には世帯収入の増加につながると思います。 現在、約半数近くの女性が、第1子出産時に離職しているといわれています。そのまま仕事に就かない場合と、働き続けた場合を比較すると、生涯所得の差がおよそ2億円にもなるといわれています(※)。 ※ニッセイ基礎研究所レポート「大学卒女性の働き方別生涯所得の推計」より
育休取得の理解をえられないとき、どうすればよいでしょう。
頼れる人を見つけることが大切
回答:小崎恭弘さん まだまだ男性が育児に関わることが少なく、育休の理解をえられないこともあります。そのため、誰も助けてくれないと感じて、パパは孤独を抱えがちです。 しかし、職場にいる女性も、育休に同じような思いがあるはずです。まわりをよく見れば、理解のある同僚や、同じ思いを持つ子育て中のママやパパがいるかもしれません。上司の中にも、自分ではできなかったけど、本当は休んで育児をしたかったという方もいるはずです。父親の支援をしようとする人もたくさんいます。育休取得や子育てのためにも、頼れる人を見つけて、情報を得て、知識や技術を身につけることを意識してください。
働く人たちが家族を大切にできる社会に
回答:小崎恭弘さん 育児休業は、「育児・介護休業法」の一部です。介護休業とともに、働いている人が自分の家族を大切にしていくための制度なのです。「男性の育休は必要ない」という考えの上司でも、将来、介護をする立場になるかもしれません。育児・介護休業は、多くの人にとって“自分のこと”なのです。働く人たちが家族を大切にする企業文化が一般的になる、そんな社会になってほしいと強く思います。
多くの方が、仕事が忙しすぎて育休をとれないようです。できることはありますか?
早めに相談することが大事
回答:天野妙さん 基本的に、早めに相談することが大事です。例えば、事故やケガなどで突然休むことになると職場の対応も大変ですが、育休は休みたい時期を事前に相談できます。会社側も、早めにわかれば準備のための時間を持てます。 また、お互いにサポートできるような仕事の枠組みも大切です。例えば、チームで仕事をシェアする、他の人がスムーズに引継ぎできるように業務を「見える化」しておくなどです。
「お互いさま」で助け合える職場の雰囲気を
回答:小崎恭弘さん みなさん、人に迷惑をかけてはいけないと強く考えていると思います。育休で職場に迷惑をかけたくないと思っている方も多いでしょう。 一方で、子どもを育てることは、社会的に迷惑なことではありません。これからの時代を、未来をつくっていく、とても大切なことです。子育てを「申し訳ない・悪い」ではなく、「お互いさま」と考えて、助け合える職場の雰囲気をつくってほしいと思います。
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