(1歳4か月 男の子のママ)
「叱る」とは、自分や周りを守るために必要な行動の規範を教えること
回答:坂上裕子さん 親としては、どうしたものか迷ってしまいますよね。多くの方は、叱ることは「コラ!」のように言い聞かせるイメージを持っていると思います。では、そもそも叱ることとは、どういう行為なのか。それは、子ども自身や周りの人を守れるようになるために必要な、行動の規範を教えることがいちばんの基本だと思います。
1歳のころは、叱るより危険な行為を止める
回答:坂上裕子さん 1歳のころは、「なんで投げるの?」と言っても、まだことばの意味を理解して行動することが難しいでしょう。自分や周りを守るという意味では、叱るよりも危険な行為を止めることを考えてください。例えば、自分がケガをしたり、誰かを傷つけたり、ものが壊れるような行為です。この時期は、それぐらいの線引きで十分だと思います。
子どもの発達段階と伝わりやすい叱り方の目安
子どもは何歳でどれくらいのことがわかるようになるのでしょうか。その段階ごとで伝わりやすい叱り方があります。
※何がいつごろわかるのかという時期は、子どもによって違いがあります
10か月以降
10か月を過ぎると、パパやママの表情や身ぶりに、何か意味があるようだとわかってきます。でも、叱られる理由まではわからないので、表情や雰囲気などで「いけない」ということを伝えます。
1歳後半以降
1歳後半以降は、頭の中でイメージする力が育ってきます。「コップが倒れて水がこぼれた」など、目の前で起こった出来事について、物事のつながりがわかってきます。
叱るときは、「そのとき・その場で・そのつど」がポイントです。短くわかりやすいことばを使って、何がいけないのか、どうしてほしいかを伝えます。
2歳後半以降
2歳後半以降、生活や遊びの中には必要なルールがあることを知り、自分の中に取り入れていきます。また、自分の気持ちに気づくのもこのころからです。
叱るときは、子どもの気持ちを聞きつつ、親の気持ちや生活の中のルールを、わかりやすいことばで具体的に伝えます。
4歳半〜6歳以降
早くて4歳半のころから、相手の立場になって考える力が育ってきます。さらに、時間の感覚がついてくると、自分の行動を振り返ることができるようになります。
叱るときは、ダメというだけでなく、「してほしいこと」「してはいけないこと」の理由を、具体的に説明したり、子どもと一緒に考えたりするようにしましょう。
ことば・表情・雰囲気が基本になる
回答:坂上裕子さん 子どもに何かを伝えるときは、ことばだけでは難しいことも多いでしょう。ことばと一緒に、表情や雰囲気をセットで伝えることが、どの年齢でも基本になると思います。
あらかじめ叱らないで済む環境を作ることも大切
回答:玉井邦夫さん 線引きの基準は、それぞれの家庭によって異なります。子どもに何をされると困るのかは、その生活の状況によるので、一概に言えないのです。ただ、困ることの中には、させないように対策できることもあります。例えば、開けられて困るものには鍵をつける、触られて困るものはしまっておくなど、あらかじめ叱らないで済む環境を作ることも大切です。その上で、何を叱るのかを考えていきましょう。
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