息子は5歳になりますが、「食べさせて」「着替えさせて」など、自分でできることなのに「ママやって」と言ってきます。急いでいるときは手伝ってしまうのですが、5歳だと「甘え」ではなく、ただ自分が楽をしたいようにも思えます。「自分で食べられるでしょ」など、自分でやるように言っていますが、もっと厳しくするべきなのか、やってあげてもいいのか、甘えと甘やかしの違いがわかりません。
(5歳 男の子のママ)
(5歳 男の子のママ)
行動の枠(ルール)を与えることが大事
回答:遠藤利彦さん 「自分で食べられるでしょ」のような言葉をかけることは、子どもに「行動の枠(ルール)」を与える、大事なメッセージになります。なかなか伝わらないかもしれませんが、そのような接し方を心がけていることは、よいことだと思います。 また、お子さんは、必ずしも「食べさせてもらえる」「着替えさせてもらえる」ことを求めてないように感じます。甘えというよりは、「もっとゆっくり食べたいな。今は食べたくないな」など、何か自分の気持ちを伝えたいのかもしれません。
では、親のどんな対応を「甘やかし」というのでしょうか?
甘やかしは、愛情だけでコントロールがない
回答:遠藤利彦さん
子どもとよい関係をつくろうとするとき、私たちは「愛情」ばかりに目がいきがちです。でも、子育てには、「愛情」はもちろん必要ですが、その上で「コントロール」も重要です。適切ではない行動を制限し、正しいルールを教えることがコントロールです。
ここまではいいけど、これは絶対ダメなんだよ、と毅然と振る舞い、丁寧に伝えることで、行動の枠をつくってあげる。それが、子どもが社会に出ていくための基礎になります。「愛情」と「コントロール」が備わっていることで、子どもは健やかに育っていくのです。
愛情だけでコントロールがないとき —— 例えば、子どもの気持ちを受け止めて応答はするけど、「これはダメだよ」となかなか言えずに、結果的に何でも許してしまう。こういった対応は、「甘やかし」といえるのではないでしょうか。
ルールを教えないことや自立を妨げてしまうのが甘やかし
回答:汐見稔幸さん 「甘え」は、子どもが信頼する他人の善意に頼ることです。一方で、大人が社会のルールを教えない、子どもの自立を妨げてしまうのは「甘やかし」です。 子どもが本来やってはいけないことをしても、うちの子はいいんじゃないか、と認めてしまうと、子どもが社会のルールを知ることができません。子どもが自分でできることなのに、親が先回りしてやってしまうと、自分でできる力が育たなくなってしまい、自立が妨げられます。
どのように、子どもと接すればよいのでしょうか?
子どもが自分で考えて行動できるように
回答:汐見稔幸さん 「甘やかし」にならないように、子どもに葛藤させるような伝え方をしましょう。例えば、「自分でできるはずだよね」「今はママ忙しいのよ」「そんなに言うならやってあげるけど、本当は自分でやってほしいんだよ」「今日だけだよ」のように伝えると、子どもは「やってもらってうれしいけど、別のときはダメなのかな」と感じて、葛藤が呼び起こされます。すぐにわからなくても、どんなときがダメなのかな、子ども自身が考えて、行動して、乗り越えていく練習になります。子どもの成長とは、それがだんだんわかってくることなんです。
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